6色ハット発想法
自分メモ。「6色ハット」発想法とは、会議の参加者に同じ方法で考えさせることを目的としたメソッド。堂々巡りを回避したり、枝葉の意見に右往左往させないメリットがある。
ひとたび言い出した「自分の意見」は、今度はそれに囚われることになり、同じ会議の中での制約となる。翻すと「一貫性が無い」になるから。でも考えなんて一貫性が無いのが普通。あるいは、違う立場の意見をムリヤリひねり出すことにより、これまで思いもよらなかったアイディアに至るかもしれない。
1.準備
予め色画用紙でトンガリ帽子を人数分作っておく。色の意味は以下の通り。作ってもらうところから始めると(時間はかかるが)より一体感が得られるかも。
- ブラックハット = 悲観的 :物事のマイナスの側面を考える
- イエローハット = 楽観的 :物事のプラスの側面を考える
- レッドハット = 主観的 :感覚・感情・直感をもとに考える
- ホワイトハット = 客観的 :現実のみを対象に考える
- グリーンハット = 創造的 : クリエイティブに考える
参加者はこれらの帽子を被って発言してもらう。参加者は違う色の帽子を同時に被ってはいけないし、ずっと同じ帽子ばかりもダメ。プロジェクトマネージャ(以下PM)は誰に何色の帽子をかぶせるかを考えながら会議を予め組み立てておく。そして、6番目の帽子ブルーハットを被って会議に参加する。ブルーハットは会議のコントローラで、同じ人がずっと被り続ける。チェアマンやね。
会議を始める前に、ホワイトボードを5つのエリアにわけ、色ごとの説明を見出しに書いておく。記録係を決め、出たアイディアを付箋にメモり、色別のエリアに貼り付けるよう指示しておく。
2.会議開始
参加者は、最初は全員ブラックハットを被る。PM(ブルーハット)は、「○○について、悲観的・マイナス思考で意見を出してください」と依頼する。人はマイナス的な側面から物事を見るもの。ブラックハットからだと意見が出やすく、会議に入りやすい。ただし、ブラックハットを長時間被り続けていると、モチベーションの低下につながる。回避するにはイエローハット。ブラックとイエローの時間配分に注意すること。
参加者は自分の被っている色の思考モードで話し合いを行う。色と違う意見が出たとき、「帽子の色が違うよ」と指摘する。意見ではなく、帽子に注意を向けること。これ重要。意見をたしなめることで人格を攻撃されたかと思わせないためのテク。
一定の時間、意見の数、煮詰め具合を判断し、PMの指示により、帽子を替えてもらう。替えるとき休憩を入れることで帽子の色が変わったことを意識させる。ダラダラと拘泥させないためのテク。参加者は自分の色の役割を演じている意識を持たせる。
ブラックとグリーンを混在させないこと。ブラック→ホワイト、イエロー→ホワイトに被ってもらい、自分が出した意見の客観的な裏づけを出させる。
本来、会議の発言は肯定的であろうと否定的であろうと、「意見=方向性+事実の裏づけ」のはず。これができない人多杉。進行をメチャメチャにしたり、枝葉末節にダラダラこだわる人を排除すれば話は簡単なのだが、そうもいかぬ。また皆の面前で「オマエのは『自分勝手な思いつき』に過ぎないんだから、すっこんでろ!」とか「否定だけならサルでもできる。代案もないくせに言うな!」なんてバシっと罵倒できたらスカっとするのだが、そうもいかぬ。
そのため、方向性と裏づけを「帽子を被る」ことで、段階的に出してもらう。さらに「帽子」に注意を向けることで、トラブルメーカーを傷つけないようにたしなめる。
3.議事メモ
出たアイディアは付箋に書いてボードに貼り付けるわけだが、「被っている色と合っているか」を吟味すること。上記ではボードを5つのエリアに分けたが、ポストイットそのものを5つに分けられるなら、マインドマップ的に「ポストイット+連結線」で構成してもよし。
4.さいごに
要は6種類の帽子を次々と被ることで思考の切り換えを促し、それぞれの色に応じた役割(ロール)を演ずる(プレイング)すること。帽子を使ったロープレ。コスプレした人なら分かると思うけれど、暗示による「なりきり」って結構なれるもの。
プロジェクトリスクとその対処の洗い出しに使ったが「ブラック→イエロー→レッド→ホワイト→グリーン」の順でうまくいった。しゃべっているうちに考え方が整理されたり、創造的アイディアが出てきたりするので、ホワイトやグリーンを後に持っていったほうが話しやすいのかもしれない。
オリエンテーションするなら、OJTのツマミとして、チーム能力向上の一つとして。説明40分、実践60分ぐらい。「6色ハット」というくらいだから6人必要かというとそうでもなく、1人でもやれる。書籍はデボノ博士の「6色ハット」発想法(E. デボノ)がある(未読)。
5.おまけに(2005/9/8追記)
名札でもメガネでもコスプレでもなく、どうして帽子なのか? 調べてみると、帽子(hat)には「役割」「立場」の意味があることが分かった。枢機卿や司祭など、特別な帽子によって象徴される地位、職から転じて。英語圏の連中に隠喩的に伝わるね。
wear one's ... hat
... の役割を果たす, ...として活動する, ...の立場でものを言う
wear one's doctor's [official] hat
医者として[公的な立場で]行動する
wear two hats
一人二役をする, 二足のわらじを履く, 仕事を2つもつ
(参考:リーダーズ英和辞典第2版)
| 固定リンク
コメント