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萌えるチボー家の人々2

2.親子丼

親子丼… おやこどんぶり… ああ、この甘美な響き。日向鶏はあくまで柔らかさを主張し唇で削ぐ。金色卵は半々熟、しかも熱くて甘い。ちょっと舌を焼くタレの感触を味わいながら、ひとくち、はぐはぐ…

…の親子丼じゃない、おやこどんぶりの話。第3巻「美しい季節 I」の話。5年経ってます。
前回でダニエルの話はしたよね。やっぱり初めてのセックスって、やっぱり重要だね! 彼のinitiationでは、「女性は釣るもの、そして、共に快楽を味わうべき存在」という結論をもたらすことになる。要は放蕩息子やね。この息子にして、この親あり、というやつなんだけど、父親のジェロームがまたすごい。嫁子ほったらかしにして女子(おなご)の尻を追いかけるという、めずらしい四十やさ男。お手つきのメイドさんもたくさんいるし~。んで、その尻拭いをするのが妻であるフォンタナン夫人。

ポイントは、フォンタナン家に流れる淫蕩な血。

キャバクラの新入り、美女リネットを陥とすダニエルの話。色事師の手練手管が開陳されます。イケメンを自負している♂ども、ひょっとすると参考になるかもしれんぞ。いろいろ[わけありな]リネットを攻略するダニエル。彼女の初々しさに心震わせながら、付かず離れずのアプローチを試みるダニエル。努力が実って、ようやくいい顔を見せるリネット。

もう一押しのところで彼女が、こういうシーンがある。

「あの、あたし、どこかでお目にかかったような気がするんだけれど」
彼は、やみの中で微笑した。彼は、女がそうくるだろうと思っていた言葉だけしか口にしないのをありがたく思った。
「ダニエル何っておっしゃるの?」

そして、ダニエルの姓を知ってから、彼女は執拗に逃げ出そうとする。とまどいながらも追うダニエル。一種のゲームかしらと思いながら。ついに彼女をつかまえるダニエル。けれどもgentlemanとして振舞い(戦略的一時的撤退)、彼女を送っていってタクシーに乗せてやろうとする。そこでの会話。

つとめて友人として別れるときの態度をしめしてやろうとした。いっしょに乗らないとはっきりわかったとき、女の顔からは緊張がゆるんだ。女は運転手に行く先を知らせた。それから、ダニエルのほうをむいてわびるように言った。
「許してね、ダニエルさん、今夜は帰らしていただきたいの。あした、そのわけをお聞かせするわ」

しかし明日にならずとも決行することにする、ダニエルは。激情に駆られたまま動き出す自動車へ走り寄る。女も同様。いったん火がついたら、どうしようもないわな。若い♂♀はね(w

リネットは、すでにドアをあけていた。クッションの奥に身をすさらせていた。その目は、やみの中にひらかれていた。女をしっかりと抱いてやると、女は唇を押しあてて来た。そして彼には、女が、弱さやおそれの気持ちからではなしに、自分をまかせているのを感じた。女は、すすり泣いていた━━━━━絶望したかのように━━━━━そして、何かききとれない言葉をつぶやいた。
「あたし…あたし…」
ダニエルはそれをきいてぎょっとした。
「あたし…あなたの…赤ちゃんがほしいの!」
「じゃあ、おんなじところへ行きますかい?」と、運転手がたずねた。

ええと、ここは笑うところです。運転手さんのナイスつっこみに!
あと、解説が後だしでしたね。ちゃんと読むと、ダニエルが一生懸命口説いてたワケアリ美女は、ジェローム(とーちゃん)が開通式を済ませた女性であることが分かります。しかも、ナマ入れ中田氏したみたいで、妊娠→死産の経過をたどっていた…と。

うーむ。これは萌える要素じゃないかもしれない… がエロいです。「あのひとの子が産めなかったから、あの人の息子と」なんて。一途なエロスと、やっぱり「死とセックス」を感じます。
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