カラシニコフ
今年のNo.1スゴ本→カラシニコフ(松本仁一)
朝日新聞連載「カラシニコフ───銃・国家・ひとびと」が単行本化。連載中の印象は「カラシニコフ 銃・国家・ひとびと」に書いたが、まとまった一冊を読んでさらに唸る。
大きく3パートに分けられる。
- カラシニコフ銃の優れた性能と、その特性のため誕生した「子ども兵」
- カラシニコフ氏本人へのインタビュー(なんと存命しているのだ)
- 銃により失敗した国家と、銃を抑え込む試み
どれもスゴいが、子ども兵の話を読んで、ほんとうに胸が締め付けられた。私が子持ちだからだろうか…
カラシニコフ銃(AK)とは…
- 旧ソ連のミハイル・カラシニコフが1947年に開発した自動小銃
- AKはロシア語の「アフタマート・カラシニコワ」即ち「カラシニコフ自動小銃」の頭文字
- 口径7.62ミリ、30発入りの弾倉を装着できる
- 故障が少なく、手入れが簡単なため、未熟な兵士にも取り扱いが簡単
- 改良モデルAKM,AK74がある
私は銃に詳しくないが、他の国の自動小銃と比較すると良く分かる。
- 自衛隊の89式自動小銃、通称「アタレ鉄砲」は、一丁35万円ナリ。AKは120ドル(1万3000円)
- 米兵に支給されたM16の逸話。ベトナム戦争時、高温多湿によりM16が頻繁に故障したため、米兵は敵から奪ったAKで戦った。現在進行でもあるイラク戦、砂塵により弾詰まりが頻発したため、押収したAKを使いはじめた「水びたしにして一晩忘れても、この銃は翌日すぐ使える」
- AKは分解しても部品は8個。多少のゴミが入ってもちゃんと動作する。数週間に1回、油をしみこませた布で拭くだけでちゃんと動作する。自衛隊の銃の手入れはもっと念入りで1時間程度かかる。「日本の自動小銃は精密機器なみです」
冷戦時代、この誰でも簡単に扱える銃が誰でも簡単に手に入るようになったため、人を殺せる層が拡大した。つまり戦闘のプロ「兵士」の範囲が拡大し、女子供でも大量殺傷が可能となった。加えて途上国での不安定な国情に乗じた安易な「徴兵」の結果、ティーンエイジの子ども兵が誕生する
それがもたらした現実は読んで識って欲しい。目の前が真っ暗になるかもしれないが、現実ナリ
陸上自衛隊には15万丁、米軍200万丁以上ある。途上国を中心に野放しとなっているAKは、世界でおよそ一億丁あるといわれる。この銃が引き起こした悲劇については、カラシニコフ本人の答えが印象的だ
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