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萌えるチボー家の人々1

みんな、だまされているヨ!! これは萌える小説なんだYO!!

「チボー家の人々」という長編小説がある。ノーベル文学賞を受賞したぐらいだから、文学の薫り高い逸品扱いされているけれど、みんな、勘違いしてるよ、これは「萌える」小説ナリ。

いまから萌える要素を考察していくけれど、チョト長くなるかも。
底本は、白水uブックス「チボー家の人々」1~13巻。
ネタバレ全開&毒電波受信しまくっているから、これからチボー家を読もうかなと思っている人は以下の文章を読まないように。
あるいは「黄色い本」(高野文子)とか「チボー家のジャック」を読んで、なんだか憧れのようなものを抱いている人も、以下を読まないことをオススメしときます。

萌えサマリー
   1.少年x少年
   2.親子丼
   3.父と娘
   4.妹、しかも友達の妹
   5.妹、しかも血縁関係なし、さらにメイドさんの娘でもある

1.少年x少年

第1巻、サブタイトル「灰色のノート」の話。「灰色のノート」をめぐる話なんだけど、要は交換日記。ちょっと引用するね。

自分の感情を研究してみればみるほど、人間は、
  一個の獣
であり、そして恋愛のみ、よくこれを高め得るもののように思われる。これこそ、ぼくの気づいた心の叫びなのだ。それは確かだ!
ふたりをしてかくも互いに愛させたもうこと、孤独にすさむふたりの心を、かくも堅い結合によってひとつに合わせたもうことを、主に感謝してたてまつろう!
けっして、ぼくを捨てないで!そして、ぼくらふたり、お互い同士
  ぼくらの愛
の燃える相手であることを、未来永劫おぼえていよう。J.
(p.83)


こんな感じ~。もうすぐ14歳になる少年と少年の日記です。熱いです、無敵です、純粋です。男女の恋愛よりも、もっと純な感じがします。だって、♂♀だと、マイルストーンとでも言い換えることが出来るからな(w

少年はジャック・チボー。意思力の強い、感情主義でドリー夢がちょっと入ってる、チボー家の一人。童貞。
もう一人はダニエル・フォンタナン。頭もよくって、オトコマエ。詩が好きな一見ロマンチスト。童貞。

…とまぁ、他人が読んだらこっ恥ずかしい内容を、センセイの目を盗んでは帳面につけていたワケね。まぁ、同性同士なんて、思春期にかかる「はしか」のようなもので、程度の多少はあれ、誰しも経験したことがあるんじゃないかと言ってみるテスト。でもね、本人同士は大マジメなんですよ、二人っきりで暮らしたいとか、二人で旅行に行きたいとか、できもしないことを熱っぽく語り合っては、ウルウルしてる。きょうび、ボーイズ・ラブ系のどこも採りあげないような設定。

風向きが変わるのは、「灰色のノート」がセンセイにバレるところから。ジャックの恐ろしいほどの走り書きを引用する。

卑怯にも、なんの証拠もなく、非難してはばからぬやつら、彼らに汚辱あれ!
  汚辱と、そして災厄と!
卑怯な振る舞いはぜったいにやめよう、嵐に向かって突進するのだ!むしろ進んで死を選ぼう!われらの愛は、誹謗、威嚇の上にある!ふたりでそれを証明しよう!
  命をかけてきみのものになる J.
(p.93)

家庭から、学校から一直線に脱出するジャック。とまどいながらも(このままだとジャックが暴走する)と心配しながらついていくダニエル。二人の逃避行が始まります。パリからマルセーユまで。マルセーユからアルジェリアへ行こうとします。ハァハァする箇所はここ。二人で宿に泊まるところ。

部屋に入るなり、お互いの見ている前で裸にならなければならないことに気のついたふたりは、おなじことを思って当惑していた。
(p.95)

しかし、しょせん都会っ子の家出、金も尽き、アルジェリアへ密航する方策もないまま、何日もしないうちに捕まって連れ戻されます。途中、見知らぬ女性の手引きでダニエルだけ童貞卒業するイベントつき。スカートの中を知ってから、ダニエルのジャックへの友情はみるみるうちに色あせてゆく… 現金なものよのぉ。まぁ正しいけど。

後産な話として、二人は馬が死ぬところに遭遇します。直前がダニエルの童貞喪失なことを思い出すと、まさに「死とセックス」。このテーマは繰り返しでてきます。

駆け足でしたが、「灰色のノート」転じて「少年x少年の交換日記」の紹介でした。BL(Boys Love)な人が読んだらハァハァするかもな。
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