デカレンジャーと「戦争広告代理店」
「戦争広告代理店」には、ニュースの結論の作り方が、とても具体的に書いてあります。言い換えると、ニュースの方向の誘導ノウハウとでもいおうか。「ニュースに結論」なんてあるのか? ありゃしない。ありゃしないが、そういう形で見せてもらっていませんか? 増すゴミに、特に報道番組に。
え? 自覚ないって? んーじゃあ、息子が大好きな「特捜戦隊デカレンジャー」の話をしましょう。え? 聞きたくないって、ま、ま、分かり易いから、この例えは。こたえは…
- ワルいやつがやってきた!
- 戦え、デカレンジャー
- ワルいやつをやっつけた
息子は安心してみてます。だって、デカレンジャーは正義の味方で、アリエナイザーが悪なんだから。ちょっとピンチになるけれど、最後に必ず勝つんだから。
アリエナイザーは卑怯にも、デカレンジャーとは関係のない一般市民を誘拐したりして、「地球から手を引け」と脅したりもします。けれども大丈夫、番組の終わりまでにはちゃんとやっつけて「これにて一件コンプリート」になるから。
面白いよね、デカレンジャー、それに比べブレイドは(ry … をっと熱くなってしまった「ニュースの方向」の話だったよね。
そもそもニュースに結論や方向なんてありません。でも、それを見る観客は、そのニュースばかりに気を取られているわけにもいかないから(次から次へと新しいNEWSが出てくるから)、早く結論が欲しくなるよね。
だから、味付けをしてくれるんだよ、増すゴミは…いや、違うな、ニュースは自分自身でストーリーをつけたがるんだ。こうすれば大衆受けして、面白く語れるからってね。でもね、事実を曲げているわけではないよ。「伝えない部分を残す」とか「ある所を強調する」とか、方法はいくらでもあるよね、シュシャセンタクってやつ。
この世界は巨大な劇場で、相対する私たちは観客。涙、怒り、笑い、客なんだから楽しませてもらわないとね。だって、自分の頭で考えるのは結構たいへんで、考えているうちに次の場面へ移ってしまうんだし…
こうした下地があって初めて、いわゆるPR企業という「情報の仕掛け人」が企業として成り立ちます。ボスニア紛争を通じて、演出された正義、誘導される国際世論を追ったのが、コレ→「ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争」(高木徹)。今回もいますよ、PR企業。直リン勘弁。探し方も含め、自力で頑張ってください(入口はここなど)
ユーゴ空爆… あのへんから、「人道的介入」という言葉がまかり通って、今に至っている。私は忘れてないよ。いま起きていることの始点に近いところから目を離さないように心がけるよ。
ミロシェビッチ裁判は、まだ続いています。判決は2005年予定
--
おまけ、というよりメモ。よく忘れるので、これ
1つの国家:旧ユーゴスラビア
2つの文字:(ラテン文字とキリル文字)
3つの宗教:(カトリック、正教、イスラム教)
4つの言語:(スロベニア語、クロアチア語、セルビア語、マケドニア語)
5つの民族:(スロベニア人、クロアチア人、セルビア人、モンテネグロ人、マケドニ ア人)
6つの共和国:(スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モ ンテネグロ、マケドニア)
--
さらにおまけ
PR企業、星の数ほどあるので、もーすこし絞り込もうと漁っていたら、面白いサイト見つけたよ!"DISINFO-PEDIA"ですって!「ディスコミュニケーション」っつー漫画があったなぁ(今は「夢使い」)…
Wikipediaならぬ「非情報-ペディア」でつか… で、Wikipediaには無い "Public relations firms" を見ると… あった。あとは自力で探してくれ
有用なキーワードハケーン→Post-war Iraq。あとで読もっと
--
| 固定リンク
コメント
Dainさん、
大変、楽しく「スゴ本」を読ませていただいております。なんか、すんごくひとごととは思えないくらい、共通する関心があります。
たとえば、「存在の耐えられない軽さ」とか、この記事とか、選択を親父の本棚から盗み読みしたとか、育児とか...私もついこの間三歳の息子を教育しようと、水泳を仕込みました。
そもそも本題ですが、これこそアメリカがイラクで失敗したことにひとつの原因だと思います。ちょっと、戦争広告代理店でもカバーできないくらいの失敗なのだと思います。友人が、「広報戦略」という話しをしておりましたが、非常に納得しました。
ああ、ぜんぜん伝わらない文章を書いていますね。どうもあたまがちょっとパンクしているようですので、また改めます。ごめんなさい。
投稿: ひでき | 2004.05.08 21:08
あ、ひできさんだ!
ワーイうれしいなー
ヽ(´∀`)ノ
えー、このblog、冷めたときも狂ったときも書いているので、濃淡が激しいです(時には非常にヲタクなネタも書いてるし)。ほどほどにつきあってくださいませ。
イラクでの miserable failure (とgoogleってみるとオモシロイ)は、ひできさんご自身が答えを見つけていますよ、「米兵は『最後の人間』か?」で。読んだとき「あ、先に言われちまった」と思いましたもの。ズバリこれ↓
ネットがリアルに影響力をもちつつある。ネットの
コストの安さと早さが驚異的だからだ。うまい情報
が流れればたちまちネット上のヒット商品になる
"This is what they don't (show you on CNN)."の胸に穴の開いたあかちゃんの写真は、(非常に不謹慎な言い方ですが)「ヒット商品」となっています。
米国首脳近辺から「PR企業の選択ミス」という声がもれています。こんなワタシにすら聞こえてしまうぐらいだから、情報に対するコストが飛躍的に下がっているのを痛感しています。
あとはわたしたちの、情報の「選択」能力ですね (^-^
--
投稿: Dain | 2004.05.08 21:44
Dainさん、
寝るはずだったのに、だらだらネットにつながっているひできです。
なぁんか、nimさんにGreeにさそっていただいて、眠れなくなってしまいました。もう頭はオーバーヒートしていて思考力0なのに...
ああ、しかし脳みそをふるいおこして、ちょっとだけ。
ネットとリアルって最近びみょうに交差してますよね。これがどうなるかが、ひとつの興味。でも、これって片方で確実に「最後の人間」を増産するのではないかというのが、私の次の恐怖。んで、「最後の人間」ばかりになると、システム崩壊がおこり、100年くらい時計が逆周りするだろう、と。んで、一番熱心に読んでいるのが、第二次世界大戦前後の歴史です。
私の持っている、もう一方の限りなく楽観的なシナリオは、ネットが非常にうまくいろいろなことの代替機能をもって機能して、ついでに異性人とのコンタクトに成功して全人類が地球意識に目覚め、お金も存在しない、戦争もない、芸術や文学が人の生きがいになり、悟りの一歩手前くらいの人間ばかりになるという、スタートレックのような歴史...ないだろうな、こんなの絶対に...
でも、今の時代はかなり微妙だと思っています、ほんとうに。一歩間違うと、宗教戦争がおこるとか、第三次世界大戦が起こるとか、頂戴規模システム崩壊的大災害がおこるとか、国内でも世代間格差がすすみすぎてほとんど闘争がおこったり...いくらでも悲観的なシナリオがかけて、現実味をおびてしまいかねないのが、今の時代。
はぁ。
もっともっといろいろがんがん議論しましょう!!!
でも、今日はもう寝ちゃいます。おやつみなさい...
投稿: ひでき | 2004.05.08 23:40
ひできさん、お返事ありがとうございます
あと100年ぐらいは、カタストロフな出来事は起こるかもしれないけれど、人の世の結末にはならない、不連続な時代が続くんじゃないかなぁ …と思っています。
ネットというオモチャが手に入ったんだし、blogではゆっくりキャッチボールも可能です。お互いの考えのキャッチボールを楽しみましょう。
投稿: Dain | 2004.05.09 18:11
Dainさん、
すみませんでした。コメントで書くべきじゃなかったですね。頭が朦朧としながら、コメントしたりメールしたりするのはひかえるべきだと、反省しております。
最近、そういうネットの上の信頼性とうか、自分のドジさというか、気になっています。
あ、そうそう、kohさんなかなかネタかかえてますから、行って刺激してやってくださいね。おもしろいですよ、彼は!!!
http://blog.livedoor.jp/k_omori/
投稿: ひでき | 2004.05.10 22:09