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インテリジェンスをもう一匙(大森義夫)

…の最終回を読んで分かったこと。

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
  祝 ! 刊 行 化
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

 これは、独自の情報機関(intelligence)の必要性を説く連載記事。月刊誌「選択」の連載のうちイチバン目をつけている記事。昨今の政府対応・マスコミの情報収集能力の貧弱! 貧弱ゥ!! なのは、いわずもがな。

「スパイ衛星で防衛庁と政府が祭りやってるが、あれはハードじゃなくってソフトなんだ、集めたデータを"情報化"できる人間を育てないとイミないんだヨォォォ!!」

 という作者の声が聞こえてくるようです(作者の声は脳内変換してあります)。どういう本なのかは、最終回をレジュメ化したので、以下を読んでもらえば分かる。

 「対外情報庁」を作っても、単体では意味なし。裾野を広げる必要がある。peripheral devices(周辺装置)の広げ方は以下のとおり。

周辺装置1…大学

  「情報学」がコンピュータセキュリティ…    _/ ̄|○ コイチジカントイツメタイ
  「危機管理講座」がデリィバティブの演習…  _/ ̄|○ ナマエマチガッテルヨ、ソレ

「情報」について、激しくカンチガイしている大学がある。大学でのインテリジェンスは、「人間を観ろ!!」に尽きる。マキアヴェッリやフーシェの古典から、外交史を中心に世界史を徹底せよ。情報入手/分析の技術は二の次でよし。

周辺装置2…職能訓練

スパイ養成と後ろ指さされるのがそんなに恐いか? 。国際政治や安全保障の理屈を机上で学んでも、日本の情報力は身につかない。専門知識と指導力を備えた教官をおけ。訓練生はまず強靭な肉体作りに励め。

周辺装置3…研究機関

とりあえず「米国政治」「華人」「コリアン」をテーマに実践的な政治研究が行える機関を作れ。米国政治レポートなんて、それこそ星の数ほどでているが、一言「浅い」とバッサリ。その理由がイカしてる。ちょと引用するね。

例えば「ネオコン」である。ネオコンの出現といわれる「新しいアメリカの世紀のための計画委員会(PNAC)」が「基本方針についての声明」を発表したのはクリントン政権下の97年6月だった。日本の各方面がネオコンを取り上げたのはブッシュ政権が誕生し01年の9.11テロが起き、米軍のアフガン進攻が始まった後である。(インテリジェンスをもう一匙「見果てぬ夢」は唄う より引用)

良質な研究者はいるのだが、なべて組織的に実践的にレポーティングできる「組織」が必要。せめてby name(記名式で)実績を競うオープンな場を作れ。


果たしてそんな機関は、今の日本で作れるか?

 元内閣情報調査室長、大森義夫氏の結論は「できる」である。
必要性は私も同感。できる範囲で(ボランティアでもいいから)力をかしてやりたいぐらいだ。


 しかし、そう思う一方で、それをどう統御するのだろうか、とも思う。日本版CIAは、やはり首相がコントロールするのだろう。そんなことができるのだろうか、と思う。大森氏は情報機関が独善に流れない工夫として、政府責任でインテリジェンス評価(estimate)を公表せよという。機密費であんだけ騒がれたうえで、有権者は納得してくれるのだろうか?。答えは単行本を読みながら考えてみたい。

単行本は『「インテリジェンス」を一匙――情報と情報組織への招待』と題して、選択エージェンシーより4月下旬に刊行されます。


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2004.3.8追記
インテリジェンス・コミュニティーなる記事を見つけたので気になるトピックにリンクを張ってみた。

○大森義夫氏は立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科の危機管理学演習(企業と情報)で講師をしているとのこと。

○これはワロタ!! These Weapons of Mass Destruction cannot be displayed(英語)… んで、これがWIRED NEWSの解説(日本語)

○土屋大洋氏のインターネットを萎縮させるインテリジェンス・コミュニティーも興味深い。日本のインテリジェンス・コミュニティーの現状については、大森義夫氏と同じ認識だ。ただしその先が分からない。

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2004/3/24追記
「インテリジェンスをもう一匙」に触発されて書かれたユン・ヘリンさんのコメント。ざっと見しかしていませんが、長文&キワどいところを突いている記事です。

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