ツンデレ小説ベスト
1. 春琴抄(谷崎潤一郎)
2. きみとぼくの壊れた世界(西尾 維新)
3. 涼宮ハルヒの憂鬱(谷川 流)
「春琴抄」は日本文学屈指のツンデレ。昨今のブームに便乗した作品と比較しても、最高のツンデレ(ツンデレスト)だと断言できる。というのも、ツン→デレの彼我を超えるために彼がしたことは、とても常人では真似のできないことだから。
抜き差しならぬ関係が露見しても素っ気なく否定する場面なんて萌える。小説の悦びは、読み手の想像力にはたらきかけることにある。書いてない部分を妄想を逞しく補完するトレーニング本としてもGood!谷崎潤一郎やりおる!
![きみとぼくの壊れた世界](http://images-jp.amazon.com/images/P/4061823426.09.MZZZZZZZ.jpg)
「きみとぼくの壊れた世界」もスゴさは負けてない。ツンデレな妹と、ツンデレな同級生が出てくる。それぞれツンは普通だが、デレの鬼気迫る壊れっぷりを堪能すべし…てかこれこそが本作のメインディッシュ。
ツンデレ妹なんだけど、主人公も(表面上は)距離をおいた態度を取る。妹の気持ちが危険水域に達し、決壊する瞬間の描写がスゴい。まさに「狂う」というコトバがぴったり。一線をこえてしまう兄妹ってこんなのだろうか…おもわず妄想。
「涼宮ハルヒの憂鬱」は今が旬のツンデレ、と言われている。確かにアニメ第1話は徹頭徹尾唖然とさせられた。未読の方を完璧に無視した展開はあっぱれといえる。
しかし、小説に目を転ずると、ハルヒがデレデレする場面ってあったか? ポニーテールが似合うからと、無理矢理ポニーにしてくるとこ? 奇妙な洋館で二人きりになったとき、唐突に「有希ばかり見てるでしょ」と問い詰めるところ? (それぞれ「憂鬱」「動揺」)
既刊分は読破したが、ずーーーーっと「ツン」ばかりで、1冊につき数行だけ「デレか?」という描写あり。これはハルヒの「デレ」を探すゲームブックなのかもしれない.
さて、例によって「はてな」の有識者に訊いてみよう→あなたの「ツンデレ小説ベスト」は何ですか?
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コメント
>未読の方を完璧に無視した展開はあっぱれといえる。
ハルヒの1話を「未読を置き去り」という文脈で語るのは違和感を感じる。
あれはインパクトと今後の展開への伏線のための演出で、未読とか既読とか関係ないと思うけどな。
原作付きかどうかに関わらず、物語は状況説明と人物描写から始まらないといけないってルールがあるわけじゃないし。
投稿: hf | 2006.04.15 22:12
わたし「オモロイから、とりあえず第一話だけでも見てみなって」
嫁『ふーん、あたし原作読んでないけどいいの?』
わたし「だいじょーぶだいじょーぶ」
────開始10分で『なんじゃこりゃぁッッッ』と切られました...
hf さんにも独自の価値観があるように、わたしの嫁さんにも価値観があります。
投稿: Dain | 2006.04.15 23:12
ツンデレ小説…とは言いがたいかもですが、荻原規子『白鳥異伝』の象子(きさこ)はツンデレじゃないかなあと思うのです。「会えば顔をそむけるくせに、陰ではまなざしが追っていく」とか。
投稿: 柊ちほ | 2006.04.16 08:41
古典としては、夏目漱石の「虞美人草」なんて如何ですか。
ツンデレスキーとしては、絶対に外してはいけない一冊かと思います。青空文庫でも読めますしね。
投稿: 匿名のクマ | 2006.04.16 15:37
>> 柊ちほさん
ほほー、「白鳥異伝」にツンデレありと。勾玉シリーズを読む気がぐんぐん膨らんできましたぞ。楽しみが増えました。
>> 匿名のクマさん
確・か・に・そ・の・と・お・り!ご指摘ありがとうございます。大御所を失念しておりました。既読の古典でツンデレといえば、
虞美人草(夏目漱石)の、藤尾
椿姫(デュマ・フィス)の、ヴィオレッタ
白痴(ドストエフスキー)の、ナスターシャ・フィリポヴナ
あたりが思い出されます。せっかくだから再読しようかと。
投稿: Dain | 2006.04.16 23:16
『笑傲江湖』のツンデレ・フィーバーっぷりもかなりのものですよ!個人的には「撲殺天使」(<=勝手に命名)の儀琳ちゃんが変格ツンデレだと思います。本人はツンじゃないんですが御供が強烈ww とにかく、どいつのツンも『致死レベル』な武侠小説です!!
未読の『ピエール』は「お姉ちゃん」の方がツンデレだった気がします。『カラマーゾフ』ではグルーシェニカかな?いや、フョードルおじさまのツンデレ・ピエロっぷりも世界レベ~ルかもww 米川訳を考えていらっしゃるみたいですが、原卓也訳のフョードル@ゾシマ神父は最強にキュートですよ(笑 この章だけでも原訳で是非!
投稿: ブラウン神父 | 2006.04.21 21:38
初めまして、はてなの方に書かせて頂きました。ついでですが、トラバもさせていただきました。
さて、書き終えてから気がついたのですが、金庸の「射雕英雄伝」のヒロイン「黄蓉」も有る意味ツンデレ出はないかとw。
小説でもかなりヤラレましたが、TVドラマでもジョウ・シュン演じる黄蓉にノックアウトされたくちでございますw。
投稿: お@ | 2006.04.22 10:09
>> ブラウン神父さん
「笑傲江湖」は未読です。調べてみるとトンデモなく面白そうな予感… ツンデレ小説としてよりも普通に楽しめそうですね。「カラ兄」は様々な訳者で楽しみたいので、原卓也訳もチェックしてみようかと。
>> お@さん
「射雕英雄伝」は未読です。金庸作品そのものを知らないので、教えていただいてとても嬉しいです、ありがとうございます。さらに、トラバ先の記事を読んで、ベルガリアード復刊は、最近のツンデレ至上主義を見込んだのではないかと妄想してみたり。
投稿: Dain | 2006.04.23 23:18
せっかく金庸迷の部屋来て下さったのにごめんなさいね。
他の事してたら気が付くの遅くなっちゃった・・・。
他の金庸作品も読んでくれ。
ツンデレどころか、山河を破壊しそうな女子のオンパレードだから。
投稿: fince | 2006.04.30 19:47
>> fince さん
この一行でがぜん読む気が湧いてきましたゾ。
> ツンデレどころか、山河を破壊しそうな女子のオンパレードだから
投稿: Dain | 2006.05.01 23:39