ネコ好き厳禁「D-ブリッジ・テープ」
グロ本。通常、グロはエロとセットなのだが、エロは皆無。オススメいただいて[参考]、かなり期待して読んだのだが、残念!。非常に楽しく読ませてもらった。大感謝。悪食や自傷シーンは人によると吐くかもしれないので、ご注意を。あらましはこんなカンジ(amazonD-ブリッジ・テープ(沙藤一樹)紹介文を引用)
近未来、ゴミに溢れた横浜ベイブリッジで少年の死体と一本のカセットテープが発見された。いま、再開発計画に予算を落とそうと、会議室に集まる人々の前でそのテープが再生されようとしていた。耳障りな雑音に続いて、犬に似た息遣いと少年の声。会議室で大人たちの空虚な会話が続くなか、テープには彼の凄絶な告白が…
確かに凄まじい読みどころがある。○○を○○する場面は日本人の書いたものではピカイチだろう。しかし、いかんせんリアリティが…とツッコミを入れた時点で萎え。これは筆力ではなく著者(と編者)の経験値が足りないことによる。
例えば、食物が全くない極限状態でアリやらセミやら虫を捕まえて食べるのだが、「クモはおいしくない」と独白する。クモは美味ですぞ。ねばねばして食べにくいが、味はトロに似ている。以下、バッタはショウリョウバッタ、クモはジョロウグモでランクづけしてみた(イナゴは食用なので論外)。
ムカデ <…超えられない壁…< アリ < セミ < バッタ < クモ
筆者が「クモはおいしくない」と書いたのは、クモを食べたことがないから。一方で「ムカデを食べた」と書いている。ムカデを食べると唇から食道にかけて腫れ上がるぞ。焼いてもツブしても毒は消えない(経験済)。
また、【ネコ好き厳禁】子猫を素手で解体する場面が出てくる。扼殺した後、両手で裂くようにバラしているが、子どもの力ではムリ。さらに血抜きもせずに一晩放っておいて、翌日食べている。凝結した血がカチンカチンになって齧りとれなくなるのに。【ネコ好き厳禁】
さらに、ある時点で出血多量か壊疽で死ぬハズなのだが、「驚異的な生命力!」と読み流してあげるのが優しい読者なんやろな。淡々と凄まじい描写を読ませる筆力はスゴいなぁと思った分だけ、読後感は「残念!」なり。
劇薬小説に不慣れな人ならガツンとクる素晴らしい作品なのだが、ホラー小説大賞の選考委員である高橋克彦氏が絶賛しているらしい。あらら、彼はC.バーカーやJ.ケッチャムを読んでないようだ。
… あ、でもこれ新人が書いたのだからスゴいかも。
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コメント
はてなではありがとうございました。id:neko_canことtake_14です。
早速お読みいただいて、と言うところですが、楽しまれてしまいましたか!あちゃー、これは私が修行不足でした(^^;)。そうなるとDainさんのベスト3あたりはどんなに恐ろしいのか…。体調を整えてからでないと読めないかも。
クモのところは私も「アレ?」と思いました。クモはチョコレートのような味がして美味しいと某グルメマンガ(笑)で読んだことがあったもので。ムカデは食えませんか、やっぱり。
デビュー作でこれならこの後はもっと、とも思いますが、おっしゃるとおりリアリティ無視のこの作品、デビュー作だからこそ書けたのかもしれんですねえ。近作がさらに普通の小説になったら萎え、ですね。
とても興味深いネタの提供ありがとうございました!
投稿: take_14 | 2005.08.04 21:04
take_14さんどうも。
オススメいただきありがとうございます。「はてな」での回答はおしなべておとなし目のものが多く、ちょっと残念かもと思っておりました。
しかし、take_14さんのこのオススメはイイっす。あまり体験できない小説ですね。わたしのベスト3はそんなに残虐ではないです。ただ、ココロ構えをしないまま読んでしまうと、「読まなきゃよかった…」と後悔することは請合います。
「クモはチョコレートに似た…」を確かめるために子供の頃食べたのですが、後味を生臭く感じたものでした(大人になってトロを食べたとき思い出しました)。チョコレートとはちょっと違うと思いますが、もう確認したくないです。
投稿: Dain | 2005.08.07 00:33