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読書猿さんと飲んできた

楽しすぎる&もったいなすぎる会だった。ボイレコ録って文字に起こしたら、それだけでお金もらえるじゃね? というぐらい。

Kokoronosinka

読書猿さんと丸善巡ってこれだけで済んだことが驚異的

まず「読書猿さんって誰?」という人は、今すぐ[読書猿]に行って帰ってこなくてもよろしい。知らないなら人生損していると断言できるブログだ。どれか一つでもいいので実践したら、それだけで財産になる。

昨今、ハリボテの知の巨人や偽物の教養人が跋扈し、「教養」を人質にコンプレックスを煽って小金を稼いでいる。そのせいで「教養」という言葉が棄損されており、彼を何て呼べばいいか悩む。「哲人」が最適かな(鉄人にも通じるし)と思うが、本人は[フィロロギスト]だという。

そんな読書猿さんから、一を投げると十ぐらい返ってくる(1)博覧強記のライトニングトークと、(2)ネットで言えない/聞けないこと、そして、わたしの課題である(3)英語力向上へのアドバイスをもらった。

5時間ぶっつづけでお話したが、足りない。時間も足りないし、ホワイトボード準備してなかったし、ネットで検索することもできなかった。オフレコ除いて、さしさわりのない範囲で書いてみる。

(1)博覧強記のライトニングトーク

まず、丸善丸の内本店を巡る。

松丸本舗の跡地(茶店になっている)を案内する。ここでのオフ会[1][2]楽しかったなぁ、読書猿さんと一緒に回りたかったなぁ……などと夢の跡に涙した後、わたしの狙い目の本に対し、アドバイスをもらう。

わたしが狙っている本として、ダニエル・デネット『心の進化を解明する』、佐藤岳詩『メタ倫理学入門』、ジョシュア・グリーン『モラル・トライブス』、『進化心理学を学びたいあなたへ』、そして分析哲学の雑誌「フィルカル」を挙げる。即座に(大陸)哲学と分析哲学の講義になる。

このときほどホワイトボードが欲しいと思ったことはない。大量の書籍を前に、これ、これ、これ、と指さしてそれぞれの背景、繋がり、行く末を批評するのだが、トークが早すぎてメモれないし本屋でメモるわけにもゆかぬ。

結局、エッセンスしか覚えられなかった。すなわち、共通基盤である論理学で鍛えられ、実のある論争を積み重ねた分析哲学は、(大陸)哲学を凌駕しようとしている。「ここは自分の領域」と固めるのではなく、問題があるところが議論をする場所として進展しようとする。

餅は餅屋、科学の現在について分からなければ、科学者に聞けばよい。事実、ダニエル・デネットはそうしている。しかし、同じ大学の科学者の研究室を訪れる代わりに、昔の文献に鼻をつっこみ、その解釈に明け暮れているのが、(大陸)哲学者である。

科学はアップデートされるが、(大陸)哲学は再解釈されるのみ(これを読書猿さんは「科学は新刊が出る」と一言であらわした)。したがって、科学の方法論を取り込んだ分析哲学が活きのいいのは当然で、結果、(大陸)哲学を凌駕するようになる。かつてのマルクス経済学と近代経済学の関係が、大陸哲学と分析哲学の関係になるかもしれない。

(2)ネットで言えない/聞けないこと

ネットでは言えないことを言いたい放題できてよかった。あと、ネットで聞けないことを沢山うかがうことができて面白かった。

「〇〇〇と〇〇〇はキワモノ枠」「〇〇〇〇〇は今をときめくベストセラーだけどゴミ」「〇〇〇〇は初期の短編だけが良く、あとはダメ」などと、わたしが常々思っていることとだいたい合ってたwww

わたしの自論として、ゴミは駆逐すべしと考えていた。しかし、読書猿さんの「それが売れたおかげで出版社が潤い、良書が世に出たことを考えれば、一概に言えない」という指摘は鋭い。『〇〇ー〇○〇ー』や『〇〇と〇』の具体例を挙げて説明されると、確かにその通りだと見えてくる。

Wikipediaのコピペを売りさばいているエセ教養人も、マスで見ると別の(ポジティブな)意味があるのかもしれぬ。

(3)英語力向上

わたしの課題として、「英文がスラスラ読めるようになりたい」がある。

トピックを追いかけてゆくと、英語という壁が立ちはだかる。読むのに異様に時間がかかるのだ。分からない単語を調べるのが面倒→読むのがおっくう→読まずに済ますというループになる。Google翻訳に任せて読んだフリしてもいいが、ヘンテコな邦訳よりもやはり自分でスラスラ読めるようになりたい。

そこでもらったアドバイスは「二万語」。ジャパンタイムスのコラムをコピーしてノートの左側に貼る。コラムを読むのではなく、そこに出てくる「分からない単語」を右側に抜き出して、その意味を調べる。

これだけ(ただし毎日続ける)。これを数ヶ月続けた後、Ankiアプリを使って記憶の定着化を図れという。

興味のある文章を読んでいて、不明の単語にぶつかって調べようとすると、「読む」が中断されてしまう。そして調べた後に「読む」に戻るコストが大きすぎる。ボキャブラリーを増やすために読んでいるのに、ボキャブラリーを増やす(=調べる)ことで「読む」コストが増えてしまうのは本末転倒。だから、「読む」とボキャブラリーを増やすを切り離して訓練するのである。まずは二万語を目指してみるか!

他にも様々なことを教えてもらい、提案をし、アドバイスをもらった。[shorebird 進化心理学中心の書評など]いいよねとか、[未翻訳ブックレビュー]凄いよねとか、好みのブログも合っていて嬉しい。

そして、最近、わたしが確信を持ちつつある科学ネタにも向き合ってくれて有り難い。物理学の限界と人間原理の境界の話や、腸内微生物による性格の相似化など、普通ならキ〇ガイ扱いされるようなネタにも、きちんとエビデンスに裏打ちされた話を打ち返してくれる。すげー楽しい。

記憶を頼りにだらだら書いてきたが、これでもトークの5%にも満たない。自信をもって言えることは、「『独学大全』はとてつもなく面白い&役立つ教養書になる」だな。全員全裸待機するように。

あと、わたしも原稿がんばります。

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コメント

狙ってる本のリストが僕の趣味と丸かぶりだなあ。分析哲学・倫理学・進化論周りのあれこれ。あと英文がスラスラ読めるようになりたいというのも同じ症状。マーク・ハウザーの「MORAL MINDS」原書を5周読み込んでボロボロにしたけど、まだ「この単語何だっけ?」が止まりませぬ。

投稿: 青達 | 2018.10.07 23:34

>>青達さん

趣味が似ていて嬉しい限りです。『心の進化を解明する』は序盤からデネット節が炸裂していて楽しいです。

そして"Moral Minds" は読みます! というか、まず分からない単語を抜き出すところから始めます(積みKindleが増えてゆく...)

投稿: Dain | 2018.10.08 08:44

本ブログも、読書猿さんのブログも非常に参考にさせていただいてます。

よろしければ、その他のDainさんの好みのブログ教えていただけませんか?

投稿: 京文 | 2018.10.10 17:00

>>京文さん

ありがとうございます、このブログがお役に立てて嬉しいです。
よく見に行くブログとして、「読書猿」や、この記事のリンク先の「shorebird」、「未翻訳ブックレビュー」があります。ほかにも好きなブログは沢山ありますが、本を選ぶ際に参考にしているのは以下のブログです。

極東ブログ
http://finalvent.cocolog-nifty.com/

基本読書
https://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/

海外文学読書録
http://pulp-literature.hatenablog.com/

logical cypher scape2
https://sakstyle.hatenadiary.jp/

松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/top/

昔は、「情報考学」とか「404 Blog Not Found」といった大御所がいたのですが、長いこと更新されていません。中の人はFacebookやSNSで発信しているようです。

投稿: Dain | 2018.10.11 19:17

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