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血のトレーサビリティ

 400ml献血をした。いつものとおり献血手帳を渡して、いつものとおり質問用紙を書いたんだけど、ひとつ違ったことがあった。

ご本人さまが確認できるものをお持ちでしょうか?

    「へ?」

免許証や保険証などで、ご本人さまのお名前とご住所を確認させていただいております

    「は、はぁ…」

免許証を見せて事なきを得たのだが、持ってこなかった人はどーなるんだろう、と質問してみると…

「(献血を)お断りさせていただいております」

とのこと。この本人性の確認は、


  • 渋谷区では今年3/30からはじめたこと
  • 5月から都内ぜんぶで実施
  • いずれ全国区で実施

とのこと。どうしてこんなことするのかというと…ここからは、日赤のサイトからご紹介しましょう

  • 氏名・住所の虚偽の申告などで検査結果の通知が届かなくなることを防ぐ
  • 献血された方の血液の感染症検査が陽性になった場合に遡及調査を確実に行う
  • 献血される方に自ら「提供する血液は安全である」という意識を持って責任ある献血ができる

献血時の本人確認を試験的に開始(日本赤十字社より)

 献血するのであれば献血手帳が必要だけど、献血手帳そのものの住所氏名は、自己申告だったはず… やっぱり、昨年ぐらいから耳にしてきたウィンドウピリオド(ウィンドウ期間/空白期間)が問題視されているんだろうなぁ… と調べてみたら、そのまんまな記事がasahi.comに→輸血の安全、続く模索 ウイルス感染は防げるのか(asahi.comより)

 以前、AIDSについて記事にしたとき、その感染経路を調べたことがある。確かに輸血による感染は少ないながらもあった。気になったのでチョト調べてみた

  • 「日本におけるAIDS/HIVサーベイランス 1985~1997」を読むと、1998年、日本国内の献血血液でHIV感染が初めてあったことがわかります。これはウインドウ・ピリオド中の感染者血液によるものだったことも報告されています
  • 「HIVの感染経路」には、1998.5.26「厚生省エイズ動向委員会の報告」の報告が引用されています。これをどう読むかは人によるでしょう
  • 輸血感染症(日本赤十字社中央血液センターより)を読むと、HIV/AIDSに限らず輸血による感染症の種類や頻度などがわかります
  • 「血液の安全性」(日赤)を読むと、安全な血液を供給するための様々な対策が説明されています

HIV感染からHIV抗体検査陽性までのウィンドウピリオド→約22日間

 確かに、梅毒・HIV抗体検査結果の通知を望むか? [Y/N]という欄はあります。しかし、それは「検査するが、その結果を知りたいか?」という意味であって、言葉どおり受け取るべし。そして、その検査は万全じゃないことも知るべし。心当たりがあるのなら、こっち(HIV検査・相談マップ)に相談するといい。土日夜間、即日30分検査してくれるところが検索できます。検査するならこっちのほうが早いし確実でしょう。

 話を戻す。チト時間が足りないのできちんと調べていないのだが、再び輸血感染が発生したのではないかと想像してみる。そして、その献血者の氏名・住所から手繰れなかったのではないかと邪推してみる。この本人性の確認、もし上記の目的でやるのであれば、最初の症例が報告された1998年から即座にやっていただろうから。

 3/29に「おしらせ」をして、3/30に試験的に開始するのも唐突すぎるなぁ~と思った。北海道と東京と大阪の9会場かぁ… へぇ… もう一つ思い当たるところがあるんだけれど、あんまりにも黒すぎるので控えておきます(たぶん今あなたが想像したのと同じ)

あくまでも推測なのだが…

 事故や病気などで、大きな手術をして、成功して喜んでいたら、HIV感染していた… なんて、想像したくないほどの悲劇でしょう…

 HIV/AIDSの主な感染経路から縁遠いあなたでも、輸血やグロブリン投与をすることはあるかもしれない。そして、それが安全ではない可能性が、ごくわずかだとしても、確かにあるのです。

 トリインフルエンザ狂想曲が一区切りついたから、増すゴミよ、この件、あたってほしい。意外とフカいヤマになるかもねっ
--
2004/7/9追記

極東ブログ「今後エイズは日本の大問題になるかもね」で知った"Oblivious Japan may be on brink of AIDS explosion"が興味深い。「健忘症」と揶揄られても仕方ないかと。

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