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第6章:プロジェクトタイムマネジメント(その3)

ちょこちょこ書いてうpするのがいいのか、それともいっぺんに一章分ageるのがいいのか… 思案中。今回はちょこちょこやね。

ここでは、プロジェクトタイムマネジメントをまとめます。
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keywords


  • クリティカルパス
  • ラグとリード
  • 最早開始日と最遅開始日
  • 最早終了日と最遅終了日
  • スラックとフロート

クリティカルパス
 そもそもblog上でPMPまとめをやろうとした理由は、「私はクリティカルパスを理解しているのかな? もし分かっているのなら、赤の他人が理解できるように説明できるはず」。

 だからPMP試験に間違いなく出るこのジャンルについて、以下の説明がわからないという人がいるのであれば、それは100% 私の説明の仕方が悪いということ。

 さて、本題。クリティカルパスとは何ぞや? クリティカルパスは、プロジェクトマネージャにとってどのように役立ってくれるのか?


  • ネットワーク図が完成し、それぞれのタスクの期間見積もりがなされた後に、ようやっと見つけることができる
  • ネットワーク図の「開始→終了」の間のたくさんのパス(ルート)のうちで、最も長い時間がかかるパスのこと。タスクの数多さではなく、タスク期間見積もりの合計が一番長いルートのこと
  • クリティカルパスの時間 = そのプロジェクトが最短で終わる時間
  • スラックはゼロ
  • カレンダー日付ではない
  • しつこく言うが、CPMは "Critical Path Method" だ。"critical path" ではない。つまり、クリティカルパスは、CPM、PERT、モンテカルロ法のどれを使っても見つけることができる。CPMの専売特許ではない。

ラグとリード(p.74)
 ガイシュツかもしれんが、繰り返し説明する。どちらも、タスクとタスクの間に挿入される時間(期間)のこと。PMBOKによると、ラグは遅延期間と訳出されている。「タイムラグ」のことだね。例:コンクリートを打ったら、養生に○日かかるといったときの○日

 一方リードは「先行時間」または「準備期間」とでも訳出しようか。ベースボールで「5対2でリードする」といったとき、"lead by a score of five to two" のスコアが時間に代わるだけ。

最早開始日と最遅開始日
 "Early Start Date" は「最早開始日」と訳出される。ヘンな日本語。意味は、「そのタスクを一番早く開始することができる日」。また、"Late Start Date" は「最遅開始日」と訳される。「そのタスクを一番遅く開始することになる日」という意味だ。どうしてこんなヘンテコな概念があるのか?

 一つのタスクを見積もるとき、2つの方向から見積もる。スタートから日数を数える場合とエンドから日数を数える場合の2方向から。

 スタート(5/1)
  ↓
 タスクA(1日かかる)
  ↓
 タスクB(2日かかる)
  ↓
 タスクC(3日かかる)
  ↓
 エンド(5/6)

…と連なるときを考えてみる。
 スタート→タスクA→タスクBの方向から見たとき、タスクCに最も早く着手できる日は、スタートから「タスクAの日数+タスクBの日数」経過したとき。つまり、Cが最も早く開始できる日、すなわち「最早開始日」。

 5/1にスタートしたとき、タスクCに最も早く着手できる日は、スタートから「タスクA(1日間)+タスクB(2日間)」経過したとき。つまり5/4から最も早く着手できる。即ち、タスクCの最早開始日は5/4。

 チョト気をつける必要があるのが、スタートした日付も含むということ。5/1スタートなら、タスクAは5月1日を含めて勘定に入れる。もう一つ気をつけなければならないのは、カレンダー日付。PMP試験ではウィークデイを[勘定に入れる]or[入れない]を明記してくれるはず。あるいは日数ではなく、もっと一般的な週数での設問になる。リアルとは違うよね。リアルでは盆暮れも勘案しておかないとエライことになるよね。

 こんどは逆方向、つまりエンドの方向から見る。エンド←タスクC←タスクB←タスクAの方向から見る。エンドの日付(プロジェクトの終了日)は決まっているから、タスクCをぎりぎりまで遅らせても大丈夫な日付は、エンドから「タスクCの日数」を差し引いた日付。つまりCを最も遅く開始してもいい日、すなわち「最遅開始日」。

 5/1にスタートしたとき、タスクCをぎりぎりまで遅らせても大丈夫な日付は、エンドから「タスクC(3日間)」を差し引いた日付。つまり、遅くなったとしても5/4にタスクCに着手すれば間に合う。即ち、タスクCの最遅開始日は5/4。

 え? タスクCの最早開始日と最遅開始日は同じ5/4だって? そうだね… だってスタート→A→B→C→エンドの一本道だよ、どのタスクも遅れちゃいけない、ゆとりが一切無いパスだもん、こいつをクリティカルパスっていうんだよもん。

 最早開始日と最遅開始日… どちらも、ものすごく楽観的な考え方だなぁ… 全てが予定通りと仮定して計算した日数だから、そのままでは使えない。

 リアルでの使い方は、ブレがその範囲内かを判定するモノサシですな。最遅開始日より遅いようなら、何らかの手を打たないと間に合わないと即座に判断できるし、最早開始日よりも早く開始できたのなら、どっかがおかしい、仕事のモレヌケが無いか? あるいは見積もりが甘かったかを判断できる。ありがちなのはモレヌケ、工程の終わり間際に見つかるよかはいいでショ? あと、見積もりに甘味がついているのなら、どこかで辛い間違いをしでかしているはず。

「最早開始日」は、"Early Start Date" 略してES
「最遅開始日」は、"Late Start Date" 略してLS
略語も出るから覚えるしかない(説明抜きで設問に出てくる)

最早終了日と最遅終了日
 上の概念が分かったのなら、カンタン。「最早終了日」は、「そのタスクを一番早く終わらせられる日」だし、「最遅終了日」は、「そのタスクを一番遅く終わらせることになる日」になる。例を挙げる。つまりこういうこと。


  • 「最早終了日」=「最早開始日」+「そのタスクにかかる日数」
  • 「最遅終了日」=「最遅開始日」+「そのタスクにかかる日数」

これらは、
「最早終了日」は、"Early Finish Date" 略してEF
「最遅終了日」は、"Late Finish Date" 略してLF
とも言う。やっぱり説明抜きで設問に出てくる。

スラックとフロート
 PMBOKではスラックもフロートも同じ。定義:プロジェクトを遅延させることなく、タスクの開始を遅らせることができる時間の合計。クリティカルパス上で遅延が発生するということは、マイナスのスラックが発生したことになる。スラックが分かると、


  • どこにリソース(人、モノ、時間)を集中させるべきかの判断材料になる
  • それぞれのタスクに対し、時間的にどれぐらいの柔軟性を持てるのか、判断材料になる

 このスラック、適当にタスクに見積もり時間をぶちこむだけで、自動計算してくれるソフトがある(M$-PROJECTとか)ので、出し方知らないという人が多いかも… 試験には計算方法「を理解しているか」も含めて出る。

 スラックの求め方は、以下の通り

 LS-ES から求めることができる。LSは"Late Start Date"つまり最遅開始日、ESは"Early Start Date"すなわち最早開始日。つまりそのタスクを「一番遅く始められる時」マイナス「一番早く始められる時」の差をスラックという。

 LF-EF から求めることができる。LFは"Late Finish Date"すなわち最遅終了日、EFは"Early Finish Date"最早終了日。つまりそのタスクを「一番遅く終えることができる時」マイナス「一番早く終えることができる時」の差、この場合もスラックという。

 特殊なスラックとしては、以下のものが試験に出る。


  • フリースラック(Free Slack:FS)またはフリーフロート(Free Float:FF)… タスクA→タスクBと続くとき、Bの最早開始日を遅らせることなく、Aの終了日をぎりぎりまで遅らせることができる期間のこと
  • トータルスラックまたはトータルフローと… プロジェクト完了予定日を遅らせることなく、でもぎりぎりまで遅くできる期間の合計

 式がいくつか出てきたけれど、試験にはそのままの形ではでない。ここは覚えるのではなく、理解するところ。理解できているかどうかは練習問題をやると分かる。次回は問題三昧ナリ、お楽しみに(楽しいのか?)

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