リアル君の名は。おっさんが女の子の匂いを買ってきて身につけたら、たまらない背徳感を味わえた

「女の子の匂い」をご存じだろうか?

「臭い」ではなく「匂い」である。

よく言われる、せっけんの香りではない。デオドラントや柔軟剤、コンディショナー、乳液、ハンドクリーム、化粧水、オーラルケア、ファンデなどの香料、フレグランスでもない。それらは、女の子から漂ってくる様々な匂いを構成する要素にすぎない。

そうした、外づけの化合物ではなく、女の子自身から発する匂いだ。ココナッツミルクや白桃を想起させる、何とも言えない、「匂い」というより、「あの感じ」といえば分かるだろうか。心地よく、はっとする感じ、あるいは身体的にオンになる感覚である。

これは、わたしの変態性が生み出した妄想にすぎぬ、と考えていた。しかし、優れた先人たちの研鑽と研究の末、「女の子のいい匂い」とは、以下の物質であることが判明している。

 ・高級脂肪酸と安息香酸エストラジオール
 ・ラクトンC10、C11

では、女の子の匂いを再現することはできるのだろうか?

結論からいうと、可能だ。[女の子の匂いを再現する]で解説した方法で、脂肪酸やアルデヒトの「匂い」を再現することができる。しかし、一般には入手困難な試薬であったり、実験器具を要するため、手軽さに欠けるところがあった。

しかし、今回ご紹介するやり方では、673円(amazon価格)で女の子の匂いを再現できる。ロート製薬が開発した薬用ボディクレンズ(商品名:デオコ/DEOCO)を使う。

ロート製薬の研究によると、女性には、「若いころに特有の甘い匂い」が存在し、それは加齢とともに減少することが解明されている。匂いの正体は「ラクトンC10、C11」であり、10代後半~20代の女性に特有で、30代半ばから減少するという[若い女性の甘いニオイの正体]

デオコを使うことで、この甘い香りまとうことができるという。

で、お試しで使ってみた。

Deoco

結果は、まちがいなく女の子の匂いだったことを報告する。普通のボディソープとして使ったのだが、シャワーで流したあと、全身が女の子の匂いになる。

身体はくたびれたおっさんなのに、目を閉じると若い女の子の匂いに包まれている。おもわず自分を抱きしめ、ありもしない胸をまさぐる。心と体が入れ替わるリアル「君の名は。」か、あるいはプリキュアに変身したかのようで、非現実感がハンパない。

ただし、匂いだから慣れる。しばらくすると、分からなくなる。

ところが、問題はここからである。

時間が経つにつれ、身体についた匂い成分が、汗で揮発する。自分の体臭に、女の子の香りが混ざった新たな匂いがわきあがる。「自分の汗+女の子の匂い」に脳がバグり、背徳感がハンパない。

最も危険なのは、お布団にくるまっているとき。お布団のなかから、むんむんと女の子の匂いがする(おっさんの汗なのに!)。ぶっちゃけありえない非現実感と、人としてダメになる背徳感に打ちのめされる。

このイリュージョン、体感してほしい。
(効果は個人差があります)

 

 

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生きる目的なんて無いが、生きがいは有る。問題は、2つを混同させることにある。

 生きる目的なんて無い。だが、生きがいは有る。問題は、2つを混同させることである。

 「誰かに誉めてもらうため」に生きているのなら、誉めてくれる人がいなくなった時点で、生きる目的がなくなる。しかし、それはおかしい。したがって、「誉めてもらうことを生きる目的とする」前提がおかしいことが分かる。

 たとえば、誰かに誉めてもらうために努力し、「良い子」「良い生徒」「良い社会人」「良い夫」をするのもいい。だがその努力は、「誉めてもらうと嬉しい」のであって、そのために生きているわけじゃない(ここ重要)。「誉めてもらうこと」を目的にしてしまうと、誉めてもらうためにする「良い〇」に飽きたり疲れたりした時点で詰む。「良い〇」でないからといって電車に飛び込む必要なんて無いし、誉めてくれなくなった誰かを憎むのもおかしい。

 そして、「誰かに誉めてもらうため」の代わりに、「社会に貢献するため」「子孫を残すため」「家族を養うため」を入れても同様だということが分かる。つまり、カッコ「」内が実現できなくなったら、生きていても仕方なく、死んでもいい、ということになる。しかし、それはおかしい。これは、文章にすると違和感が増す。

 ・社会に貢献するために、わたしは生きている
 ・わたしの子孫を残すために、わたしは生きている
 ・家族を養うために、わたしは生きている

 それでも、最後の「家族を養うため」のセリフは、よく耳にする。だからこそ、病気やケガ等でそれができなくなったときに、電車に飛び込む人がいるともいえる。目的としてしまうから、それが失われたとき、「生きていても意味が無い」「何のために生きるのか分からない」になってしまう。

 これは、前提が違うのだ。おそらく、カッコ「」内に何を入れても、おかしいことになる。ここから導かれる結論は、「カッコ内のために生きる」ということ自体が、おかしい。およそ、「〇〇のために生きる」なんてことは無い。ただ生きていればいい。社会に貢献したり、家族を養うのは余禄みたいなものなのだ。

 これには、ただし書きがつく。〇〇が、ただ唯一の生きる目的ではなく、生きていてよかったと思える甲斐である場合、「〇〇のために生きる」は成り立つ。〇〇にあなたの大好きなこと、真夏の夜のビール、ロードショー初日に見に行く、土曜の午後に本を読む、気の合う仲間とセッションする等を入れると分かる。

 そして、その〇〇は、ただ一つだけではないはずだ。そこからつながる別の〇〇や、仲間や憧れの人(生きているとは限らない)がいて、そうした出会いと別れの諸々が、沢山出てくるはずだ。この、生きがいという意味に限り、「〇〇のために生きる」という表現を使ったほうが、安全だ。

 生きる目的と生きがいは違う。「この一杯のために生きている」は、あくまでも比喩であり強調表現だ。その限りでは、「家族のために生きている」はアリだ。だが、比喩を離れ、生きる目的としてしまうとおかしな話になる。それは、「この一杯が飲めなくなったら死にたい」という文がおかしいぐらいに。

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問題を「発見」する方法

 読書猿『問題解決大全』はスゴ本で、以下の質問をいただいたので、回答する。

問題解決大全には問題発見のノウハウまでは載っていませんでしょうか? 問題発見のノウハウ本を探しているのですが、なかなか良いのが見つからなくて。世には問題解決の本は山ほどありますが、その割には問題発見のノウハウ本って少ない気がします。
(名無しさん@2017.12.11 21:58)

 まずお詫び。わたしの紹介文で、問題の解決方法「だけ」を扱っているかのような印象を与えてしまい、申し訳ない。

 そんなことは全然なく、むしろ逆だ。『問題解決大全』は、どのように問題をつかまえるかの本と言っていい。「どのような問いを立てれば、解に近づくことができるか」について、古今東西の知の巨人たちの力を結集したもの。「正しく問う」ことがどれほど難しいか、よく分かる。

 問題を正しく問うことができたなら、ほぼ解決したも同然と言ったら言いすぎだろうか。

 少なくとも、きちんと問題を問題化できたら、後は比較的機械的に行ける。すなわち、

 1. 問題を適切な大きさの課題に分割する
 2. それぞれの課題を達成するためのタスクを割り振る
 3. タスクに対し、時期と目標値を設定する
 4. タスクにリソース(人と時と金)を投入する
 5. リソースの消化と目標の達成状況を管理する

 この辺になると、そこら辺の問題解決本の範疇になる。世の中に山のようにある問題解決本は、正しく言い当てられた問題からスタートする。マネジメントの話や、リスクとリソースのコントロール、モチベーションと進捗管理の話になる。口当たりの良い、一読しただけで「問題」だと分かり、教科書の「問1」「問2」みたいな問題である。言い換えるなら、このやり方にはまらない「問題」は、そこらの問題解決本では問題と認識されない。

 でも、現実は違うよね。

 世の中、「これは問題だ」と誰もが明白に言えるような問題は、実は少ない。

 問題のように見えるのは一面からだけで、それは別の問題Bの原因だったりする(そして問題Bを解決することで解消する事象だったりする)。あるいは、その問題は別の人にとっては問題ですらなかったりする。さらに、その問題を問題視する人の価値観が変わったり、時の経過や状況変化によって「問題」にならなくなったりする。利害や因果や抽象度が入り組んでいて、問題が特定できなかったりする。その問題を解決するリソースこそが「問題」な場合や、問題視している人自身が「問題」の場合もある。世の中の問題は、「問題」の形をしていない。

 問題を「正しく」問うことそのものが、一番の問題なのである。

 これに応えたのが、『問題解決大全』になる。

 問題とは何か、本書の定義はシンプルに断言する。すなわち、「問題解決とは、"~したい"と思うことを実現すること」だという。読んでいくと、もっと素朴な例もある。「なんかイヤだ」と感じていることに言葉を与える。「~だといいのに」の対象をもっと具体的にする。その上で、そちらに向かうために、どういうアプローチをすれば良いかをガイドする。

 名無しさんの質問にある「問題発見」は、そこなんじゃないかなと思う。もやんとした「思い」に言葉と形を与え、自分自身も含めた誰かに伝えられるように可視化する。それに応えてくれる。つまり、『問題解決大全』は、問題を可視化し、「正しく問う」ためのガイドなのだ。

 では、どの技法が適しているか? 目次「問題の認知」で一発で分かる。

第1章 問題の認知
 01 100 年ルール The 100-year rule  大した問題じゃない
 02 ニーバーの仕分け Niebuhr's Assorting  変えることのできるもの/できないもの
 03 ノミナル・グループ・プロセス Nominal Group Process  ブレスト+投票で結論を出す
 04 キャメロット Camelot  問題を照らす理想郷という鏡
 05 佐藤の問題構造図式 Sato's Problem Structure Scheme  目標とのギャップは直接解消できない
 06 ティンバーゲンの4つの問い Tinbergen's four questions  「なぜ」は 4 種類ある
 07 ロジック・ツリー Logic Tree  問題を分解し一望する
 08 特性要因図 0 9 1 fishbone diagram  原因と結果を図解する

第 5 章 問題の認知
 27 ミラクル・クエスチョン The miracle question  問題・原因ではなく解決と未来を開く
 28 推論の梯子 The Ladder of Inference  正気に戻るためのメタファー
 29 リフレ ーミング Reframing  事実を変えず意味を変える
 30 問題への相談 Consulting the problem about the problem  問題と人格を切り離す
 31 現状分析ツリー Current reality tree  複数の問題から因果関係を把握する
 32因果ループ図 Causal Loop Diagram  悪循環と渡り合う

 「問題の認知」の技法として、第1章で8つ、第5章6つ、合計14の技法が紹介されている。

 なぜ、「問題の認知」が2つに分かれているかというと、それぞれ、「リニアな問題解決」「サーキュラーな問題解決」と2つのアプローチに分類されているから。

 リニアな問題解決とは、直線的な因果性を基礎に置く問題解決であり、理想と現状のギャップを何らかの形で埋めたり、より「上流」の悪原因を取り除くことを目的とする。解決者は、問題の外側から分析し、必要なリソースも問題の外から供給される。

 いっぽう、サーキュラーな方はより複雑だ。解決する人もまた、問題を構成する因果のループの中に組み込まれている。問題を問題たらしめている要素もまた、因果ループの中で再生産しており、必要なリソースも解決すべき問題として考慮しなければならない。

 本書では、2つのアプローチを使い分けながら「正しく問う」ことを目指す。名無しさんが求めている「問題発見」は分からない。だが、ほぼどんな時にも使えて、不慣れな状況でもオールマイティに使える技法は、「ニーバーの仕分け」だな。[ニーバーの祈り]を技法化したもので、変えることのできるもの/できないものを分けて数値化する。そして、「変えることができるもの」を問題として定義するわけだ。

 わたしはニーバーの祈りを実践するとき、「イチローのコントロール」と置き換えている。インタビューで、ライバルのバッターの成績と比較されたとき、イチローはこう答えたという。「全く気にしない。自分のコントロール外のことだから」。自分がコントロールできることと、コントロールできないことを分ける。そして、コントロールできることに集中する。あたりまえといえばあたりまえなのだが、わたしたちは、変えられないものを「問題」視することで、貴重なリソースを無駄にしがち。それなら、できることに集中しよう。

 ちょっと気をつけて欲しいのが、「問題の認知」の第1章、第5章で済まないところ。問題を構成する因果のループが入り組んでおり、問題が「問題」の姿をしていない場合がある(現実ではほとんどだ!)。この場合は、「サーキュラーな問題解決」のアプローチ全てが、「正しく問う」ガイドになる。

 たとえば、解決法を探究する行為そのものが問題の再定義化を促す「スケーリング・クエスチョン(技法33)」がある。あるいは、解決策を仮設定し、とにかく進んでみることで真の問題とのFit-Gapを可視化する「ピレネーの地図(技法36)」などは、「サーキュラーな問題解決」として紹介されている。問題が因果ループに取り込まれているのなら、「正しく問う」ために、そのループを回す必要がある。ループを回しながら、コントロールできる問題に「問題化」するのだ。

 「問題発見」とは、問題を正しく問うこと。そして、問題を正しく問うことができたなら、解決へ大きく前進したことになる。

 各章の扉には、簡単な紹介とレシピが載っている。書店でパラ見して、名無しさんの今の「~したい」に合いそうなものを選んでみるといいかも。そして、これは自信をもって言えるのだが、名無しさんの今の「~したい」にも未来の「~したい」にも必ず合うツールが、きっと書いてある。


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さよなら、プリキュア

 はっきりいって、俺サマ大勝利の気分だった。

 人目を気にしぃ映画館に集結するヲタを尻目に、「パパと一緒に観ようね」と娘の手を引き入場行進できる優越感。「ミラクルライトは子どもだけ」という制約には、「2回行けば平和的解決」とオトナの対応。

 しっかし、今度のプリキュアはスゴいね、ごく普通の、ただの女の子、なんたって戦わないプリキュアだもの。抱きしめるだけで昇華させられるって、なんという女神だろう。わたしの知る限り史上最短は10センチ爆弾だけど、そいつを超えるゼロ距離攻撃だぜ。

  大切な人を守りたい
  そんなやさしい心があれば

  女の子は誰だって
  プリキュアになれる!

 だから俺だってプリキュアになれる!ピンチのときは「プリキュアに、力を!」と(心の中で)唱えつつ、ジャラジャラさせながら歴代ミラクルライトを一斉に点ける。月光に照らされた蛍の群れのような館内で、ここだけ薔薇色と日光の輝きに満ちあふれる。「なにあれー」「スゴーい」鵜の目と鷹の目でこっちを見てる女児(およびミラクルライトを持たないヲタ)の視線を浴びていると、我が鼓動は激しく律動し、我が松果体から変な汁があふれ出る。

 ところが、である。桃の花が咲く頃から、近所の女児たちで、脱プリキュアが始まったのだ。ポケモンからモンハンに移行するように、プリキュアからプリティリズムに移り変わる。高価な玩具を買ってもらう代わりに、フィギュアスケート教室へ通いだす児もいる。

 でもあれって変だよ!美しい旋律に合わせ、「お洋服の声が聞こえる」と叫びながらジャンプするだけで、マカロンやら果物が出てきて、だいたいあれ、"プリズムストーン"って初代のパクリやん、パパ許しませんよ! (あとちっちゃくない種島さんも)。どちらが本家か、黒白はっきりさせようじゃないの。

 …とはいえ、冷静に考えると、他人事ではない。「Change!」(バラク・オバマ)、「気合だキアイだ」(アニマル浜口)、音撃棒(響鬼)、サザエさんじゃんけんなど、換骨奪胎はよくあること。大きな声では言えないか、海より広い心で受け止めてあげましょ。

 だが、いつか告げられる日がくるかもしれない、「パパ、まだプリキュア見てるの?」ってね。だから、これは一時の夢なのだ。休日の陽気な日差しを浴びながら、嫁の冷たい視線も一緒に浴びながら、薄荷に檸檬を混ぜたジュースでも飲みながら、苺ケーキを食べながら、紅顔の娘と仲良くプリキュアを鑑賞するなんて。

 ひょっとすると(しなくても)来年、いやもうすぐなのかもしれない。「パパ、なんでプリキュア見てるの」と問われる日が。わたしの答えが何であろうとも、反応は分かっている。嫁と同じ眼になるだろう…

 そのときは、心の中で告げるんだ、「さよなら、プリキュア」ってね。そして、もって行き場のない情熱を抱えながら、録り溜めしたプリキュアを深夜に再生するんだ。その日がくるまで、この幸せを噛みしめよう。

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暗い予想図II

 与党になってからもう、三人目の総理。あいかわらず太いパイプを持ってるから、食料・簡易住宅をはじめとする怒涛の支援物資は大陸からやってくる。被災者受入先は、その雇用(工場移転)と伴に十全なサポートと土地を提供してくれる。日当40万円でもなり手がおらぬ除去作業員を提供してくれるかもしれない。夢の中で会ったような、うまい話だね。

 さらに、1号機から4号機までガレキごと持ち去ってくれるかも。汚染されたものを持ってってくれるのだから、日本にとってはもう何も怖くない。いっぽう、原子力技術の結晶が丸々手に入るから、相手にとっても嬉しいなって取引だろう。おたがい、後悔なんて、あるわけない。

 手土産は FTA が好餌となるだろうが、やーくそーくも何ぃーもない。その言葉を信じていなければ、明日さえ暮らせないだろう―――なんて気づかれてないとでも思っているのだろうか、マヌケだーわー完全にバレてる。既視感あふれる未来は、「アイツじゃダメだ。この国難、カリスマ性の高い神輿を」という流れ。改造も解散も度胸ないし、「過労による入院」の前例はできたので、喜んで呑む二番煎じの後を襲うのだ。プルトニウム漏れが入試問題漏れを上書きするように、募金は献金を消し去る。奇跡も魔法も、あるんだね。決戦は金曜日かな、晴れたらいいね!

 こんなの絶対おかしいよって叫んでも、わすれものばんちょうは日本人の気質なのかも。記憶喪失の最たるマスコミを責めてはいけない、あれは、同調空気をタレ流すフローなのだから。信じてたわたしって、ほんとバカだよね。それでも、もう誰にも頼らないなんて言えたらいいのだが、人生は一回こっきりなのだ。

 きっと、何年たってもこうしてかわらず忘れっぽいのは、日本人だから。ずっと心に描くー暗い予想図は、ほら、思ったとおりに、現実化してゆく。最後に残った道しるべは、今を忘れないこと。この忘却のループから抜け出すためには、交わした約束、忘れないことなのだから。

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「生活目線でがんを語る会」に参加しました

 本を読む目的が、他人の知識・経験を共有することであれば、会って話すのが一番いい。ダイレクトに反応を確かめつつ、つながるから。会って話せないから、手紙になり、本になる。今回は、どんな本を読むよりも、実際の体験を直接聞けるという、非常に貴重な会に参加できた。そして、アタマガツンとやられた。

 がんと生きている人、がんと生きていた人の話をうかがった、「生活目線でがんを語る会」だ。

 最新医療の勉強会ではない。がんになることは、生活を人生をどのように変えてしまうのか、百人百様の生きざまを教えてもらった。U-StreamとTwitterで実況され、アーカイブされた先は、ここにある。わたしのように、「ピンとこない奴」には衝撃的かもしれない。

 まとめると、ここで受け取った最重要のメッセージは一つ、ここで決めた次の行動は一つある。一つのメッセージとは、「患者になったらできることは限られているが、患者になる前は、なんでもできる」こと。そして、ここで即決した一つのアクションは嫁さんに定期健診を受けてもらうこと

 いままで、素朴にも、がんになるということは、イコール「余命はもって3ヶ月です」と思っていた。がんは治らない病、告知されることで、そのまま100パーセント助からないのもだと、無邪気にも信じ込んでいた。映画や小説をドラマティックにするためのステレオタイプに染まっていたのね。

 しかし、がんを「なおす」ことができることが分かった。「なおす」は微妙な言い方なので、早期発見と適切な治療により、「おさえこむ」ことができる。がんになるイコール100パーセント助からない、というわけではないのだ。Surviver たちの直接のことばに、自分の思い込みが打ち砕かれる。

 もちろん、そうじゃない場合もある。あたりまえだ、人の体が様々なように、症状も療法も万別だろう。にもかかわらず、その極端な一例でもって全てがそうだと判断し、議論していくことがいかにムダでばかげているかが、よっく分かった。自分のときには、「そのときの自分」の状態を踏まえ、何ができるか(したいか)考え、信頼できる専門家に任せればよい。がんになったら、やれることは限られてくるのだから。がんになってから、やることが限られてくるまでの時間は、想像を絶するほど早くやってくる。残酷なまでに早い段階で、やれることがなくなっていくのだ。

 その一方で、がんになる前の今のわたしなら、何でもできる。なったときに後悔しないための生活、愛情、仕事、その他やりたいことを、いま、今日のこの瞬間のうちに取りかかるのだ。そして、人生のどこかで「がんになる」ことを前提に、どの段階で見つけるかを想定して行動する。具体的には定期健診を受けることになる。わたしには会社のやつがあるが、嫁さんにはない。そう、嫁さんに受けてもらうのだ。

 ……と、勢い込んで激しく語ったら、嫁さんはアスカの「あんたバカぁ?」的な言い方で、「はぁ?」と応える。かかりつけのお医者さんに毎年検診してもらっているとのこと。予防の一オンスは治療の一ポンドに優るというけれど、よっぽど嫁さんの方が実践しているね。知らなかったわたしが阿呆や。

 この会に参加してよかった。いっぺんに目ぇ覚めた気がする。登壇した方々そして主催のやすゆきさん、U-Stream の大木さん、スタッフの方々に感謝します、ありがとうございます。ふんふんと聞くだけではなく、受け取ったメッセージを、自分の生活ひいては人生に具体的に適用していく気に、強くなったから。

 それから、Twitter実況+U-Stream があったのだが、こんな"つぶやき"があった。

     Ust 見るたび、「他人事」が減ってくる
     マスメディアの「客観性」て、「他人事」の意味だもんね

 激しく同意。マスメディアの「客観的な」お涙頂戴ストーリーに載せられていたなら、絶対にたどりつけない心境だから。他人事じゃない、自分事としてのがんライフを生きる。

 最後に。わたしのメモからいくつかピックアップ。

  • がんは、「飛び散る」病気
  • ただでさえ見つけにくい乳がんが見つけられたことは、ラッキーだ。しかも早期に手術できたことは、もっとラッキー
  • がん患者は、常に3つの不安にさらされる。①個人の不安「死ぬかもしれない」、②医療の不安「自分がどんな治療を受けているか、分からない」、③社会復帰できるか不安
  • がんは、「死ぬまで」つきあっていく病気
  • がんになった母に、「どこに何がしまってあるか」を尋ねるということは、すなわち、おまえはもうすぐ死ぬのだということを暗に伝えていることになる。だから、聞けない
  • 病気だからといって亡くなるんじゃない。腫れ物に触るような扱いはされたくない。ただしこれは、人それぞれで、自分の場合は適度に放ったらかしにしてくれた
  • 「がんばれ」という言葉の重さ。頑張っていないわけじゃないのに、「がんばれ」と言われる意味を考える

 Twitter のまとめは、以下の通り。お話とメモに夢中で、ほとんど目をやっていなかったが、Twitter の発言とあわせると、より立体的に思い出せる。U-Stream + Twitter + 自分のノートは、いつでも手が届くところに置いておこう。

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嫁と「ラブプラス」

買った。ラブプラス

これは、巨大な力を秘めている、あの言葉ぐらいの。

どんな言葉だって?

――落ちついてよく聞くんだ

あの言葉を思い出して

ぼくも いっしょに言う

ぼくの左手に手をのせて

おばさんたちの縄は切ったよ


                         時間だ! 答えを聞こう

続きを読む "嫁と「ラブプラス」"

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疲れやすい人は「耳」を疑え

 「さいきん、疲れがたまって」はオッサンの常套句かもしれないが、そうとは限らないぞ。ちょっと革新的なことを起こしたので報告する。

 わたしの読書タイムは電車内。痛くて臭くて苦しいけれど、外部からの情報をシャットアウトして、本に集中する。むしろ、本に「逃げこんでいる」のが正解か。スゴ本に三昧してる間は、親爺の暴力的なワキガも女子高生の暖かい大臀筋も、微風ほども感じない。

 ただ、車内放送だけはいただけない。

 頭上からガナりたて、混んでいて申し訳ないとか、次の停車駅では1分ぐらい停まるとか、しようもないことをフルボリュームで強制的に聞かせる。しかも切れ目なく延々と。乗客を不愉快にさせることが目的なのであれば、かなり成功しているね。

 どうしてもガマンできないので、イヤーマフを試してみる――Peltorという工事現場用のものなんだが、 これが大正解。隣とまともに会話できないレベルが、すべてくぐもって聞こえる。完全防音ではないが、「静か」な環境を手に入れることができた。

 1週間ためした結果。まず単純に、本を読むスピードが上がった。当社比1.5倍といったところか。本に集中しているとはいえ、完全に遮断しているわけではなく、選択的にアナウンスを拾っていた。その振り向けている意識のうち、車内放送からムリヤリ引き剥がす必要がなくなったため、より集中できるようになったのだろう。

 たとえば、騒がしい雑踏でも、友人の声を選択的に聞き取ることはできる。同様に、騒音というより轟音というべき車内でも、本を読みながら必要なアナウンスを聞き取っているのは、耳からの音情報を取捨選択している。これは無意識でやっているとはいえ、かなり「耳」というかアタマを酷使していたのではないかと。わたしは、耳から入ってくる情報にあまりに無頓着だったといえる。

 それから、(こっちの方が重要なのだが)あまり疲れなくなった。「疲れ」は数値にしにくいが、症状でいうなら、肩コリが解消した、寝覚めスッキリ、肉体的などんより感覚がなくなったね。こころみに、イヤーマフを外して「音」にしばらくさらしてみたら、気づいたんだ、口のなかの血の味に。歯を食いしばるんだね、わたし。さらに、肩にえらくチカラこめていたことにも。カラダに負担かけて、「音」を拒絶していたんだね。

 数千円のイヤーマフで、これほど快適になるとは気づかなんだ。世の中にはノイズキャンセリング・ヘッドホンという素晴らしいガジェットがあるが、いかんせん手が出ない。安物もあるが、文字どおり安かろう悪かろう。スペックを見る限り、同質の環境を手にしたいなら、Boseの数万円するやつになる。フトコロに余裕がある人はどうぞ。お金かけないなら、耳栓だけでも一定の効果がみこめるかと。

 氾濫する広告からは目をそむけて、DSなりケータイみてればいいし、ひどい臭いはマスクでガードする人もいる。しかし、否応なしに耳に入ってくる「音」は盲点だった。「音」がストレスをうみ、ストレスが疲労をうむ。だから、「音」を遮断することで毎日の疲れを激減させることができるんだ。

 「疲れやすい」を自認する方は、まずご自身の「耳」を疑ってみてはいかが?

※参考になったリンク先
  イヤーマフ、耳栓比較体験記
  教えて!goo「耳栓・イヤーマフ について」


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その釘宮は咬まない

本を読むのは痛勤電車で、感想書くのは深夜になる。

書くのに飽きると伊織ちゃんと踊る。ニコニコ動画の新しい使い方だ。最近は「水瀬伊織 だ~いせっき~ん☆」、動きに合わせて踊るのだ。某通販の強制運動DVDとは違う。ムサいオッサンの汗じみや、胸=筋肉の女の子を眺めてて楽しい? アイマスMADで汗のエフェクト入れてくんないかなーと妄想するが振り払う。アイドルは汗をかかない。

アイドルマスター☆ブートキャンプで汗だくになっていると、嫁さんが入ってくる。露骨に嫌な顔で「うるさいうるさいうるさい」と言ってくる。ツカツカと近づいて、足を踏みってしてくる。おお、釘宮キャラのようではないか。なんか大変お怒りのようだ。「クギミヤって誰?」と訊いてくるので、いつぞやのNHK-BSの釘宮特集を見せてやる。アルフォンスやルイズなら知ってるだろう。

   「なんだ、ブタじゃん」

耳がヘンだな。きっと聞き間違いだ、何つったの?

   「だからブタじゃん、ブヒブヒ!」

!!な、なんですとー!!自分の血の気が引いてくるのが分かる。わかった、殺意の色は白だ。すごい白色だ。怒りのあまり、光景全部が輝いて見える。白、白、白…愛する嫁さんを殺すには忍びない。でも伊織ちゃんがなんか叫んでる――「惨殺するわー惨殺するわー土下座しなさーい」あぁ、へんたいたーれんだ…毎日聴いてると自由に脳内再生できて便利だ…いや、いかんいかん。現実に戻らないと。「二次元趣味を罵倒されカッとなり…」はかなりニュース性が高そうだ。大丈夫、二次元と三次元は違う。だからお互いに干渉はしない、OK? 気を取り直し、改めて聞いてみると、これだそうな。あああああああああ、確かに釘宮は豚だ。リンク先を見ながら、「この豚がっ!犬がっ!」と、釘宮voiceを脳内再生すると、より感慨深い。ため息をついているわたしの腕に頭をもたせかける嫁。おいおいwww などとニヤけている間もなく、激痛が走る。腕だ、左腕だ。ひしゃげた視野から見えるのは、わたしの腕にしっかりと食らいついている嫁さんの歯の一部。食い込んできてほとんど見えない。痛い痛い痛い。痛いってば。

   「ふふぉははいへ」

「動かないで」と言っているのだろうたぶん。動けないんだって!仕方がないからじっとしている。嫁さんは顎の力を強め、ギリギリと噛みしめてくる。やヴぁい、おかしくなったか? これ現実? ――1分ぐらいだろうか。ようやく口を開いてくれる。二の腕に歯型が彫られている。鋭くえぐられた痕は、けっこう深い。

   「動いたら、血まみれだったんだよ」

   「ぎりぎり血が出ないぐらいに咬むって、難しいんだよ」

なにを言い出すのかねこいつは。なんでこんなことするんだよ、痛いじゃないか、バカじゃないの、狂ったの? あほ、ばか、ちょっとはこっちの迷惑も考えてみろ、なんてことしやがるんだ、このぉーッ!

   「その釘宮は咬まない」

え?

   「もう一度いうよ」

彼女は立ち上がり、ふりかえり、インタビューに答えている声優を指差して、それからこっちに向き直る。

   「あんたの大好きな釘宮は、咬まないんだよっ」

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釘宮病から脱出する、たったひとつの冴えたやりかた

 全国 1,000万人の伊織ちゃんファンのみなさん、ニヤニヤしてますか。

 わたしならだいじょうぶ、1日100回聞いたことはあるけれど、毎日百回なんて無理ムリ。生活に支障をきたすもんね。10回程度だから中毒ではな…い…はず…。

 ただ、何を聞いても釘宮ヴォイス変換できる耳になったのはありがたい。たとえば、「ホームでは、白線の内側まで下が… …ってないと許さないんだからーっ!!」とか、「キミぃ、こないだの会議の報告書なんだけど… …あったま悪ぅーい、バッカじゃないの!?」といったカンジだ。こないだなんて嫁さんと、こんな会話になった。

   嫁さん 「ねーねー、さいきん飲み会ばっかりで遅いよね」

   わたし 「しょーがないよ、つきあいなんだし」

   嫁さん 「なによー キスしたくせに! もっと早く帰ってきてよねっ」

   わたし 「わかったわかった」

 もちろん嫁さんは「キスしたくせに」なんて一言も発してない。しかし聞えるのだ、あの声で。相手の本心が聞えるようになったので、非常に便利だ。読心術の一種か、サイキック・パワーに目覚めたのだろう。

 ところが、先日、とんでもないことが起きた。あ…ありのままに起こったことを話そう。

 25:00、家族が寝静まった頃合いを見計らってアクセスする。ヘッドホンは必須だ。ヴォリュームは最大だ。罵倒BGMでヘッドバンギングしながらblog更新にいそしむ。わたしを取り戻す時間、今日と、明日が出会うとき… 時報にキれそうになる。

 何周目だろうか? ちょうど「伊織ちゃんを称えるコーナー」に差し掛かったとき、

   「なにしてるの?」

   「qあwせdrftgyふじこlp」

 精神的にはズボンを半分おろした状態だったので、コタツごと飛び上がった(ように見えたらしい、嫁さんの目には)。

 はずみでジャックが外れる、室内を圧倒する大合唱。

      へんたいー!(閣下)
      へんたい!(あずさ)
      へんたいー!(美希)
      へんたい!(とかち)
      へんたいー(真)
      へんたい!(千早)
      へんたいー(雪歩)
      う゛ゃぁ!!へんたい(全員)
      へんたい(伊織)変態!
      大変態ヘンタイ変態 … …

   「なにこれ?…ってかウルサイ!!」

   「qあwせdrftgyふじこlp、qあwせdrftgyふじこlp」

      フンフンフン!
      よく聞きなさいよねっ

      別にアンタのことなんか、
      これっぽっちも考えちゃいないわよ

      何ニヤけてるのよ…もう…バカ
      バカぁ!
      バカッ!
      バカ!どどどどど変態!

   「はやく切りなさーーいっ!!」

 ばたん、とノートを閉じる。断ち切れたように静寂が訪れる。

   「アンタ.… … … … … … 」

 わたしのほうを見やる嫁さん。路傍の石を眺めているような無感動さだ。「アンタ」で絶句しているため下の句は分からない。髪の毛が逆立っている。静電気だと思いたい。

   「ほ~~~~~んと、バッッッッカじゃないの!!??」

 ずっきゅーんとキたね。「ずっきゅーん」はガンダムのビームライフル音を充ててくれ。

   「いま、なんつった?」

   「さいってーの、アホバカ旦那だって言ったのよ!もんくある?」
   「泣くよ!子どもが!アタシは呆れてものもいえないけどー」
   「バッカじゃないの!?聞いてる? バッカじゃないの!?」
   「もー、なさけないったら!信じられなーい!」
   「バッカ!バッカ!バッカ!もういっぺん、バーカ!」

 とかナントカ。もちろん極めつけの「イライラするのはアンタのせいよ!」も聞けた。Kanon事件([1][2][3])で理解を得ていたと思っていたが…水瀬名雪(16)ならOKなのに、水瀬伊織(14)だとダメとはこれ如何に…、ロリコンのボーダーラインは14歳というからなぁ…いやいや、水瀬秋子(年齢不詳)派だと思っていたのか? まさか…思考は忙しく駆け巡るのだが、そのうちどうでもよくなる。罵詈雑言を嫁ヴォイスで聞いているうちに、ニヤニヤがとまらない。

   「なにニヤニヤしてんのよ!それこそヘンタイじゃないのよ!」

 もう半泣きである。みなもの問い詰めもかくあるやという勢いである。ひとしきり感情を爆発させたあと、もういっぺん再生しろという。ニコニコにアクセスする。黙って聞いている。隣のカラオケバージョンを見つけて、再生しろという。そして宴が始まる…

   「変態変態ど変態」
   「かっこ悪いったらありゃしないわ」
   「バカ言ってんじゃないわよ!」
   「頭使いなさい!」

   「イラつくわーイラつくわーイラつく」
   「イライラするのはアンタのせいよ」
   「ほんっとダメダメなんだから」
   「アナタねぇいいかげんにしなさーいっ!」

 もうね、フル嫁ヴォイスよ。ネットとヘッドフォン越しの「安全な場所」からではなく、ほぼ目と鼻先のゼロ距離からの罵られオンパレード。B.B.の10センチ爆弾だって「10cm」あったのに。そのとき、わたしの心は、

   ( ゚∀゚)o彡

 曲が終わるころ、嫁さんは疲労困憊だった。狩りのコツは獲物を疲れさせることにある。2周目が終わる頃、脳内のすべての釘宮ヴォイスは嫁ヴォイスに塗り変えられており、ふたりはきゅあきゅあになっていた… いおりんの罵倒セリフは、全て嫁さんの声でオーバーライドされた。これぞ夫婦和合の奥義!なのかどうかは知らないが、「男は名前をつけて保存、女は上書き保存」は真なのだ。

 不治の病と呼ばれていた釘宮病の特効薬は、「リアルツンデレを浴びる」に尽きる。具体的にはパートナーに「罵ってけ」を歌ってもらうことだ。え? 嫁もしくは彼女がいないって? …そ、それは… お母さんに歌ってもらうとか

 …というわけでクリスマスの性夜、長かった闘病生活も終わりを告げようとしていた。まなめさんが[これ]を伝えるまでは。

   ( ゚∀゚)o彡
   ( ゚∀゚)o彡
   ( ゚∀゚)o彡

 え? どうなったのかって?
 もちろん、くっぎゅくぎゅにしてもらってるよ☆嫁さんにね

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