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可憐でエロくて危うい百合 ✕ 吸血鬼『ヴァンピアーズ』

まず、このシーンを見てほしい。

Vanp2

授業を抜けだした一花(いちか)が、体育館の裏でアリアに血を吸わせるところ。首は痕が目立つから、腕を差し出す。皮膚を破る鈍い痛みと、痛みが減衰してゆき、べつの感覚に変わる快に身をよじる。第4話「INTRUDER」の一幕で、狂おしいほど好き。

血を分け与えるというのは、どんな気分なんだろう。

自分の命が相手の一部になる。昔、授乳する嫁様の表情からオキシトシンを想像して、多幸感をシンクロさせたことがある。あんな感じだろうか。あるいは、成分献血マシンに抜かれる際の、幸せな眠気みたいなものだろうか。

あるいは、血を吸う感覚はどんなものだろう。

相手の精を飲み干す。うっすら汗ばむ白い肌にむしゃぶりついて、痛くならないギリギリ甘噛みして、むせるような生々しい匂いと共に、しょっぱさを覚えながら吸い・舐めとる際の、ケモノだったことを思い出すような感覚だろうか。

この妄想を、美少女 ✕ 美少女で実現したのが、『ヴァンピアーズ』だ。

描いているのはアキリ氏、とある界隈では伝説級の方である。巧みな物語構成と、可憐さと不穏さを掻き立てるエロスには、わたしも大変お世話になっている。

主人公は14歳の一花。大好きだったお祖母ちゃんのお葬式で、目の覚めるような美少女アリアに出会う。異国の雰囲気をまとった不思議な少女に、完全にひとめ惚れしてしまうのだが、実はその子、人の血を吸う……というのが第一話で、完璧にハマってしまった。

まず、表情がイイ。血をやりとりする際の恍惚とした顔を見てるだけでイケナイモノを見ているような背徳感がぞわりと上がってくる。同時に、血を吸うアリアの目が爬虫類になるのもイイ。S.キング『呪われた町』で、血を吸われるのは性的快楽よりも良いとあったが、むべなるかな。

次に、ストーリーが好き。単なる百合 ✕ 吸血鬼の日常ほのぼの系かと思いきや、目的が与えられている。それは、「私を殺して」という目的だ。吸血鬼は基本的に不死で、アリアが主人公に近づくのは、自分を殺して欲しいから。いっぽう彼女が好きになってしまった一花は、どうしたら自分に振り向いてもらえるか悩み・試行錯誤する。

この、与える/与えられる、捕食者・被食者の関係が捻じれてて面白い。設定もキャラも違うけれど、TONO『チキタ★GuGu』を予感してヒヤっとさせられる。もし作者が意識しているのなら、号泣する準備はできている。

吸われる一花になりきる妄想もよし、吸うアリアに感情移入するのもよし、疲れた心は百合 ✕ 吸血鬼で癒そう。

第一話のお試しは、SundayGX『ヴァンピアーズ』で読める。

 

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