「遙かなるセントラルパーク」を読んだ。たぶん、スティールボールラン(以下SBR)の原作だと思う…
ネタバレ無モードで書いたレビューを読むならこちらへドゾ。
こっちはネタバレ全開モードで書くんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!
トランス・アメリカ。ロサンジェルスからニューヨークまでのプロフェッショナル・ランニング・レース。「遙かなるセントラルパーク」は史実をヒントに作られたとはいえ、SBRはさらに「遙かなる…」をヒントに描かれたJOJOともいえる… 私が勝手に思い込んでいるだけなのかもしれないが。
SBRのネタになりそうなトピックを洗い出してみる。
1) ドイツチームvsアメリカチーム
2) 洪水
3) 女性ランナー
4) 大統領からの妨害工作
5) FBIの査察
6) 労働組合の妨害
7) 大運動会
8) 賭け(人間対馬車レース)
9) 賭け(ボクシング)
10) 意図された交通事故
11) 大団円
1) ドイツチームvsアメリカチーム
トランス・アメリカには、ほとんどの人が個人で参加していたが、「チーム」を組んではダメ、というルールはない。そのため、レースの前半は、コーチ&医師団を引き連れた2チームがしのぎを削ることになった。
結局アメリカチームは成績が振るわないまま、ドイツチームはドーピング(コカイン)疑惑により、リタイアすることになる。
2) 洪水
レース前半のクライマックス。コース上の橋が洪水で渡れなくなった。急遽迂回コースが得られるが、急流を渡ってしまえ~と「ショートカット」を試みる一団がいたのだが… という話。最初はてんでバラバラだった集団が、「チーム」を意識して行動するようになったというオマケ。
3) 女性ランナー
トランス・アメリカには、最初、121名の女性ランナーが参加していた。始まってすぐに120名が脱落することになる… そしてたった一人の女性「ミンスキーの踊り子」だけがニューヨークまで走り続けることになる… SBRでももうすぐ出てきそうな予感。
4) 大統領からの妨害工作
このレース、大統領からギャングまで、あっちこっちからありとあらゆる妨害工作を受けることになるんだけど、この「大統領命令」なる妨害は秀逸。大統領は票のためにアレコレと手をまわすんだけれど、このレースの主催者フラガナンは、そうした障壁をものともせず、ときには運で、またあるときには運で、さらにいざというときは運で切り抜けてゆく…
5) FBIの査察
上の妨害工作の一環。「レース参加者に人殺しがいる」というウワサを元にのりだすFBI捜査官。フーヴァー長官(でしたっけ?)も登場します。えーと、
B・Bといえば分かるかな? 地下ボクシングで試合で人を殺してしまった人がランナーにいて… という話。結局、担当捜査官が、フラガナンに昔助けられたことがあるという話で事なきを得るのだが…
6) 労働組合の妨害
こんな大レース、スポンサー無しではやっていけません。んで、スポンサーになった一企業が、これまた悪名高い搾取企業だったからサァタイヘン。地元の労組がレースを潰せとばかりに実力行使を仕掛けてくる。事前にキナ臭さを察知したフラガナンは、ランナーたち全員にIWW(組合の略号)のTシャツを着せることでピンチを切り抜ける。
7) 大運動会
こんな大レース、資金が底をついてしまう… ので、スポンサー集めに狂奔するついでに、通過町の大イベント「ハイランド・ゲームズ」に参加するランナーたち。
「…そこでわれわれは全員、ハイランド・ゲームズとかいうものに招待されたのだ。いったい、どんなゲームなんだい?」
「スポーツ大会ですよ。スコットランドでは近くの町や村から人々が集まって、走ったり、ジャンプしたり、投げたり、格闘をやって楽しむんです。ダンスやバグパイプコンテストをやることもありますよ」
(上巻p.297)
「ハイランダー悪魔の戦士」を思い出した私ってば…
_/ ̄|○
highland:スコットランド高地、スコットランド特有の(リーダーズ英和)
作者がスコットランド出身とあって、スコッツネタが満載。
(ウィスキーのスコッチのことを"スコッツ"と言い直すところがニヤリ)
8) 賭け(人間対馬車レース)
いよいよ資金が底を尽くかと思いきや、フラナガンは窮余の一策をぶつ。すなわち、誰が見ても成立しないゲーム「人間対馬」を興行するのである。短距離と長距離ともに「人間が」勝利を得るという、すごいレースなり。
9) 賭け(ボクシング)
「人対馬」で負けた地主が、賭けボクシングを提案する話。これもまた、元地下ボクサーがランナーにいて、「トランス・アメリカ・チーム」が勝利を得ることになるのだが…念のため言っておくけれど、SleepingSheep は出てきません。10センチ爆弾もありませんぞ。
10) 意図された交通事故
場所はシカゴ。仕手はアル・カポネの手下2名。レースの掛け金2000ドル欲しさに、あるメキシコランナーを車で轢く… はい、ここまで読んだら分かるね。いったい誰がシカゴで死ぬことになるのかを… ひょっとして死なないかも。なんせサンドマンだからな(w
11) 大団円
ニューヨークの少し手前で、メインバンクが破産します。資金は底を尽きます。んで、東西奔走した結果、あらたなスポンサーがつくことになるんだけれど、その条件が、
これまでの全てをご破算にして、セントラルパークまでの42.195㌔までを、レースとする(いままであんだけ苦労したのは、いったい何だったんだぁぁぁぁぁぁぁー)
です。最後のレースに全てをかけるランナーたち。死闘、そして死闘。最後に残った4名は、ゴール目前で「手を取り合って」歩みだすのであった… 完
…とまぁ、駆け足で書きなぐってきたのですが、この倍のエピソードが詰まっています。読んでみそ、面白いから。
え? 絶版だって?
図 書 館 に 逝 け !!
最後に。胸に刺さった言葉を引用しとく。わたしはrunnerじゃないけれど、この言葉は覚えておきたいから。
ヴェガスまでの道のり。標高5000フィートを超えるマッカラー山脈越えを前に交わされた会話。
「その通り。いつだってランナーをつぶすのはペースなんだ。決して距離じゃない」
(上巻p.231)
そう、目標までの距離じゃない。
あんたが何を目標にしているのかが問題じゃない。
ただ、あんたがどんなペースでその目標に向かっているかが、気になるんだ。
つけたし。
SBRで下半身不随のJOJO。彼の家族の「貴族としての生活」は、株の暴落によりなくなる筈。んで、彼は、家族のために走らなければならないハメになるような気がするなどと言ってみるテスト。
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コメント
ども,コメントを付けて頂いてありがとうです。そうですか「遙か」が正解ですか。いかんせん昔に読んだもので,記憶があやふやでした。修正しておこう。
これを機会にちょくちょく寄らせていただきます。
投稿: dandanodada | 2004.03.03 11:22
dandanodadaさん、コメントありがとうございます。
「円太亭麺人あれこれ」のブックレビュー、いいですね。私みたくネタバレに走らず、「読もうかな?」という気にさせるところが。
現在、「蟻の革命」読もうかなと思案中。
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投稿: Dain | 2004.03.03 12:21