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ゲームで子育て

 ある教授に言わせると、脳がどうかなるらしいが、まずわたしの脳が汚染されているはず。ガキの頃からゲーム漬け。昔は BLACK ONIX のチートから、最近では巨像十六体連続撃破まで。うん、確かに三十路で萌えとかいってるし、きっと脳がアレなんだ(w

 筋も金も入っているつもりだが、最近ではわが子の育成シミュレーションゲームの方に全精力を傾けている。大変だけど面白いね。自分自身がコントローラーで、その成長ぶりは親の「因」→子の「果」としてハッキリと顕れる。

 「親の行動(原因) → 子どもの成長(結果)」は隠しようがない。「子どもは親のいうとおりにならないが、親のマネだけは天才的に上手い」に従えば、「ウチの子がおかしい」と訴える親は、オマエがおかしいからじゃぁ!というツッコミに耐えねばならない。

 テレビとゲームは通過儀礼。逃げようたってそうはいかない。

 この単純な事実に目を背けようと躍起になるのは勝手だが、ムリするとずいぶん歪んだ親をすることになる。歪むのは親であって子ではないところがポイント。歪んだ親の結果が子に押し付けられるのが因果。

 テレビもゲームも「コントロール」することが大事。良い機会じゃないか。優先度・重要度を考えて、観る/遊ぶ対象を選ぶ。で、自分で区切った時間の中で楽しむ。携帯ゲームでも持たせっぱなしにしない。必ず居間で親と一緒にプレイさせる…など、「ゲームは1日1時間」だけでなく、セルフコントロールのためのルールを守らせる。

 ここでしっかり訓練しておかないと、「24時間耐久桃鉄」とか「死者の宮殿一気通貫」といった命にかかわる遊び方をするようになるぞ。

 子育てに向いたゲーム、向いてないゲーム。

 子育て向きとして、太鼓の達人DDRといった音ゲーを推す人がいるが、やりたいやつをやらせりゃいいんじゃないかと。ただ、あまりに反社会的だと思われるやつは敬遠しよう(GTAはやっぱりアレだし)。この判断もトーチャンカーチャンで決めればよいかと。

 ちなみにウチはウルトラマンをやっているが、COM相手に負けてばかりで悔しがっている。

 何のためにゲームをするのか?

 COMに負ける→悔しい→リトライをくり返すうちに、だんだん勝てるようになってくる。「どうすれば勝てるか?」を考えながら動かすと、もっと勝てるようになる。こうなってくると面白い。

 ゲームとはつまりパターン化。勝つパターンを見つける作業を「ゲームをする」という。作り手が準備した世界で、対戦相手に勝つパターンやシナリオを進めるパターンを探し出すためのトライ&エラーが「ゲームをする」ということ。

 ゲームが好きな人はこのパターン認識がものすごく上手い。抽象化された世界で、できるだけ少ない労力でパターン認識をすばやく行う。ゲームを通じてわが子に身につけてほしいのは、このスキルだ。結果のために自己をコントロールする能力。因果律とは原「因」をコントロール(律)することで望む結「果」を得ること。

 というのも、学校の試験であれスポーツであれ、リアルでの試練の大部分は、このパターン化でクリアすることができるから。勝つためのルール・法則は、まちがいなくある。人よりも短時間でそいつを見抜き→自分のモノにすることで、望む結果を得ることができる。もちろん努力や根性を要するものもあるが、ルールを支配するものが勝つ、という「ルール」(rule of rule)を学ぶことができる。いそいで補足しなければならないのは、「勝て」の一本やりではないこと。する・しないはひとまず措いて、勝ち方を理解しろ、というわけ。

 「何のためにゲームをするのか?」…この質問をせずにゲームさせている親が圧倒的かと。むろん質問の相手は「親自身」なり。子の言う「面白いから」「はやってるから」を鵜呑みにせず、自分で考えてみるといいかもしれない。

 なぜゲームが「パターン認識」に適しているのか?

 それは、クリアできるようにできているから。フクザツな世の中とは違い、ゲームの世界は抽象化されている。ハマれる程度には複雑に、楽しめる程度までは因果律が明確になっている。リアルでいきなり実践もよいが、まあ待て、ゲームという格好のシミュレーターがあるではないか。

 リアルとゲームが異なることぐらい、言われなくとも分かっている。また、ゲームならいくらでも繰り返しができることぐらい、言うまでもない。さらに、ゲームでは、望む結果が得られない場合は、自分が原因であることも常識だよね。

 たとえばシューターに訊いてみると良い「グラディウスをクリアするには?」。すぐさま返してくれるだろう→「弾を避けよ、弾を当てよ」と。で、避けるのも当てるのも「気合で」と。

 どんなゲームであれ、行き詰まったとき、プレイヤーは最初に「自分自身」を疑う。自分が望む結果が得られなかったからといって、周りを責めたりしない。弾誘導か、索敵の方角か、ガードキャンセルが失敗したのか、自分のプレイを振り返って、「勝つパターン」との差を見直す。自分と、コントローラーと、ディスプレイしかないぐらい単純化された世界だから、ふたたび因果律を見出すことは比較的カンタンだ。

 一方、リアルではさまざまな雑音、というか変数が多すぎて、因果律を見出すことはかなり困難。しかし、因果律は確かに存在し、より短時間で見つけたものが望む結果を得ることも事実だ。この事実を信じて、因果律を見つけ出すトレーニングをするのに、ゲームは素晴らしい教材だと思う。「ときメモ」やりこんでもモテることと何の関係もないが、モテるためにはそれなりの努力が必要であることを思い知ることができる。

 もちろん例外もある。

 それはネトゲ。これだけはやらせない。リアルシミュレーターの最たるもので、上で述べてきた目的に合致するが、これは「終われないゲーム」だから。暴力や性描写よりも、ネトゲの「性質」の方が悪影響を及ぼすと思う。

 何をしてもいいし、何もしなくてもいい。ゲームの世界でのんべんだらりとできてしまう。「何もしない」をゲームでできてしまう。あるいは、ゲームしながら「ヒマだなー」と呟くことになる。廃ゲーは分別がついてから。

 むしろ問題なのは、テレビやゲームに「お守り」をさせていること。

 子どもと向き合うことを放棄した親(?)が存在すること。そうした行動を棚に上げて、ゲーム狩りに勤しむ親がいる。自分の子が望まない結果(問題行動)になったとき、誰かを責めることで自分の責任が免れるとでも思っているのだろうか(思っているに違いない)。

 しかし、明治なら「小説」、昭和なら「映画」、今の親初心者が子どもの頃なら「テレビ」がそれに相当してたことを思い出してほしい。

 いつの時代だって、子どもより自分の都合を最優先させる「親」が存在したことは事実。そして、そうした子どもの相手をするメディアが何であれ、「親自身」よりも劣っていることも事実←これに気づけば、メディアを糾弾することに労力を使うよりも、子どもと話す時間を増やすほうがより効果的だと理解できる(はず)。
プリンセスメーカー

 因果律からすると、まず自らの行動を変えるべき。「親の行動(原因) → 子どもの成長(結果)」であって、逆はありえない。お題の「ゲームで子育て」ができる、「プリンセスメーカー」から学んでみては? と揶揄ともマジともとれる呟きで締めるとしよう。

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コメント

子供にプリメですかw

でもどうなんだろう。人形あそびとか、
ままごとの延長で、ゲームで行うとなると
やはりそーゆーシミュレーション系に
なっちゃうのかなぁ。

投稿: kokoGD | 2006.03.21 20:48

kokoGD さん、コメントありがとうございます。
ゴメンナサイ、わたしの説明不足でした。記事中の

  > 因果律からすると、まず自らの行動を変えるべき。
  > 「プリンセスメーカー」から学んでみては?

のメッセージは、「親」に向けたものです。プレイされたなら合点承知でしょうが、「18歳の時点でどういう娘にするのか」を念頭に置いたスケジューリングが要ですから。「親の行動が子どもの成長を決定する」という事実をシミュレートしたのがプリメですからね。

投稿: Dain | 2006.03.22 00:11

ゲームに年は、関係ないのです♪私も、三十路。やらないで、ボケるより、利口!それに、現代はゲーム業界だけは、固定ファンに守られ、不景気知らず?一昔前とは、全然違うのです♪私は、味方だお~♪

投稿: 狼キャベツ羊 | 2009.02.07 00:09

>>狼キャベツ羊さん

その固定ファンであるわたしが選ぶ最近のゲームは、「子どもと一緒に遊べるもの」だったりします。

投稿: Dain | 2009.02.08 21:16

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