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ぼくの見た戦争~2003年イラク(高橋邦典)

日本人カメラマンの従軍写真集。「児童向け」に薄めに作ってあるとはいえ、慣れない人が見ればショックを受けるかも。ためしにblogでの感想をさらってみると、予想通り。

眼の好奇心に従って、試みにgoogleってみるとよい。ブラウン管や紙面に映らない生々しい映像がたくさんある。これこそ「子どもに見せられない画像」だな(w。グロ画像を含むリンク先は提示できないため、簡単なやり方を記すに留む。

  1) googleのイメージ検索のkeywordとして、以下を入力する
    iraq+body とか、
    iraq+dead とか、
    iraq+injury とか...

  2) 検索結果をチェックする(リンク先がPhoto Albumになっているならそこも全部)

別にグロ画像を見ろといっているわけじゃない。現代のマスコミは、目黒のサンマのようにフィルタリングされた情報しか無いよ、ということ。彼の地の人々がどういう目に遭っているかを知って、あたしゃ目の前が真っ暗になりましたもん、ことば通りで。
隠された仄暗いところを見る予習に、この本はいいかも。

良いところと足りないところを、書く。

【良いところ】米兵との以下の会話が良い。彼らの気持ちが凝縮されてると思う。引用する。

 ぼくが話をした若い兵士たちの多くは、「早く、家に帰りたい」といっていた。戦争は、彼らにとっては、仕事であって、「とっとと仕事(戦争)を終わらせて、家に帰ろう」という気持ちなのだ。(p.5)

2004.3で進攻より12ヶ月。準備期間を含めると16ヶ月。さすがに駐留しっぱなしの兵士はいないとは思うが、苛酷な状況下で緊張を強いる「仕事で出張しにきた」米兵の精神状態はかなりのモンだろうなぁ。雑誌「選択」で採りあげていたからマスコミ報道にもでてるかもしれんなぁ、この話題。

【足りないところ】写真で伝えられない次の要素が書いていない。

 におい。血と肉の匂いは、皮膚に染む。あの写真(p.27,49)を撮ったのに、その匂いを記さないのはどうしてだろう?。「ベトナム戦記(開高健)」を読んで、私は、死体の匂いは「甘くて皮膚に染む」ことを学んだ。後に確認する機会があったが、その通りだった。チグリス河のほとりは乾燥しまくっているから、彼の鼻腔まで届かなかったのだろうか?。

最期に。この写真集は、「イラクの小さな橋を渡って(池澤夏樹)」とセットで見るべきだと思う。ダイエット食品『使用前』と『使用後』よりもクッキリとよく見えるから。
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2004/5/9追記
ひできさんの米兵は「最後の人間」か?を読んで考えさせられる。こんなことできるのもネットというオモチャのおかげで「情報」コストが飛躍的に下がったためだと思う。中東という距離とプレスコントロールにより、彼の地をベールで覆っておきたい人たちにとってはやりにくい世の中なんだろうな、と想像してみる。
んで、彼の地で戦う米兵たちを想像するときに役に立つだろうと思いトラックバック。

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