出世しない技術
タイトル買いしたら激しく後悔する一冊。「サクっと読める」キャッチコピーは認めるが15分で読めて千円は非道い。しかも、目次以上の情報は書かれてないため、この本を手にする人は「うんうん、そーそー」と激しく頷くだけとなる。このキャッチーに引っかかる人ならこの内容と価格で出せるだろうという編者の意図が透けて見える。それでも残ったのは、次の一文
サラリーパーソンにとっての天敵は、なんといってもストレスです。それは、いろいろ姿形を変えて私たちに襲いかかってきますが、一番の理由は「頑張らなくては」とか「かくあらねば」といった、身の丈を超えた期待に無理に応えようとすることです。たしかに、出世しない人であるあなたは、ここぞという時に、人から頼られない人間を演じることから、たまに落ち込んでしまうこともあるかもしれませんが、その分ストレスから解放されることのメリットを、しっかりと認識しておくべきです。
逆説的に思われるかもしれませんが、出世をする人の方がラクなのです。なぜならばそれこそがみんなと同じ行動…すなわち、あなたが幼稚園の時からタタキ込まれてきて、慣れ親しんだ行動様式そのものなのですから… そこで、敢えてみんなと違う道を選択したのが「出世しない人」、すなわちタフな人なのです。(太字は著者)
もはや死語の「競争社会」即ち「会社での競争」は、今50歳ぐらいの人たちが作り上げてきた風習であることに気づいた人は居る。そうした人の一人が書いた本。そして、そうした人は職場での態度を決める際、人生にとって効率的な選択肢を鑑みることになるんじゃぁないかと。
そうした人を目指すなら、この本は読むと少しだけラクになれる。あるいは、やりたいことをヤルために会社に入ったのに、そこで優れた業績をあげたが故に管理職へ祭り上げられ二進も三進もいかなくなりそうな人にとっても福音となるセリフが詰まってる。例えば、
これだけ「技術」と謳っているのに一行も「再現可能で適用可能な具体的方法論」が無い本もめずらしい。しつこく言うが、これはキャッチコピーで彩られたエッセイなので、何かを求めて読んでも失望する。この文に惹かれる人を勇気付けるための本だということを忘れないように。
55歳定年説、60歳定年説なんてウソ。もうすぐ定年になる人向けのネタであることに早く気づけ。彼らはもうすぐ出て行く、もうすぐだ。いまバリバリ現役組は、少子化の影響もあって人が居ない会社で人回しに奔走すること請け合い。その時代まで「出世しないで」迎えようか。
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