チェルノブイリ旅行記―――オオカミの大地
以前ご紹介した「チェルノブイリ旅行記」の続編、「オオカミの大地」を読んだ。
「チェルノブイリ旅行記」は、あの場所を駆け抜けた女性ライダーの記録。美人だぜ[証拠]。
廃墟がブームらしいが、この地上での究極の廃墟はチェルノブイリを中心とした閉鎖領域(Confiscated/Closed Zone)だろう。A.タルコフスキー監督「ストーカー」の"ゾーン"そのまんまの光景。
廃棄された軍用トラック、ヘリコプター、船舶…そして建造物。全ての建物のドアというドア、窓という窓は開かれている。なぜなら放射能はホコリに溜まるから。ドアや窓を開放することで、放射塵を吹きさらし、自然に帰すことができる。
地球規模の希釈。
その場所を、彼女は再び訪れる。再びどころか、何度も。
原子炉から45km離れたヴィルチャでは、ガイガーカウンターは109mRを示している。危険ではないらしいが、吸い込んだ放射塵は分からない。ホコリは地面に吸収され、土地そのものが放射能を帯びている。呪われた土地だ。
…というのも、地図からは地名も道路も抹消されているからだ。旅のドライバーがうっかり迷いこまないようにとの配慮らしい。
ある特定の廃屋や廃ビルの「写真集」ではない。バイクに乗って延々と走っても走っても、遺棄された光景が続く。連綿とつながる写真"群"を見ていると、核戦争後の風景はきっとこんなんだろうな、と思えてくる、オオカミが支配する大地。
本家
Ghost Town Land of the Wolves
邦訳サイト
エレナのチェルノブイリへのバイク旅 訳者さん、お疲れさまです。教えていただき、ありがとうございます。
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コメント
こんばんは。チェルノブイリですか・・・
前に書いた文章です。1冊目とてもいいです。
「恐怖と憤怒」
http://dora.boo.jp/doc/00001.html#20050327-2
ではでは。
投稿: Dora | 2006.04.06 23:45
Dora さん、コメントどうもです。
んー、どれも未読ですが、原発バックエンド処理や放射性廃棄物処分の費用も含めると、当初予算を大幅に上回る…なんて話のような気が。
広瀬隆氏はネタとして面白いと思っています。
投稿: Dain | 2006.04.07 00:13