せんせがいるから、この世界は地獄じゃないの。この世界は間違ってなんかいないわ、あたしが言うんだから本当よ
まさかラノベをスゴ本として紹介することになろうとは──いちばん驚いているのはわたし。ふつうラノベは30分で片付けているにもかかわらず、「円環少女」はたっぷり2時間、夢中に没頭させられた。
ツンデレサディストつるぺた美少女、美乳女子高生(ハルヒ以上に世界を改変できる)、ツインテールで綾波な魔獣使いといったキャラも魅力的だ。あるいははらわたと脳髄飛び散る血ミドロ壮絶バトル←→ほのぼのお茶の間・六年一組との往還も面白い。
しかし、これは【魔法】世界設定【体系】がスゴいのよ。
普通人の視線で発動しなくなる「魔法」を背負って地獄(この世)に堕とされたウィザードたちの永き世にわたる闘いは、何のメタファーになるだろうか? 迷わずあたしゃ、「良識」と「個性」との闘争に置き換えたぞ。筆者は世界設定に何のメッセージ性も持たせてないので、読み手が好きに改変できる。しなくてもいいけれど、きっと何かに喩えたくなる。
読めば分かる。物語りの世界へ読者を連れて行くのはヘタクソだけど、世界そのものは魅力的。ここはひとつ、読み手みずからが歩み寄ることで、そのスゴさが堪能してみてはいかが。読みづらいことおびただしい悪文をガマンして進めると、突然、小説世界のありようが分かる。
すると金脈を掘り当てたような気分になる。例えば、鋼錬の等価交換な世界、ジョジョの波紋、寄生獣のミギーの第1話を思い出してくれ。なにがなんだか分からないまま、話に巻き込まれ、その話のルール(=設定)に気づいたとき、「その設定なら間違いなく面白くなる。たとえオレがプロット書いたとしても」と思ったかもしれない←それそれ、その気分を味わえる。これはわたしが書いてもヒットになる設定。この世界を考え抜いた筆者に幸あれ。
いや、書き手は一人だけでない。おそらく中に三人いる。バトルファンタジーばかり書いていた筆者、萌えとほのぼのをバランスよく注文する編集さん、科学的根拠やTipsを補強する担当さんの3人だ。小説を書くのはチームワークなんだなーといまさらながら実感する。
さて、中身にほとんど言及せずに紹介したぞ。クセがあるけれど、あとは自分でハマってくれ。あー蛇足だが、1巻からよりも、2→3→1 の順に読むといいかも。
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