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萌えるチボー家の人々3

3.父と娘

第4巻「美しい季節 II」です、前回(親子丼)の続き。ダニエルのとーちゃん、ジェローム。筋金入りの助平なんだけど、ひょんなことから捨てたリネットを救い出そうとする。キャバクラ(っつーか娼家)から身請けし、田舎へ帰そうとする。あんだけさんざんなことやっときながら、この一事でもってこう考える。

ジェロームは、たまらなくなって、彼女のそばへ歩みよった。そして、腰のまわりに片手をまわした。《おれはよい人間なんだ。おれは他人が思っている以上によい人間なんだ》彼は心にこうくり返した。彼の指は無意識にスカートのホックをはずしかけていた。いっぽう唇は、彼女のひたいの上に、父親らしいキスを押しあてていた。

「よい人間」は無意識にスカートのホックを外そうとはしないと思われ(w
別れのシーンはせつない。あんだけ慰みにされ、捨てられ、後に「許してくれ」といけしゃーしゃーと迫られ、許した男から去るとき。それでも女は健気だ。息子にまで迫られたのにな(w

やっと汽車が動きだしたときに、たまらなくなったリネットは、からだじゅうの力をあつめて、ドアから身を乗りだし、「ダニエルさんに…」と、言った。感動のあまり、そこで声がわれてしまった。「よろしく…」

おっと、これは書いてなかったな。リネットは、そもそもメイドとして雇われて、お手つきにされた一人です。萌えるというよりも、せつないな、ここは。

ジェロームとリネットが父と娘「もどき」だとしても、この後のクララとイルシュは本当の父と娘。自分の情欲をコントロールできなくなったとき、人間はかくもあさましく、おそろしい行動が取れるんだなぁ…しみじみ。

ちょっと説明すると、この物語の主人公、アントワーヌ・チボーの彼女ラシェルの昔の情夫がイルシュ、その娘がクララ。

悲しいのは、クララに婚約者ができたとき、これまでと異なり全力で父を拒もうとする態度。あたりまえじゃん、と思うのだが、その行動は正常じゃない。

「わたし、まったく偶然に、見てしまったの… 部屋のそばまで来ると、なんだかドタンバタンという音が聞こえる… ドアは、半分あきかけになっていた。クララは、ブラウスも着ず、両腕もむき出し。そして乗馬服のスカートをもぞもぞさせていた。そして、あたし、ドアをあけたとき、クララが、椅子の上においてあったむちを取って━━━ぴしり!イルシュの顔を強くはたいたところを見たの!」

結局、近親相姦から逃れるためには、結婚ではなく、死を必要としたところがクララの悲劇。それにつきあったのが婚約者だった… ここも「死とセックス」あり。

…スマソ、紹介してて思うが、萌えないねぇ、哀しいねぇ。

一気にここまで書いたが、チョト休憩。誰か読んでるのかなぁ。反響ありそうなら、4と5を書きます。
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HIV、AIDSについて書いてみる

 特に、感染経路について。以下のリンク先の資料を読んで考えたことを、書いてみます。専門知識はありません。新聞やネットの情報でもって書いているため、過不足/誤りがあるかもしれない。その場合はご指摘いただくとありがたいです、勉強になるし。

 「先進国」と呼ばれるなかで、HIV感染者、AIDS患者が増加しつづけている国は、唯一、日本だけです。新聞は丹念に読んでいるつもりです。SARS、BSE、トリインフルエンザetc… と紙面を賑わせているのですが、HIV感染者の増加傾向についての警鐘は、残念ながら小さい音量です(私の耳が遠いのならいいのですが)。

 厚生省エイズ動向委員会の報告のうち、2004年1月を見て欲しい。
特に注目して欲しいのが、「国籍別、性別、感染経路別、年齢別、感染地域別報告数(表1)(表2)」の、「異性間の感染経路」です。

 「HIV感染は、同性愛の男性や薬物注射の濫用がほとんど…」とどこかで刷りこまれた私の脳には、上の感染経路は衝撃でした。しかも全体の6割を占めるのは20代から30代の若年層であり、20代未満に3名…

もちろん、輸血などに伴う感染もあるため、一概にくくれないけれど…

 データは少し古くなりますが、平成14年度エイズ発生動向年報にある、表4HIV感染者及びAIDS患者の国籍別、感染経路別年次推移(1985~2002)[MS-Excelファイル注意]を一部加工したグラフを作成しました。加工した内容:数的に少ない感染経路「母子感染」、「その他」、「不明」を省き、さらに男女別の人数を合計してあります。

hiv_aids.gif
*1 両性間性的接触を含む。

これを見る限り、感染経路として「異性間の性的接触」がかなりのびていることが分かります… また、ソースはないけれど、クラジミアやヘルペスなどのSTDが増加していることを聞きます。STDにより炎症を起こしたため、感染力が比較的弱いとされるHIVが感染(うつ)りやすくなっているのではないかと。

…っつーか藻前ら、ちゃんとゴムしる!!
アソコはきれいに洗っておけ!!
中田氏すんな!!
↑オサーンくさいなぁ…
言葉を代えると、
     ・感染者の若年齢化が進んでいる
     ・異性との性的接触による感染率が高まっている
 月並みだけれども「性交可能な年齢になる以前から、きちんと性教育を行うことで、予防可能だ」ということが言いたいのです。ドラッグや肛門性交を行う人々に向かって、「針のリユーズは止めろ」とか「グリセリンは多めに!!」といったところでムダでしょう。

 ヘテロセクシュアルな行動とか、コンドームの使い方なら、充分にアドバイスできます。小学生に濃密な(少なくとも自分がそうであったよりは密な)性教育を施すことへは、かなりの反発が予想されます…しかし、我が子が生涯をかけてHIV感染と付き合う可能性よりかは、我が子のVirgin喪失が自分よりも若干早めだった結果のほうが、受け入れやすいでしょう。

 学校での性教育に期待する親がいます。でも、間違っていると思います。HIV感染の観点からすると、予防的な性教育は、文字通り「我が身を守る」ことそのものです。我が子の安全を世界で一番案じているのは、きっと、あなたでショ。センセイじゃ、ないでショ。

 かくいう私もえらそうにいえません。結婚前はコソーリとHIV抗体検査受けましたもん… 結果は大丈夫でしたが、チョトドキドキしたのは事実。

 繰り返しますが、SARS、BSE、トリインフルエンザの話題も重要かもしれません。しかし、HIV、AIDSについては緊急の問題だと思います。私のアンテナが貧弱ならいいんですが、どうもこの話題が「ちいさめ」に扱われているような気がするので、書かせていただきました。

コンドーミング宣言

ヒトゴトじゃねーべ > safe sex

…と書いてきて、「感染経路のもう一つの側面」を忘れてました > ユーラシア大陸経由
怪しくなってくるのと、危ない話になるので、ここで退散します。書き逃げ?
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2004.3.1 以下を追記。
つらつら書いていたら、同じトリガーで書いている方を見つけたのでtrackbackしてみたりして。
敬天愛人格物致知さんの「 AIDSはすぐそこに」より

 ところが、そのコンドーム国内出荷量も1990年をピークに、今は減少しつつある。日本が高齢化社会を迎えてセックスレスになってきたとか、低用量ピルの普及だからだとは思えない。

かなり鋭いです。はげしく同意。…で白状すると、私の記事のネタ元は月刊誌「選択」の2月号です。かなりセンセーショナルに書いてて、訝しんで調べ始めたのがキッカケ。

Fozyさんの性病・妊娠防止「ゴム。ゼッタイ。」から引用します。

 避妊のことも性感染症のことも知らなさすぎなんだよ。だったら細かいこと言わずに、ゴムは絶対だと刷り込んでおけばいい。

ここだけ引用するのは乱暴かもしれないけれど、その通りだと思います。そして、学校なんぞに任せずに。その子のことを一番考えている「はず」の親がキチンと教えるべき。

Ver.82さんの「セサミストリートにエイズ感染者役が登場」より引用。

 南アフリカ版のセサミストリートに、HIVウィルスに感染している五歳の孤児「カミ」というマペットが仲間入りした。彼女は養母と生活しているという設定だ。カミという名前の由来はツワナ語(ボツワナ共和国の母国語)で”受け入れること”と訳され、「エイズ感染者や患者が持つ苦痛を和らげ、(社会が)彼らを受け入れられる」のを願って付けられた。

HIV感染者は、日本社会から隠蔽されているように「見える」。増加傾向がこのまま続くようなら、「感染者とどのように接するのがよいか?」を啓蒙するような「番組」が出てくるに違いない。
…あるいは、カミングアウトしたタレントとか(既にいるけどね)

ついでに「コンドーム」のトリビアも見つけたので引用してみたりして。
naoさんの「こんどうむ・・・。」より
    「コンドームってAIDSが見つかったから作ったんでしょ?」
    え?
    「違うよ、避妊のためだよ。“今度産む”からコンドーム。」
    えええっ?
    コンドームって日本語だったの?
あ、ネタだからね~
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萌えるチボー家の人々2

2.親子丼

親子丼… おやこどんぶり… ああ、この甘美な響き。日向鶏はあくまで柔らかさを主張し唇で削ぐ。金色卵は半々熟、しかも熱くて甘い。ちょっと舌を焼くタレの感触を味わいながら、ひとくち、はぐはぐ…

…の親子丼じゃない、おやこどんぶりの話。第3巻「美しい季節 I」の話。5年経ってます。
前回でダニエルの話はしたよね。やっぱり初めてのセックスって、やっぱり重要だね! 彼のinitiationでは、「女性は釣るもの、そして、共に快楽を味わうべき存在」という結論をもたらすことになる。要は放蕩息子やね。この息子にして、この親あり、というやつなんだけど、父親のジェロームがまたすごい。嫁子ほったらかしにして女子(おなご)の尻を追いかけるという、めずらしい四十やさ男。お手つきのメイドさんもたくさんいるし~。んで、その尻拭いをするのが妻であるフォンタナン夫人。

ポイントは、フォンタナン家に流れる淫蕩な血。

キャバクラの新入り、美女リネットを陥とすダニエルの話。色事師の手練手管が開陳されます。イケメンを自負している♂ども、ひょっとすると参考になるかもしれんぞ。いろいろ[わけありな]リネットを攻略するダニエル。彼女の初々しさに心震わせながら、付かず離れずのアプローチを試みるダニエル。努力が実って、ようやくいい顔を見せるリネット。

もう一押しのところで彼女が、こういうシーンがある。

「あの、あたし、どこかでお目にかかったような気がするんだけれど」
彼は、やみの中で微笑した。彼は、女がそうくるだろうと思っていた言葉だけしか口にしないのをありがたく思った。
「ダニエル何っておっしゃるの?」

そして、ダニエルの姓を知ってから、彼女は執拗に逃げ出そうとする。とまどいながらも追うダニエル。一種のゲームかしらと思いながら。ついに彼女をつかまえるダニエル。けれどもgentlemanとして振舞い(戦略的一時的撤退)、彼女を送っていってタクシーに乗せてやろうとする。そこでの会話。

つとめて友人として別れるときの態度をしめしてやろうとした。いっしょに乗らないとはっきりわかったとき、女の顔からは緊張がゆるんだ。女は運転手に行く先を知らせた。それから、ダニエルのほうをむいてわびるように言った。
「許してね、ダニエルさん、今夜は帰らしていただきたいの。あした、そのわけをお聞かせするわ」

しかし明日にならずとも決行することにする、ダニエルは。激情に駆られたまま動き出す自動車へ走り寄る。女も同様。いったん火がついたら、どうしようもないわな。若い♂♀はね(w

リネットは、すでにドアをあけていた。クッションの奥に身をすさらせていた。その目は、やみの中にひらかれていた。女をしっかりと抱いてやると、女は唇を押しあてて来た。そして彼には、女が、弱さやおそれの気持ちからではなしに、自分をまかせているのを感じた。女は、すすり泣いていた━━━━━絶望したかのように━━━━━そして、何かききとれない言葉をつぶやいた。
「あたし…あたし…」
ダニエルはそれをきいてぎょっとした。
「あたし…あなたの…赤ちゃんがほしいの!」
「じゃあ、おんなじところへ行きますかい?」と、運転手がたずねた。

ええと、ここは笑うところです。運転手さんのナイスつっこみに!
あと、解説が後だしでしたね。ちゃんと読むと、ダニエルが一生懸命口説いてたワケアリ美女は、ジェローム(とーちゃん)が開通式を済ませた女性であることが分かります。しかも、ナマ入れ中田氏したみたいで、妊娠→死産の経過をたどっていた…と。

うーむ。これは萌える要素じゃないかもしれない… がエロいです。「あのひとの子が産めなかったから、あの人の息子と」なんて。一途なエロスと、やっぱり「死とセックス」を感じます。
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モノは言い様

「Windows XP SP2はセキュリティのためのSPと言っても過言ではない」を読んだ。突き刺さる一文があったので引用する。

脆弱性については、「あらゆるソフトウェアに存在するもので、“欠陥”ではない」と定義。その理由を東氏は、「欠陥とはソフトウェアの設計段階から問題があるものを指し、マイクロソフトが言う脆弱性とは、リリース後に悪意あるユーザーがさまざまな試みを行なったあとに発見されるものであり、設計段階のミスではないからだ。(Internet Watchより)

「仕様通り」というやつやね。
これから顧客に突っ込まれたら↑の文章をコピペしようっと、二度と口きいてくれなくなること請合い(w
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はじめてのスパム:「送信者詐称」をやってみよう

知っていることと、公開することは別モノだと思っている小心者なので、この方法を公開するのは控えていました… が、公開してるとこ見つけました。
スパム小僧への第一歩はここから。
「送信者詐称」をやってみよう

「SMTPのジョーシキじゃん!!」というツッコミ上等。知っていることと、公開することは別物。さらに「私が」公開することはもっと別物。「原子爆弾の作り方」は、知識として知っています。けれど、公開するのは犯罪の薫りが…

極東ブログの栄養教諭の恐怖のスパム小僧「死ね糞気違」さんへのfinalventさんのメッセージが面白い。

 > なんか、こー、情念は伝わってきます。

この一行に笑ってしまった。

小心者はリンクのみ晒す。
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萌えるチボー家の人々1

みんな、だまされているヨ!! これは萌える小説なんだYO!!

「チボー家の人々」という長編小説がある。ノーベル文学賞を受賞したぐらいだから、文学の薫り高い逸品扱いされているけれど、みんな、勘違いしてるよ、これは「萌える」小説ナリ。

いまから萌える要素を考察していくけれど、チョト長くなるかも。
底本は、白水uブックス「チボー家の人々」1~13巻。
ネタバレ全開&毒電波受信しまくっているから、これからチボー家を読もうかなと思っている人は以下の文章を読まないように。
あるいは「黄色い本」(高野文子)とか「チボー家のジャック」を読んで、なんだか憧れのようなものを抱いている人も、以下を読まないことをオススメしときます。

萌えサマリー
   1.少年x少年
   2.親子丼
   3.父と娘
   4.妹、しかも友達の妹
   5.妹、しかも血縁関係なし、さらにメイドさんの娘でもある

1.少年x少年

第1巻、サブタイトル「灰色のノート」の話。「灰色のノート」をめぐる話なんだけど、要は交換日記。ちょっと引用するね。

自分の感情を研究してみればみるほど、人間は、
  一個の獣
であり、そして恋愛のみ、よくこれを高め得るもののように思われる。これこそ、ぼくの気づいた心の叫びなのだ。それは確かだ!
ふたりをしてかくも互いに愛させたもうこと、孤独にすさむふたりの心を、かくも堅い結合によってひとつに合わせたもうことを、主に感謝してたてまつろう!
けっして、ぼくを捨てないで!そして、ぼくらふたり、お互い同士
  ぼくらの愛
の燃える相手であることを、未来永劫おぼえていよう。J.
(p.83)


こんな感じ~。もうすぐ14歳になる少年と少年の日記です。熱いです、無敵です、純粋です。男女の恋愛よりも、もっと純な感じがします。だって、♂♀だと、マイルストーンとでも言い換えることが出来るからな(w

少年はジャック・チボー。意思力の強い、感情主義でドリー夢がちょっと入ってる、チボー家の一人。童貞。
もう一人はダニエル・フォンタナン。頭もよくって、オトコマエ。詩が好きな一見ロマンチスト。童貞。

…とまぁ、他人が読んだらこっ恥ずかしい内容を、センセイの目を盗んでは帳面につけていたワケね。まぁ、同性同士なんて、思春期にかかる「はしか」のようなもので、程度の多少はあれ、誰しも経験したことがあるんじゃないかと言ってみるテスト。でもね、本人同士は大マジメなんですよ、二人っきりで暮らしたいとか、二人で旅行に行きたいとか、できもしないことを熱っぽく語り合っては、ウルウルしてる。きょうび、ボーイズ・ラブ系のどこも採りあげないような設定。

風向きが変わるのは、「灰色のノート」がセンセイにバレるところから。ジャックの恐ろしいほどの走り書きを引用する。

卑怯にも、なんの証拠もなく、非難してはばからぬやつら、彼らに汚辱あれ!
  汚辱と、そして災厄と!
卑怯な振る舞いはぜったいにやめよう、嵐に向かって突進するのだ!むしろ進んで死を選ぼう!われらの愛は、誹謗、威嚇の上にある!ふたりでそれを証明しよう!
  命をかけてきみのものになる J.
(p.93)

家庭から、学校から一直線に脱出するジャック。とまどいながらも(このままだとジャックが暴走する)と心配しながらついていくダニエル。二人の逃避行が始まります。パリからマルセーユまで。マルセーユからアルジェリアへ行こうとします。ハァハァする箇所はここ。二人で宿に泊まるところ。

部屋に入るなり、お互いの見ている前で裸にならなければならないことに気のついたふたりは、おなじことを思って当惑していた。
(p.95)

しかし、しょせん都会っ子の家出、金も尽き、アルジェリアへ密航する方策もないまま、何日もしないうちに捕まって連れ戻されます。途中、見知らぬ女性の手引きでダニエルだけ童貞卒業するイベントつき。スカートの中を知ってから、ダニエルのジャックへの友情はみるみるうちに色あせてゆく… 現金なものよのぉ。まぁ正しいけど。

後産な話として、二人は馬が死ぬところに遭遇します。直前がダニエルの童貞喪失なことを思い出すと、まさに「死とセックス」。このテーマは繰り返しでてきます。

駆け足でしたが、「灰色のノート」転じて「少年x少年の交換日記」の紹介でした。BL(Boys Love)な人が読んだらハァハァするかもな。
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サハリンプロジェクト

テレビ東京のガイアの夜明け「燃えよサハリン~始動する石油巨大プロジェクト~」を観た。知人が赴任するから、どんなとこだろうと興味半分で、観た。

「極寒の地」そのままの風景。長男ドミートリイの流刑先もさにあらん、というすごい場所。

そのすごい場所に世界中の目が集まっていることに、あらためて気づかされました。映像はスゴかったけれど、番組は薄かったので、ネットで補完した情報をメモする。この超巨大プロジェクトを「どのようにまわしているか」がとても気になるところ。引き続きヲッチする。

■サハリンプロジェクトの概要。開発進展の程度により3つのカテゴリに分けることができる。( )内は投資額。

 ○カテゴリI
   サハリン1プロジェクト(150億ドル)
   サハリン2プロジェクト(100億ドル)

生産物分与契約(PSA)が発効しPS鉱区として事実上承認され、具体的な開発作業に入っている。

 ○カテゴリII
   サハリン3プロジェクト(探鉱投資に4.1億ドル)

鉱区開発権を落札。生産物分与契約は未締結。PS鉱区法は承認されつつある。

 ○カテゴリIII
   サハリン4プロジェクト
   サハリン5プロジェクト
   サハリン6プロジェクト

開発権の入札があるが、形成されつつあるコンソーシアムが落札する見こみ。

※「ガイアの夜明け」ではサハリン1とサハリン2を扱っていた
サハリンプロジェクトの鉱区地図

■資金調達の方法。非常に厳しい気象条件と地理条件の下、1990年代に貧乏国となったロシアが、莫大な投資負担は不可能。

ここで注目するべきなのが、「生産分与契約(PSA)」という資金調達の方式。これは、探鉱、開発および生産プラントのコストを賄うために企業が提供した投資への返済に、プロジェクトから生まれた初期収益があてられることを保証する方式である。

一見するとロシア、西側企業ともにwin-winの調達方式に見えるが…

 ホスト国が鉱区使用料あるいは税金の受け取りを始める以前に、どのコストが賄われるべきかについて、だれが決定権を持つのかという問題があるのだ。まったくよくあることだが、プロジェクトは「金メッキ」ものであった。言いかえれば、鉱区使用料の支払い段階になる以前に、充分な──ということは、不当な──利益を確保しようと、企業は建設コストを水増ししていたからである。じつに、いくつかの事例では、開発コストはあまりにも高く計算されており、鉱区使用料は結局支払われることがなかったのである。
(リチャード・タンター「サハリンプロジェクト:夢か悪夢か?」より引用)

これをふまえて、カテゴリII、カテゴリIIIでは生産分与契約は未締結のまま。「ガイアの夜明け」では「30年の悲願」や「国益」といった言葉が景気良く飛び出していたが、まだまだ途についたばかり、ともいえる。この巨大プロジェクト、私が生きている間にどこまで進むのだろうか?

■関連リンク
北海道:サハリンプロジェクトの現状
京都精華大学:サハリンプロジェクト~夢か悪夢か?
北海道大学:サハリン大陸棚における石油・天然ガスの開発と環境
三井物産:サハリンへの道がエネルギーの道になる
資源エネルギー庁:サハリンプロジェクトのFAQ
ガイアの夜明け
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みずいろ

 あるギャルゲーをプレイした。ギャルゲーというものは、一つのソフトに色々なシナリオが入っているんですが、私がいちばん気に入ったのは、むかし離ればなれになってしまった幼なじみと再会する、というシナリオでした。じわわん、と胸が熱くなった。

 私は思い出す。幼児→小学→中学、ずっといっしょだった近所の女の子。家族ぐるみのつきあいだったので、おたがいの家に入り浸っていたなぁ。よくからかってたっけ。高校のときに告白されて断ってそれっきりだったよなぁ、とチョト勿体無い思いをしながら、実家に電話したときついでに訊いてみた。

  私「あのサ、むかしよく家に遊びに来たあの子、覚えてる?」
  母「… あぁ、日和ちゃん(仮名)ね?」
  私「そそ、どうしてるんかなぁ? もおケッコンして子どもとかいるんやろな」
  母「… 」
  私「ん、どしたの?」
  母「あのね」
  私「うん」
  母「日和ちゃん… お亡くなりになったの… 」
  私「え… 」
  母「去年、ご病気で… 」
  私「… 」

…目の前が真っ暗になるというよりも、目が見えなくなった。
しばらく上を見上げていたんだと思う。
ずっとずっと下のほうから「パパどうしたのー」という声が聞こえる。
ギャルゲーって、体験するかもしれない出来事のシミュレーターでもあるんだね…

_/ ̄|●
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プロジェクトマネジメントプロフェッショナル

 PMPとは、"Project Management Professional"の略語。つまり、プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナルのこと。PMPは、非営利団体PMI(*1)が行う、プロジェクトマネジメントの国際資格です。世界120ヶ国、50,000名以上が資格を保有。(2002.12時点の情報)

続きを読む "プロジェクトマネジメントプロフェッショナル"

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芸者-苦闘の半生涯(増田小夜)

「極東ブログ」の紹介で「芸者-苦闘の半生涯」を読んだ。幼くして芸者に売られ、戦中戦後の混乱期を生き抜いた女性の数奇な半生の話。

自分の生涯で、最も痛かったことを思い出しても、最もひもじかったことを思い出しても、作者が体験した思いを想像することすら不可能でした。それほど苛酷な半生が淡々とした言葉でつづられています。そんな私でも、作者が発する強いメッセージは痛いほどわかりました。ここに、引用します。

いま私は、親の無責任から罪のかたまりのようにこの世に生まれ出たものが、どんなみじめな気持ちで一生を送らなければならないかを訴えて、私のような人生が、ぜったいに繰り返されないようにと叫びたい気持ちでいっぱいです。 [中略] 人の心を持ち、人の親になったら、たとえ精根つきようとも、その子がひとり歩きできるまで、親としての義務をはたしてもらいたい。

このテの話は「あゝ野麦峠」とか「女工哀史 」ぐらいしか知りませんでした。どちらを読んでも暗鬱な気分になるけれど、これはチョト違う。暗い中にも、生きていこうとする勁さを受け取りました。

ふと他界した祖母を思い出す。

幼い私は、「ばあちゃんの若かった頃の話」を喜んで聞いたものだ。そのほとんどが「ご飯を満足に食べられなかった話」だったように記憶している。で、結語はいつも、「だから、食べ物を粗末にしちゃだめよ、バチがあたるから」だった。

食事を除けば苦労はなかったかと思えば、そんな筈ない。若くして良人に先立たれ、女腕一つで呉服屋を切り盛りし、二人の子どもを育て上げ、畑までやっていたくらいだから。並大抵の苦労じゃなかったと想像する。

祖母に限らず、祖母のネットワークの人々にも懐いていた。遊びに行けば必ずお菓子をくれたから(w 今から30年近くも前の話だ。

いわゆる「老人ホーム」に入り浸って、いろいろな話を聞いたのだが、不思議と苦労話がなかった。少なかったのではなく、なかった。大変だった半生を振り返っても、彼/彼女らは「今もいいけれど、あの頃はもっとよかった」と。想い出とは、いいものしか残らないのか?

いやいや、最近の爺婆のかまびすしい不平不満、公共の場でのルールもマナーもなっていないふてぶてしい態度を見ていると、トシヨリも変わったのだなぁ、とつぶやいてみる。

最後に。いい本を紹介していただき、感謝しています。ありがとうございます > finalventさん
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タイガーウッズの育て方

「トレーニング・ア・タイガー(アール・ウッズ)」を読んだ。著者アール・ウッズは、タイガー・ウッズの父親。私はゴルフやらないので、教育本として読んだ。

教育に対する彼の考え方は、私と同じであることに気づいてから、確認のつもりで読み進めることになった。あぁ、同じだな~と感じたところを抜粋する。

 親子がうまくいくためには、互いに尊敬する関係がなければだめだ。そんなよい関係が生まれるためには、愛情は与えるものであり、尊敬は勝ち取るものだと理解することだ。  まだほんの小さなころから、子どもの尊敬を勝ち取るよう努力するべきである。困ったことがあれば、いつでも助け舟を出す気持ちがあることを子どもに伝える。指導を与えるのは求められたときにのみとどめるべきだ。 (p.21)

 愛する気持ちは、常に言葉や態度で伝える。「以心伝心」は、少なくとも私にとっては、ありえない。子どもの年齢に関係なく、真面目に応えるべきだ。おかしいところは理由も含めて指摘する。その一方で、自分のおかしいところはいつでも指摘してかまわない、自分が間違うこともあるだろうから、ということも、予め伝えておく。子どもが最初にコミュニケートする相手は、親だ。その親である私が適当な態度で接しているならば、子は、「コミュニケートはいいかげんな態度でもよい」と思うだろう。

 また、私は、子どもを安心させなければならない。子どもにとっては、毎日が冒険だ。知らないことばかりだ。そんな子どもに「安らいでいられる場所」を供さなければならない。それは「イエ」という建造物だけじゃないかもしれない。私は、自分の時間をできるだけ子どものために使おう。会話であれ、遊びであれ。そのうちウザがられるだろうが、子どもが自発的に距離をおかない限り、なるべくつきあってあげようと思う。困ったことがあったら相談できる相手であると信用してもらうために、今からたくさん話し合っておこう。

 「安らいでいられる場所」のためには、妻との関係も重要だ。父母がケンカしてたら、その理由はなんであれ、子どもは安心できないだろう。私は、自分が子どもだった頃、両親が喧嘩してた夜を思い出す。もしリコンしたらどうなっちゃうんだろうという不安と、どうとでもなれという気持ちに押し潰されそうになりながら、自分がどうしようもなく無力な存在であることを思い知らされたものだ。妻とは今まで以上にいい関係でいなくちゃ。

 子どものゴルフ教育における一番大きなハードルは、フラストレーションとの付き合い方だ。とかく子どもというものは、何かをすぐに会得できないと興味を失ってしまうことが多い。だがゴルフでも人生でもそうだが、お手軽な満足なんてあり得ない。満足は瞬時に手に入ることは無い。  そこで、実は自分もまだ会得していないのだと子どもに話してやる。誰にも会得なんてできないかもしれないが、それでも自分は楽しんでいる、と。 (p.40)

 これは、ゴルフだけでなく、何かを手に入れようと努力しているならば、常に起きうることだ。
「達人のサイエンス」にも同じことが書いてある。簡単に手に入るようなものは、たいしたものじゃない。努力を積み重ねていって、ようやくあるところへ到達する。けれどもそこはゴールじゃない。一つのの段階だ。そこからまた努力を積み重ねていって… この場合、「努力の積み重ね」そのものを楽しめるか否かにかかっている。

 タイガーは、上達の秘訣を尋ねられると、「1に練習、2に練習、3に練習。ウォーッ!!」といったそうだが、この大切な「人生の秘訣」を知っているのと知らないのとでは、まるきり違った人生となっていただろう。私はどうやってそれを伝えることができるだろうか?

「今日の目標は何だい?」
するとタイガーは答える。
「ドライバー練習場のはしっこにあるヤシの木だよ」
私は質問を続ける。
「どのヤシの木だい?」
「左から3番目のやつだ」
タイガーのやっていたことは正しい。ゴルフの場合、どんなショットでも目標を狙って打たなければ意味が無い。目標を狙わずにショットを打つべきでない。目標は具体的であればあるほどよいのだ。 (p.168)

 ここ、ゴルフの話だけれど、仕事であれ、学業であれ、なんにでも通じるキモですな。目標のない努力は無意味であり、目標は具体的であればあるほどよい。最終目的があり、そこに到るまでのプロセスや成果物を具体的に思い描いて(必要とあらば書き出して)、そいつに向かって「スケジューリング→実行→軌道修正」を繰り返す。

 仕事の必要上、私はある資格を取得するための勉強をしている。子どもはそれをじっと見ている。子どもがもう少し大きくなって、「べんきょう」というものをするようになったら、きっと私に訊いてくるだろう…「どうして勉強するの?」って。そのときには、ここで書いた文章を思い出さなきゃ。目的達成のための、努力する習慣と方法を身に付けるためだよ、って…も少しやさしく説明できるようにならないとな(w。

著者アール・ウッズの母親の口ぐせを引用する。シンプルで、真実だ。

・他人を裁いてはならない。それは神様の役目
・教育を受けなさい。それは将来、決してなくなることの無い、誰にも取り去ることのできない資産です
・(マイノリティは)他人より頑張らないと平等な機会は得られない
・最後に… いつもよい人間でありなさい

最後に、チョトだけゴルフの話。日本ゴルフ協会のジュニア会員は7歳以上で、ゴルフ場や練習場も大半は「危険回避」を理由に子どもの入場を禁止していることを付け加えておきましょう。

この本はメルマガ「一日一冊:人生の智恵日記」で紹介されて手にとりました。良い本を紹介してくださり、感謝しています。ありがとうございます > japantnさん
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ぼくの見た戦争~2003年イラク(高橋邦典)

日本人カメラマンの従軍写真集。「児童向け」に薄めに作ってあるとはいえ、慣れない人が見ればショックを受けるかも。ためしにblogでの感想をさらってみると、予想通り。

眼の好奇心に従って、試みにgoogleってみるとよい。ブラウン管や紙面に映らない生々しい映像がたくさんある。これこそ「子どもに見せられない画像」だな(w。グロ画像を含むリンク先は提示できないため、簡単なやり方を記すに留む。

  1) googleのイメージ検索のkeywordとして、以下を入力する
    iraq+body とか、
    iraq+dead とか、
    iraq+injury とか...

  2) 検索結果をチェックする(リンク先がPhoto Albumになっているならそこも全部)

別にグロ画像を見ろといっているわけじゃない。現代のマスコミは、目黒のサンマのようにフィルタリングされた情報しか無いよ、ということ。彼の地の人々がどういう目に遭っているかを知って、あたしゃ目の前が真っ暗になりましたもん、ことば通りで。
隠された仄暗いところを見る予習に、この本はいいかも。

良いところと足りないところを、書く。

【良いところ】米兵との以下の会話が良い。彼らの気持ちが凝縮されてると思う。引用する。

 ぼくが話をした若い兵士たちの多くは、「早く、家に帰りたい」といっていた。戦争は、彼らにとっては、仕事であって、「とっとと仕事(戦争)を終わらせて、家に帰ろう」という気持ちなのだ。(p.5)

2004.3で進攻より12ヶ月。準備期間を含めると16ヶ月。さすがに駐留しっぱなしの兵士はいないとは思うが、苛酷な状況下で緊張を強いる「仕事で出張しにきた」米兵の精神状態はかなりのモンだろうなぁ。雑誌「選択」で採りあげていたからマスコミ報道にもでてるかもしれんなぁ、この話題。

【足りないところ】写真で伝えられない次の要素が書いていない。

 におい。血と肉の匂いは、皮膚に染む。あの写真(p.27,49)を撮ったのに、その匂いを記さないのはどうしてだろう?。「ベトナム戦記(開高健)」を読んで、私は、死体の匂いは「甘くて皮膚に染む」ことを学んだ。後に確認する機会があったが、その通りだった。チグリス河のほとりは乾燥しまくっているから、彼の鼻腔まで届かなかったのだろうか?。

最期に。この写真集は、「イラクの小さな橋を渡って(池澤夏樹)」とセットで見るべきだと思う。ダイエット食品『使用前』と『使用後』よりもクッキリとよく見えるから。
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2004/5/9追記
ひできさんの米兵は「最後の人間」か?を読んで考えさせられる。こんなことできるのもネットというオモチャのおかげで「情報」コストが飛躍的に下がったためだと思う。中東という距離とプレスコントロールにより、彼の地をベールで覆っておきたい人たちにとってはやりにくい世の中なんだろうな、と想像してみる。
んで、彼の地で戦う米兵たちを想像するときに役に立つだろうと思いトラックバック。

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飛ぶ夢をしばらく見ない(山田太一)

kanonが厨房へのファンタジーなら、これは厨年男へのファンタジー。どちらも楽しみました。
ょぅι゛ょとか言ってる輩(やから)、まぁ読んでみそ。厨年男の萌えを垣間見ることで客体視できるかもな。

女は年齢を遡って生きるようになった。
最初は老婆、40代→30代→20代→10代、そしてょぅι゛ょと、会うたびに変態を繰り返していく。さながらセト神アレッシーの影を踏んだかのように(スピードはゆっくりだけど)、若返っていく女。何故そうなったのかは分からないし、後説明もなし、ファンタジーだからね。

女との関係は、真剣な戯れから始まった。
ケガで身動き取れないため、カーテン越しに手指でまさぐりあう。
言葉と指の感触だけで達する二人。

どんどん若返っていく女を相手に、濃密な交合を繰り返す主人公。この平凡な中年男の手記という形式で物語は進みます。見た目は少女とはいえ、以前の記憶は全て残っています。つまり、「体は幼いが心や経験は成熟している」というオタな方には非常に都合のよい存在…男は会社を辞め、家庭を捨て、女と共に生きようと、最期まで見届けようとするが…

当時の解説には、「エロス」という言葉を割り当てているけれど、こりゃ「萌え」だよ「萌え」。光った箇所を引用する。若さを表現するのに、こんな的確な方法があったなんて。

 着物からこぼれる白い腕をひるむように私は見た。
 「つまんで」
 いいながら睦子は自分でその腕の皮膚を右手でつまむようにした。
 「さ」
 私がしたようにしてみて、というように左の腕を私の前にさらした。
 「つまめないでしょう」すがるような響きがあった。
 「若いの」若いことを歎くようだった。
 (新潮文庫P.119)
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私へのメッセージ(Dain)

それよりオレよ、聞いてくれ
オマエの子は、どんな子になって欲しい?

   勉強ができる子か?
   サッカーが得意な子か?

   それとも、
   分けへだてなくやさしい子か?

   あるいは、
   そんなんどうでもいいから、しあわせになって欲しいか?

じゃぁ、「やさしい子」になるにはどうすればいいか、知ってるか?
「しあわせな子」になるにはどうすればいいか、知ってるか?

子どもは、「やさしさ」なんて知らない。「しあわせ」なんて知らない。
オマエを見て覚えるんだヨ !!

だから、先ずオマエがやさしくならなきゃ > 妻に、子に
だから、先ずオマエがしあわせな顔をしなきゃ
(しあわせは単品じゃない。子の幸せ⊂妻の幸せ⊂オマエの幸せ)

子どもは、親の言うことなんて、聞かないよ
ただし、親のマネをするのは抜群に上手いよ

もう一度、言っておく。オマエ忘れっぽいからな(w
「やさしさ」は、オマエがやさしくなることで、初めて伝えることができるんだよ
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kanon(key)

このトシになってギャルゲーかよ…

大昔、子供だったころ、親父にぐーで殴られた夜、頬の形が分かった。腫れて熱を帯びていたから。
まだ若かった頃、むちゃして激辛カレーを食べたあと、胃の形が分かった。刺激物で一杯になっていたから。
最近、オッサンじみてきた今、このゲームをプレイするとき、ココロの形が分かります。いっぱいのせつなさと、名前の知らない気持ちで満杯になっているから。

涙を流すとか、声をふり絞るとかはココロの安全弁なんだなぁ。それが間に合わないぐらいのスピードでココロが一杯になっていくという、非常に珍しい経験をしました。
でも、ファーストプレイの印象は…目がとにかくデカい!
picture/kanon06
(クリックで拡大)

も、物の怪の類(たぐい)…?
(ファンの方、ごめんなさい~でも第一印象の本音)
慣れたけど~(w

造形の云々じゃなくって、いいシナリオです。いい演出です。しみじみと、何度でも泣けます。心のカタチが変わっちゃったかも?
象徴的なシーンを引用しときます。未プレイの人にはナンのこっちゃ? という会話だけど。

  あゆ「悲しいことがあっても、自分に都合のいいように考えて、いつも前向きに」
  祐一「あゆらしいな」
  あゆ「祐一君が言ったんだよ」
  祐一「…いつ?」
  あゆ「ずっと昔に」
  祐一「…どこで?」
  あゆ「えっと…あれ?」

このページの画像の一部は、ソフトハウス『Key』の作品の提供素材を使用しています。これらの素材を他へ転載することを禁止します。
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Windows Souce Code (JOKE)

ウィンドウズのソースコード漏えいが騒がれているけれど、Windows98なら、とっくに全文が公開されてるよ、というサイト。

Windows 98 Source Code

include宣言とinstall処理が笑えた。
山口智子がOS/2のCMをしていたのはいつだったっけ…(遠い目)
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寿司とマヨネーズ(水月マヨ)

いわゆる寿マの単行本。一時期ROMだったが、書籍化されていたとは。
「寿マ」といってももう通じないだろうな。

ROMだったときも、読み終わった今もそうだが、感想はムリ。あまりに強くて痛すぎるから…これは、俗に言うSMカップルの物語。サディストとマゾヒストとして出会い、ご主人様と奴隷をいう大人のゲームを、このうえもなくマジメに貫き通したお話。

『ごっこ』なら誰でもできる。

けれど、続けることは非常に難しい。離れた性愛を垣間見るつもりで読んでいたのだが、ふと自問する『彼女のように、ひたむきに尽す[尽し続ける]ということができるのだろうか?…それも、ただ好きなんだというだけで』。

1997年2月20日の日記より引用する。ここに凝縮されている。

 すでにご主人様に差し上げた人生。こんなことをうだうだ考えていると、「おまえをどうしようと俺の自由なんだろう?」と言われるような気がする。勝手に作り上げた幸せの幻想にとらわれているのは、結局私が自我を捨てきれていないということか。大好きなご主人様、私はこの方に愛されて可愛がられたい。その方法が一般的な愛し方とは違うSMという性癖であって、根底に流れるものは同じなのかと思っていたけど、どうなんだろう。  せめて願うのは、ゴミのように捨てられる前に、私はご主人様に踏みつぶされて粉々に壊れてしまいたいということだ。 (P.104)

ふーんと読んできて、『エピローグ』があることに気づいた。いわゆる後日譚があること知らなかった。ほんの十頁のエピローグに泣いた…出来過ぎな話かもしれんが、もう涙、なみだ…そんなことがあったなんて。
サイトからはうかがい知れぬ良話ですな。

…というわけで往時を知っている方、今すぐamazonへGO! (^-^

最後に。読むキッカケをくれて、ありがとうございます>kobaさん
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子どもへのまなざし(佐々木正美)

乳幼児期の育児こそが大切という、児童精神科医の講演録。

この本には、たくさんの『気づき』があります。何度も読んでも、「ああ、そうだよな、その通りだよな」と思わされることがたくさんあります。母親、父親に限らず、乳幼児の保育者に必要な心がまえを、分かりやすくじゅんじゅんと語っています。

『ゆったりとした、やさしい気持ちで子育てをしてほしい。なぜなら、そうしたあなたを見て、子どもは育つのだから』という、お母さんへのメッセージが随所に見られます。育児に悩む全ての人たちに届いて欲しいメッセージです。

また、『子どもの望んだことを、望んだだけ満たしてあげてください。そうすることで、子どもは、人を信頼することができるのです』というお話には、心から納得しました。赤ちゃんは泣くことでしか、空腹や、オムツが濡れたことや、さびしいといった気持ちを伝えることができません。その望みの一つ一つに応えてあげることにより、親を通じて、人に対する信頼を育んでいくことができるというお話は、腑に落ちるだけでなく、親としての自信にもつながりました。

さらに、『子どもに、やさしい人になって欲しいと思う親は、どのようにしてやさしい人になってもらうか、考えたことがありますか?』との問いかけには、ドキっとさせられました。特にオオカミ少女のエピソードを通じたその答えには、あたりまえのことなんだけれど、わかってなかった自分に気づかされました。

『気づき』ってそんなものだと思います。あたりまえすぎて、見逃しているもの。見失っているもの。この本に出会わなければ、今でも気づかないままだったと思うと、なんだか空恐ろしくなってきます。
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久しぶりに会った息子は大きくなっていた
もう三つになるのか

妻は顔を伏せていた
ちょっといってくるよ、と声だけかけて家を出た

だっこ、というので抱っこした
重たい
明日は腰痛だな

おかっぱの髪がさらさらという音が聞こえた
頬にあたってちょっとくすぐったい

そのままバスに乗った
坂を下った街まできた

海までいこうとバスを降りた
でこぼこした岩場を歩く

抱えている腕がしんどい
重たい

海はまだみえない
足場が不安定なまま歩く

ふと

子どもが泣いているのに気づいた
声を殺して泣いている
私の首に額を押し付けて
涙だけはらはらと頬をつたっている

どうしたの

声をかける、返事はない

さびしいの?

訊いてみる、返事はない

首をねじまげて顔をのぞきこむ

そして私は気づくのだ、その子は私の息子ではない
そこにあるのは、幼い頃の私の顔であることを。

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お台場には槍が二本、刺さっている。

お台場には槍が二本、刺さっている。
picture/yari2
(クリックで拡大)

これはその一本。エヴァンゲリオン初号機が投擲した槍に大きさも形状も似ているため、わたしは密かに『ロンギヌスの槍』と呼んでいる(ホントは、テレポートブリッジを吊り支えている柱なんだけど…)。

注目すべきは丸印のところ。ちょうど柄の先端部分。
よーく目を凝らすと『手すり』が見える。
(注:この画像では見えません)

まるで、そこに誰かが立つことを想定しているかのように。
あそこに、人が行けるのだろうか?

こんどお台場に行くことがあったら、ぜひ見上げて欲しい、ロンギヌスの槍を。
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容疑者の夜行列車(多和田葉子)

読むことの快楽。
現実との離剥感。
どこへ連れて行かれるか分からない感覚。

どこを切り取っても、そこだけでもちゃんと読めて、前後をあわせると一連の物語と化す。いい小説です。表現がいい…というか独創的…でも腑に落ちる言い回し。句点がいい…文がポキポキ折り取られていく感じが心地よい。

宇宙人がいっしょうけんめい日本語を覚えて、日本人よりも上手になったら、こんな突き抜けた文を書くのだろうか? 日本語を卒業してしまったような日本語。
どこを引用してもいいけれど、ここはしょっぱなを。この数行で惹きこまれました。

駅の様子がちょっとおかしい。ホームに人が嫌に少ないのである。それに、 駅員たちがそわそわとして、何か秘密でも隠しているようである。駅員をつか まえて、どうかしたんですか、と尋ねるのも妙であるから、黙って観察してい るしかない。駅全体が化けの皮をかぶっているのに、あなたはそれを剥がす ことができずにいる。
(第一章 パリへ)

この本は関心空間のリリカさん、びよょ~ん、さんのKeyWordで知りました。良い一冊に出会えて、幸せ。ありがとうございます。

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君が望む永遠(age)

ゼルダの伝説…授業サボってハマッた。ドラクエ…幾夜徹夜したことか。けれども、実生活をここまで蹂躙したゲームは、これが初めてです。

予備知識ゼロで始めました。

学園ラブコメかぁ、ケッ、さっさとクリアして売っちゃおう、なんて考えてました…ところが、延々とやってきたのが、実は『オープニング』であることが分かりました。
















そう、『えー被害者氏名確認...スズミヤハルカ。涼しいに御宮、遙...』で始まるオープニングです。ここからは鳥肌たちまくり。これがどういうゲームかに気づいてからは、怖くてたまらない。ネズミのようにぶるぶる震えながら進めました。『Kanon』の月宮あゆシナリオに大泣きした私にとっては、なんだか復讐されている気分でした。

さらに、これはテキスト『選択型』アドベンチャーゲームなんだな、と思い至っては、本気で止めようかと考えました。なぜなら、普通は『選ばれた方』の『選ばれた話』になるなる筈だけど、このゲームは逆だと直感したから。

これは、『選ばれなかった方』の『選ばれなかった話』、ですね。

たかがゲームの選択肢を選ぶのにここまで苦悩して、ぐちゃぐちゃになりました。全クリした人、尊敬します。私は、たぶん厨なんだと思うけれど、一つ一つの選択肢がすごく辛い。選べないんだけど、選ばないと先に進めない。みんな、よくクリアしたよなぁ、と感心しながら。

水月エンド、遙エンド、茜エンドと見ていって、『もうあとはサブキャラだろう?』とタカをくくっていたところ、マナマナエンドで炸裂しました…こ、こんなんアリ? S.King"Misery"も団鬼六『花と蛇』もフツーに読めましたが、コレは…
_| ̄|○


















私の中で、このゲームを封印しました。
全クリした人、尊敬します(2回目)。

  夜空に星が瞬くように

  通報しますた

  マヤウルのおくりものコピペ

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嘘つきアーニャの真っ赤な真実(米原万理)

『人間の器官には、ある条件の下では6倍にも膨張するものがあります。それは、なんという名称の器官で、また、その条件とはいかなるものでしょう』
(単行本P.195)

ここからの数頁だけでも、立ち読みでもいいから。爆笑請合います。

実はこれ、ネット・アネクドートとして知ってました…が、ナゾナゾ種明かしの後に、さらにオチがあるとは知らなかった。

この本は3部構成で、1960年代、著者が通っていたプラハ・ソビエト学校の友達の思い出と、そのン十年後、彼女たちに会いに行くお話です。時代が時代なだけに、『プラハの春』や『ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争』の話題も生々しく織り込まれています。

  リッツァの夢見た青空
  嘘つきアーニャの真っ赤な真実
  白い都のヤスミンカ

『白い都のヤスミンカ』が最も良かった。上の小話もここから引用しています。しかし、これは面白いだけの話ではありません。ヤスミンカに会いに行く途上、かなり際どい(かつ冷徹な)分析をしています。

(セルビア悪玉論という)一方的な情報操作のプロセスは今後丹念に検証されるべきだろうが、気になるのは、ユーゴ戦争の両主役の敵味方の露骨なほど明確な宗教的色分けが見て取れるということだ。EUでセルビア制裁に反対したのが東方正教を国教とするギリシアだけであることひとつ見てもそうだ。正教国ロシアが心情的にセルビア派ながらそれを強く打ち出せなかったのは、西側の対ロ支援打ち切りを恐れたからだ。そして現代世界の宗教地図を一目するならば、国際世論形成は圧倒的に正教よりもカトリック・プロテスタント連合に有利なことが瞭然とする。
(単行本P.245-246)

『戦争広告代理店』(高木徹)を思い出します。西側以外の情報『も』アクセスできる人から見ると、私のアンテナでは届きにくい事実が視えるのかも。

最後になってしまいましたが、こんないい本を紹介してくださり、とても感謝しています >関心空間のリリカさん。

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育母書(浜文子)

新米ママに『あなたのままで母を生きる』という言葉を贈ります。この素晴らしい言葉は、この本からいただきました。

冒頭に「赤ちゃん」という詩があります。最後の二行で泣きました。作者の『お母さんたち』への温かい思いやりにうたれました。

育児がいかに大変かは、身をもって知っています。でも、しょせん、パパの立場から。妊娠、出産を経て、子どもと24時間366日のママの目から見ると『やっぱり分かっていない、というか理解するのがムリ』らしい…

そんな自分に『まず第一に、妻を幸せにすることを考えなさい。妻が(母が)幸せでなければ、どうしてその子が幸せになれようか』と教えてくれたのはリンク先の『子どもへのまなざし』でした。表現こそ違えども、この本も同様の本質を述べています…それも母に対する温かなまなざしでもって。

反面、父親たちにはいささか距離を措いた書き方をしています。彼女自身、あとがきで述べているように、あんまりサポートが得られなかったようです。

ともあれ、子育てに戸惑う母親にとってホッとする一冊であることは確かです。


































パパたちは読まないほうが良いかも…

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千字文(周興嗣)

岩波文庫版を読みました。
四字一句の250句で成り、文字の重複はありません。およそ1500年前に編まれた「お習字」の手本。2ちゃんねるでいう『縦読み』をすると脚韻を踏み、八段で構成される「詩」とも読めます。中国に住む人々を理解するのにとても役立つでしょう。

finalventさんが簡潔かつ的確な評をしているので、引用します。

 > これ(千字文)が中国的な世界の基本的な教養の基礎コードになっている
 > というのが、とても、ある意味、怖いと思うのですよ。
 (極東ブログ 2004.01.19 教養について)

…実は、千字文そのものは難しすぎました。ただ、李という人の注釈がめっぽう面白かったため、本文そっちのけで李注ばかり夢中になって読みました。最も気に入った四句を挙げます。

 信使可覆
 器欲難量

   約束したことは、くりかえし守るようにし、
   自分の器量は他人には測りがたいように心がけよ
   (四七、四八)

 性静情逸
 心動神疲

   本性が落ち着いているときには、こころが穏やかで、
   心が動くときには、精神は疲れる。
   (九七、九八)

   心を動かして物を追うと、精神が疲れるのである
   (李注)

こんな宝のような一冊が800エンで手に入る国も珍しい。それと、これを紹介してくれたfinalventさんに感謝、感謝。

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2004/3/18追記
千字文全文を参照できます。Hnayumi さんの「漢詩を書く」より

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インテリジェンスを一匙(大森義夫)

インテリジェンスとは何か? 

それは、単なる「収集された情報」では無く、分析された競合情報に基づいた判断に資する推論のこと。

"intelligence"を辞書にあたると、「諜報」だの「情報機関」といったコトバが飛び出してきますが、『スパイ』と読み替えて思考停止していた私に喝を入れた記事が、これです。

筆者は元内閣情報調査室長。
日本独自のインテリジェンスの必要性を説き、その
  目的
  運営方法
  コントロール
  メンバーのトレーニング方法 etc...
を非常に具体的に示しています。

筆者の言うとおり『きれいに』組織できるとは思いにくいですが、そうしたニーズがあることは強く頷けます。

記事は雑誌『選択』に連載中(2004.3号が最終回)。
  三万人のための総合情報誌『選択』

…書籍化されにくいだろうなぁ…この話題。


○死語になりつつあるキャッチフレーズ、e-Japan革命は、i-Japanと名付けられていたかも…"intelligence-Japan"って、スパイ王国、ニッポンには良い名前かもな(w
  IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会議事要旨(H14.11.28)


○世界最大・最強を誇る Central Intelligence Agency の事情。インテリジェンスは行政府の活動であり、立法・司法は介入せずといった話や、歴代を超えて今なお有効である大統領覚書が記されています。

インテリジェンスの本質だなぁ、と共感した箇所を引用。

   > インテリジェンスを作成するにあたっては、当然のこと
   > ながら非公然の情報収集活動を行う必要があるが、
   > その多くは公開情報(open source intelligence)に
   > もとづくものだとされている。

とっても同感。オープンソースを渉猟・検証した者のみがたどり着いた情報こそ、「ただしい」情報だと思う。
  米国におけるインテリジェンス活動の法的基盤(pdf)


○新ガイドラインではintelligenceを『情報』と訳している
  THE GUIDELINES FOR U.S.-JAPAN DEFENSE COOPERATION

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