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スティール・ボール・ランの原作(ネタバレ無モード)

…と思われる、「遥かなるセントラルパーク」を読んだ。きっかけは、@JOJOの1928年に行われたアメリカ大陸横断フットレースで知って、おおっと思って読んだ。正確に言うと、20年ぶりの再読だな。

 少年ジャンプ連載中の荒木飛呂彦「スティールボールラン」(以降SBR)は、アメリカ横断ウルトラレース。SBRは馬でも車でもなんでもアリなのに対し、こっちは人間の足だけで走る。莫大な賞金をかけて、ロサンジェルスからニューヨークまでを人間の足で走るんだよ。考えただけでも気の遠くなるような道程だが、この壮大なアメリカ大陸横断マラソンは、1928-1929年C.C.パイルという興行師が企画し、実際に行われた[URL参照]
。この史実に想を得て書かれたのが、コレ。

   常軌を逸した破天荒な設定
   猥雑で魅力的で、底抜けに陽気なキャラクター
   笑いあり、涙あり、色恋あり、ハァハァも少しだけ、アルヨ !!
   予想のつかない展開、トラブルまたトラブルを乗り越えて、
   ど  ん  で  ん  が  え  し
   …そして、
   (半ば予想してたけど、それでも感動的な)大団円。

この話の真髄ともいえる一節を引用する。気分は「そこに山があるから」と同じ。

 ドクのみるところ、ブレイク、コヴァック、オキャロル、そして、少なくともあと千名のランナーにはニューヨークで賞金にありつける見込みなどこれっぽっちもない。なぜ、連中は走り続けるのだろう? ドクはこんな疑問が生じたことに、われながらびっくりした。
 彼らがそうするのは、走っている時間が、どんな大家も、雇い主も、政治化も奪い取ることのできないひとときなのだからだ。彼らは失業手当や施し物の列に並び、でっぷりした政治家どもが絶え間なく会議を開いてお茶をにごしている間に、なす術もなく、ただ待っていた人達だった。彼らとてトランス・アメリカに勝てそうもないということはじきに悟った。
 それでもなおレースを続ける肚を決めたのだった。彼らはただアメリカを走って横断するために参加したのだ。何人も彼らを止めることはできない。なぜ走り続けるのかを問う必要もなかった。
(下巻p.159)


原題は "Flanagan's Run" 『フラナガン』は、この大会の主催者の名前ナリ。
さいきん面白い小説を読んでいない?


     じ  ゃ  ぁ  こ  れ  を  読  め  !


あ、言うの忘れてた。勘違いの無きよう。
「遙なるセントラルパーク」には波紋もスタンドも「回転球」も出てきません、念のため。

あ、も一つ言うの忘れてた。
amazonにある「遥かなるセントラルパーク」は誤り。文春文庫版は[遙か]だよ、涼宮遙のハルカ。

以上、ネタバレ無モードでした。ネタバレ全開モードはこちら。これは「遙かなる…」のネタバレであって、SBRがそうなるのとは別なことにお気をつけあれ。
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