カビとりハイターストロングは、その名のとおり、強力だ。そのパワーは、私の手指を溶かし、目ン玉もノドもおかしくさせる。15分も掃除すれば風呂じゅうピカピカだ(それ以上は身の危険を感じるので退却)
問題はその後
6時間前まで薬剤まみれだった場所に、6ヶ月の赤ん坊を裸にして入れるとき、かなりビクビクしている。もちろん充分なすすぎ・充分な換気を心がけているが、裸の赤ん坊を座らせる場所を、危険な薬剤で「キレイ」にするという発想は、どう考えても矛盾している。
考えていることは皆おなじで、こういう本がある→「ナチュラルクリーニング」。一言だと、キッチンにある材料で掃除しようという発想。料理に使うような材 料なら、体にも地球にも優しいでしょ、という考え方。「地球に優しい」というかゆみを伴う偽善性について、別の機会に斬ることにする。
汚れとは、「こびりついた酸化物」
古くなるということは、酸化するということ。全てのモノは酸化に向かう。老化も劣化も、つづめていえば物質が酸化することに等しい。もちろん石鹸カスのような「アルカリ性」の汚れもあるが、ひとまず汚れとは「酸性」と考えておく
汚れを取る、ということは「汚れを中和させる」
汚れた部分を物理的に除去すれば、汚れは取れるが、繊維などを痛めるおそれがある。発想を変えて、汚れている部分を中和させて、浮かして、取る。界面活性剤がこの考え方。「酸性」の汚れを中和させるには? もちろん「アルカリ性」のものを使う
時間をかけて汚れたものは、時間をかけて、汚れを落とす
だいたい、何週間も放っておいたものを、たかが30分でキレイにしようなんて発想が間違っている。30分でキレイにするためには、強力な洗剤が必要だし、15分ならもっと激烈な洗剤が必要だ。「毎日掃除をしなきゃ」というよりも「時間をかけてきれいにする」という気持ちで取り組む
考え方はこのくらい。「ナチュラルクリーニング」で検索しても、こうした「考え方」は書いてない。「地球に優しい」商品ばかりヒットするからだ。これにゃホント閉口させられる。いや、商業主義に異を唱えているわけではなく、皮をかぶるなよと言いたいだけ。
掃除の材料・道具
薬局に行って、「重曹」と「クエン酸」を買ってくるだけ。あと、普通の石けんでOK。ネットで山のように紹介されている「お掃除を便利にする道具」はいらねぇ。「自分の手」で充分だし、「そのへんのコップ」で充分ナリ
重曹
黒豆を煮たり、ケーキの膨らし粉として使う。本名は炭酸水素ナトリウム。入浴剤としても使えるし、漬物の発色も良くなる。女性のいわゆる「締め付け」を良くするという効果もある(確認済情報)。重曹はアルカリ性の性質をもち、二酸化炭素を発生させる。研磨作用もある。酸性である油汚れに本領を発揮する
クエン酸
その名の通り酸性の性質を持つ。梅干やレモンのすっぱさの素がこれ。水あかや石けんカスなどのアルカリ性の汚れを中和させる。サルモネラ菌の繁殖を抑えたり、タバコのヤニ、魚の臭いの脱臭にも効果がある。酸性の食材なら「食酢」でも代用できるが、酢そのものの匂いがイヤな人にはクエン酸がマル
掃除の手順
1. その汚れは、酸性? アルカリ性? を見極める
2. 汚れのしつこさぐあいを考える
3. 実践する
4. 汚れの落ち具合を調べる(場合により2.へ戻る)
5. 中性に戻す←これ重要!
ほとんどの汚れは酸性だと仮定する。やってみてダメそうなら4.でやり直せばよい。で、軽い汚れは重曹を、しつこいのは石けんを使う。シンクは重曹をふりかけて水スポンジでこすり、ガスレンジの油汚れは石けんをドロドロに溶かしたものをなすりつけて放置するとか。
重要なのに忘れられるのは、中性に戻すこと。アルカリ性であれ、酸性であれ、洗うもののphをどちらかに傾けたら、元に戻すひと手間をかけると、再び汚れにくくなる
Tips
「この汚れは酸性なのかアルカリ性なのか分からない」ときにはgoogle先生に聞いてみる。例えば尿、体調によりどっちでもアリだと思うが、病的なまでに「酸性!」「アルカリ性!」どちらの主張も存在する。
google先生に「尿はアルカリ性」と聞いたら67件
google先生に「尿は酸性」と聞いたら85件
駅ゲロ(酔っ払いが駅で吐いたゲロ)に、駅員さんが粉のようなものをふりかけているのを見たことがあるだろうか? あれはオガクズと重曹を混ぜたもので、オガクズで水分を、重曹で「あの酸っぱい臭い」を吸収しているのだ
鍋のこげつきにふりかけて、水をためておくことで二酸化炭素の泡がコゲを浮かせて、汚れを落としやすくなる。研磨作用があるのでクレンザーとしても使える。鍋に限らず、キッチンまわりは重曹でOK
ラスト、最も実践的なアドバイスを。
できるところから、やろう。実は「ナチュラルクリーニング」、半年前にヨメさんがチャレンジして玉砕。一時期、いたるところに、重曹ペースト、クエン酸霧吹きがあって、ヨメさんはことあるごとにシュッシュと掃除しとったわけ。家中の洗剤類を一掃したのはいいけれど、「これは酸性? アルカリ性?」をいちいち調べたりするのに面倒くさくなり、いつの間にやらやめてしまってたわけ。
っつーわけで、ダンナがリベンジと。まずはキッチンから
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