今年No.1スゴ本。え? 去年も言ってなかったかって? うん。ただし去年は途中まで、今年は全12巻を読み終えて、あらためて思う「びっくりした、おもしろかった」と。
私がガキだった頃はルパンとファミコンだったのが、今じゃダレンとPSPかよ、最近の子どもは恵まれてるなーっと、子どもだけに読ますのはもったいない、ここんとこ面白い本が無いと嘆くなら、これを読むといい、折り紙つきだ。
ただ、1冊 1,680 円 × 12 巻なのはちと割高かと。それこそ1冊1時間で読めてしまうので、図書館を利用するとよいかも。ちなみに近所の図書館で検索してみたら、最終巻は 200人待ちという人気っぷり。
現実の世界はきたないし、とても厳しい。主人公がどうなろうがおかまいなしで、ハッピーエンドなどそっちのけだ。人は死ぬし、けんかには負けるし、悪が善に勝つ
このことを、話に入る前にたしかめておきたかったんだ
ここであらすじを紹介するつもりは無いし、(読む気なら)探して知ろうとしないこと。もったいない。形容詞だけで話すほうが易しいし優しい。すなわち、「ダレン・シャン」シリーズは、ダレン・シャンが主人公の「どきどき」で「はらはら」で「わくわく」で「手に汗にぎりながら」「ページを繰る手ももどかしく」どんどん読めて、どの巻の最後で「あっとびっくり」し、「次はどうなるんだー」と叫びたくなる物語ナリ。
その点でamazonは罪深い。紹介文や読者レビューでバレを力いっぱい書いてしまっているので、推理小説の犯人に○印を付けているようなもの。amazonで買う人はスクロールせずにカートに入れたほうが吉。
これから話すことはひとつ残らず、本当に起きたことだと信じてほしいからなんだ
ダレン・シャンはもちろんペンネームで、本名はダレン・O・シャネッシーといい、1972年7月2日生まれのアイルランド人。6歳までロンドンで育ち、後にアイルランドのリムリックへ引っ越す。大学のときいったんロンドン生活をするが、その後再びリムリックに戻り、作家デビューするまでケーブルテレビ会社で働く。
家族は両親と弟。ちなみに、母親は、教師。
ダレンはずっと作家にあこがれていた。14歳のとき最初のタイプライターを買い、いくつかの短編小説やコメディの脚本を書く。15歳のときTV脚本コンペに次点として合格し、最初の成功の味を占める。題名は"A Day in the Morgue"(モルグでの1日)。
17歳のとき最初の小説"Mute Pursuit"(無音の追求)を書くが、お蔵入りとなった。「ターミネーター」と「ダークタワー」を混ぜたようなお話らしい。以降、大学や会社員とかけもち時代には年1冊のペースで、フルタイムで執筆するようになってからは年5冊のペースで出せるようになる。もっとも「ダレン・シャン」の販促で世界各地を飛び回るようになってからはペースが落ちて、最近では年2冊程度らしい。
彼は始めから児童小説を書くつもりはなかった。1999.2の作品"Ayuamarca"は「ゴッドファーザー」と「ナイトオブザリビングデッド」を混ぜたような話だ。
結局、彼の作家生命を決定付ける本「シルク・ド・フリーク」が出た2000年がダレンとしての経歴の転換点だったことは間違いない。彼は、この本で多数の読者を(子どもの読者を)獲得し、「ダレン・シャン・シリーズ」を書き始めることになる。そして最初の2冊の本の映画化権をワーナーブラザーズと契約し、彼のキャリアは一気に飛びぬけたものになる…
ここからはバレになりうるかも。著者が好きな小説の紹介なので。ダレンが好きな小説は(反転表示)「呪われた町(S.キング)」「秘密の花園(バーネット)」「指輪物語(S.トールキン)」「幼年期の終わり(クラーク)」「ウォーターシップタウンのうさぎたち(R.アダムス)」「ハイペリオン(ダン・シモンズ)」「怒りの葡萄(スタインベック)」などなど…
ダレン・シャンのオフィシャルサイトshanvilleの紹介。上記の著者経歴もここを参考にしたのだが、それだけでなく、BBS、ギャラリーなど盛りだくさん。特にギャラリーが見もので、各国の「ダレン・シャン」の表紙を見ることができる。
「ダレン・シャン」は、日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリア、アイルランド、ハンガリー、中国、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランドで出版されているが、それぞれの表紙にお国柄が出ていて興味深い。総じて、ヨーロッパではおどろおどろしい絵だが、日本以外のアジアだとファンタジー色が前面に出ている。恐ろしい話でもあるし、ファンタジーなところもあるので間違ってはいないけれど、日本の田口智子さんの幻想的な絵画調の表紙の方が最もしっくりくるような気がする。
ちなみに日本のダレン・シャンのオフィシャルサイトはここ(未読の方は行かないほうが吉)
さて、最後にもう一度。子どもだけに読ますのはもったいない。「最近面白い本ないなぁ」とお嘆きのあなたに、オススメ。
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