引用、転用、借用、悪用、盗用…
- 悪用:わるく利用すること。わるい目的に使うこと
- 援用:自己の主張のたすけとして、他の文献・事実・慣例などを引用すること。目的は著作権法的な「引用」に近い
- 活用:効果のあるように用いること
- 換用:換えて用いること
- 逆用:ある事柄を本来の目的とは反対のことに利用すること
- 借用:借りて使うこと。「借りる」には貸すほうからの許諾・協力を受ける、というニュアンスがある
- 使用:つかい用いること。最も抽象的な意味での"use"
- 窃用:他人のものを無断で使用すること。「窃」には、「人知れずそっと」という意味がある
- 善用:よい方にうまく用いること <-> 悪用
- 代用:代わりに用いること
- 転用:本来の用い方をしないで、他の用途に用いること、流用
- 盗用:ぬすんで使用すること。「盗」にはひそかに学ぶ(まねぶ)という意味がある。バレなきゃいいじゃん、というパクり
- 乱用:みだりに用いること、濫用
- 利用:役に立つように用いること。だしにつかうこと
- 流用:きまった目的以外のことに融通して使用すること。「引用」とは明らかに違うね
「他からもってきて使う」ことについて、これだけ沢山の言い回しがあるということは、この国の言葉が、それだけパクリと剽窃とオマージュと本歌取りを繰り返してきたことがよく分かる。
この記事を書いたきっかけは「ウェブログ@ことのは」のある記事でした。「ウェブログ@ことのは」はblogの運用にあたって有益な情報がたくさん紹介されているblogです。
大昔、あっちこっちで見かけてた「インラインフレーム使って人様のサイトを丸ごともってくる」やりかた。おいおい、懐かしすぎるぞ。詳しくは「ページ盗用問題まとめ」にあります。
人のフリ見て我がフリ直せ、びゃんびゃん更新かけてるこのblogは大丈夫かしらん、とチョト気になったので、「引用」は無断でやるのが当たり前を参考に読んだのがコレ→「クリエイター・編集者のための引用ハンドブック」
引用とは何ぞや? 辞書を引くと、「自説のよりどころとして他の文章や事例または古人の語を引くこと」とある。普通に使う「引用」の定義はこれでいいとして、著作権法での「引用」はもう少し厳密だ。それは上のリンクを読めば分かるので、そこを読んで欲しい。
それよりも面白いなーと思ったのは、「引用」という言葉が、悪用、借用、盗用、乱用 etc… という言葉のどれかと誤用されているところ。自分メモのつもりで、それぞれの定義をまとめたのが冒頭のリストです(参考:逆引き広辞苑五版対応)。
次におもしろいなーと思ったのは、豊田きいちさんの「編集者、制作者の役割」の箇所。クリエイターたちは、もちろん著作権のことを念頭においてコンテンツを創造しますが、彼らの役割はあくまでも創り出すこと。
出来上がった原稿について、差別語、不適切な表現、著作権への配慮を考慮において吟味しなければならないのは、編集者だときいちさんは述べています。また、そうしたことをする専門職(reader/リーダー)という職業がイギリスには実際にあるのだそうです
また、きいちさんは悪い言葉として著作物をモノにするキモを明快に語っています。ここは引用しますね
もうひとつは「自家薬籠」なんですが、ポイントは一緒です。著作物とは創造物、創造物とは創造的に表現したものなんだなー ということが分かって、ぐっとラクになりました
最後に。著作権法第三十二条の規定はビシっと具体的に書いてあるわけじゃないため、立場による「読み方」ができてしまいます。この本を読むと、様々な事例を通じ、第三十二条がどう解釈されてきたかが分かります。そして、「現状はこれがスタンダードとなっている」といった通念のようなものを身に付けることができるでしょう。
良い本を教えていただき、とても感謝しています、松永英明さま
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コメント
こんにちは、夏川です。
私も少し迷いのある部分ですので大変参考になりました。
投稿: 夏川 | 2004.05.06 15:51
こんにちは、夏川さん、コメントありがとうございます
お役に立ててとても嬉しいです
まだまだ足りないところがありますが「人のフリみてわがフリ直せ」を心がけています。他人の失敗は私の勉強。このblogでも幾多の「失敗」を晒しています、だれかの勉強になるために(w
投稿: Dain | 2004.05.06 19:51