日立のPMO
前身は6年前のプロジェクトリスクマネジメントセンタ。火を噴いてから支援するやりかただと、カネもかかるし対処にも限界があるため、対症療法ではなく先手管理をねらいとした。当初の目標はプロジェクトの安定として「損益悪化プロジェクトの撲滅」を掲げ、リスク回避型の体制を採ったとのこと。
経営者としては、特定のプロジェクトの大成功よりも、全プロジェクトが失敗しないことの方が大切。90のプロジェクトが成功しても、残り10で利を全部食いつぶし、赤まで出すようなら意味が無い。だから石橋を叩くのは大切だし、どの石橋のどこを叩いておくのかを予め知っておくことはもっと大事。
現在のPMOは、以下の2組織で構成されている。
1.プロジェクトマネジメント技術センタ
2.業種別プロジェクトマネジメント部
技術センタではPMに関する組織の方針決定をはじめ、PM制度の確立やプロマネ育成、技術開発、アーカイブ、ナレッジの蓄積を行う。一方、業種別プロジェクトマネジメント部では実際のプロジェクトに密着して組織的な支援を行う。いずれも属人的なプロジェクトマネジメントから組織的にシステマティックに対応していくしくみをとり、プロマネを孤独な状態にさせないよう組織的な支援をすることを念頭においている。
そう、PMは常に孤独。周囲といかに親密な関係を築こうともPMの悩みはPMだけにしまっておくもの(周りに相談するときには相手向けに「加工」されている)。腕っこきマネージャだといわゆる落下傘作戦で降りてくるから孤独感はひとしお。キャリアパスを用意するだけでなく、組織的なバックがついているということは心強いに違いない。
また、興味深いのはプロジェクトマネージャ制度にも独自色を打ち出し、
1.ブロンズPM
2.シルバーPM
3.ゴールドPM
4.プラチナPM
と段階的な認定資格を独自に設けている。Oracleのアレみたく面白い。同じPMでもやってきた経験や得意分野により、任せられるプロジェクトは限定されてくる。比較的小ぶりのプロジェクトをスプリントで数こなすマネージャと、巨大プロジェクトとがっぷり四つで操縦できるマネージャは、かなり違うはず。「○億円以上のプロジェクトはプラチナに限る」といった具合に人割りの目安にもなる。
また、PM制度は報酬にも連動している。プロジェクト終了時、プロジェクトの成果によってプロマネの評価が行われ、評価に応じボーナス時にインセンティブが支給される。どれぐらいの多寡かは気になるところだが「評価に応じ」ではなく「入札価格の○%」に応じだったなら目の色が変わってくるんじゃぁないかと。
PMOが最終的に目指しているのは「経営者に全体リソースを見極められるようにする」という。「現在のリソース全体」は勘定できるかもしれないが、その全ては何らかのプロジェクト・業務に投入されている。プロジェクトのエンドはまちまちだし、解放されるリソースも確定できない。そんな状況でも「できます」「できません」を根拠を持って入れるのは素晴らしい。
ネタ元:日立情報システム
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