カラシニコフ 銃・国家・ひとびと
銃を撃ったことがある。
インストラクターから、「ベレッタ」という名前だと教えてもらった。初心者にも扱いやすいという。もっと重いものかと思っていたが、ずっしり感はあるものの、その重さは銃把の安定度につながっていた。
ホールドして、狙って、絞る。
私はスジがいいそうだ(客に世辞をふるまったともいえる)。にこやかに笑うインストラクターを見て、手の中の銃を見て、いま強いのはわたしだ、と思った。
銃があるのとないので、気持ちが一変している自分に気づき、恐くなった。これは、ただの、道具にすぎない。持ってるだけで強くなれるなんて、不思議な道具。
カラシニコフは自動小銃なので、拳銃とはまた違う。けれども道具としては同じ目的であり、(ちょっと重いけれど)女性や子どもでも扱えるという。強くなれる道具。
カラシニコフは、故障しにくい自動小銃といわれる。ベトナム戦争時、故障が多発したM-16を捨て、米兵は敵からぶんどったカラシニコフ銃を使ったという。重宝される道具。
カラシニコフは、部品が少なく、メンテナンスが楽な自動小銃だといわれる。おかげで安価に大量生産でき、長く使うことができる。世界でおよそ一億丁あると推定されている。
カラシニコフは、祖国ソビエト連邦を守るために、この優れた銃を作った。この銃が世界で何をしてきたのかは、3ヶ月かけて朝日新聞「カラシニコフ 銃・国家・ひとびと」に連載されてきた。たった3ヶ月? もっと長いこと読んできたような気がする。悪夢からようやく覚めた気分だ。けれども、夢の終わりのほうは、「銃を抑え込む:武器で壊れない国家を」という希望が持てるラストだった。
書籍化を望む、もう一度、はじめから読みたい
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