「使える新書」で笑う
新刊本は、目にとまって、レジまで持っていけたら「勝ち」なんだから、パッケージとつかみネタで勝負しているから、浚うのは時と銭が勿体無い。ましてや新書をや。
こんな風に考えている私にピッタリだと思ったが、この一冊はレジの手前で思いとどまって、結局借りて読んだ→「使える新書」新書オンリーのブックガイドなのかしらんと一読して痛い目に遭う。これは、新書レビューのフリをしたライター達の自己満足エッセイ集ナリ。
えらく挑発的な書き方をする一方で、「ぼくらの○○」(*1)といった共感の押し売りも鼻につく。俺様系blogならまだしも、お金を受け取って書いている文ですぜ。批判文もマンセー文もどこかで聞いたことがあるような借り物文ばかり。「ライターとしての教養あふれる文章読本」なんてブツがあるのかしらんと真剣に探したくなる。
だいたい「教養としての○○」と紹介されるカッコ書きの「教養」なんて、fj か2ch の厨房を煙に巻くといった効用しかない。新書で手に入る「教養」は、あくまでも入口。それを、「○○を標榜するならコレぐらいは読んでおけ」的にやたら「必読」でくくるのもどうかと。必ズ読メといわれても、読む気が失せるレビューの後で締められても萎える。ブックガイドとしてはおすすめしないが、Amazonでのこの本のレビューに倣ってライター達の「教養」ぶりを吟味しながら読むと愉快かも。引用するね。
編者こそ教養を
そう、この「使える新書」にはサブタイトルがついていて、「教養インストール編」と銘うっている。教養という言葉にくすぐられそうな人なら飛びついてしまいそう。
こんだけこき下ろしたが、それでも読みたい・再読したい新書がいくつか。
インタビュー術!(永江朗)講談社現代新書
「わからない」という方法(橋本治)集英社新書
なぜ人を殺してはいけないか(小浜逸郎)新書y
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(マックス・ヴェーバー)
万葉秀歌(斎藤茂吉)岩波新書
わたしは二歳(松田道雄)岩波新書
権威と権力(なだいなだ)岩波新書
詩のこころを読む(茨木のり子)岩波ジュニア
--
注 *1 ○○には「構造主義」「マクロ経済」「相対性理論」など、お好きなコ
トバをどうぞ
| 固定リンク
コメント
本日、blog-goldというサイトでこのblogの紹介を行わせていただきました。様々なblogが紹介されているので、是非一度見に来て下さい!
投稿: みずき | 2004.12.19 04:41