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最新のアメリカの「世界文学全集」に見る日本文学

 世界文学全集を編むとき、そこに時代や地域による自動的な選別が行われる。編者の価値観や願望が反映されたものになる。

短篇コレクション 日本における「世界文学全集」では、池澤夏樹が編んだ河出書房版が新しいが、たとえばその『短篇コレクションI』だと、南米や中東、中国と沖縄など、非ヨーロッパから選ばれており、地域性フィルターが働いていることが分かる。非欧州でも(だからこそ?)こんなにも豊かな技法と発想に恵まれていることが、この一冊で分かるようになっている。

文学全集を立ちあげる また、丸谷才一、鹿島茂、三浦雅士の鼎談をまとめた『文学全集を立ちあげる』では、いわゆるカノン(正典)を示し、(読むにも書くにも)文学の技法を拡張する100冊が紹介される。面白いのは、日本であれ世界であれ、村上春樹の作品を執拗に全集から外そうとしているところ。日本の評論家では評価できないのであれば、むしろ世界文学全集に入れるのがふさわしかろうに。

 反対に、海外では日本文学をどのように位置づけているか? と考えていると、格好の講演があった。秋草俊一郎氏の「世界の中の日本文学」という特別講演だ。北米の大学では、教材として「世界文学アンソロジー」が使われており、そこで日本文学がどのように扱われているか? という視点から捉え直す試みになる。

Sekaibungaku

 以前、デジタル・ヒューマニティーズについて、「文学とコンピュータが出会うとき」という題目で同氏の講演を聴講したことがあるが、例が豊富で非常に分かりやすく、かつ読みたい本がザクザク出てくる1時間半でしたな。今回は、2018年に刊行されたノートン版世界文学アンソロジー4版についても語ってくれるとのことなので、めっちゃ楽しみ。

 入場無料、予約不要とのことで、ご興味のある方はぜひ。わたしも聴講するつもり。ご一緒していただく方がいらしたら、これをネタに一杯やりながら文学談義をしましょう。というわけでオフ会の募集も書いておく。

一次会 時間 15:00-16:30
    場所 市ヶ谷 日本大学会館
    目的 特別講演を聴講する
    参加方法 上のポスター参照

二次会 時間 17:00頃~19:00頃
    場所 市ヶ谷のどこか
    目的 一次会をネタに語りあう
    参加方法 twitter でわたし(@Dain_sugohon)に話しかけてくださいまし

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コメント

池澤夏樹のキトラボックスをお読みなら、古代史もお好きですよね。

歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。

投稿: omachi | 2018.09.24 16:47

>>omachi さん

お薦めありがとうございます、『キトラ・ボックス』は未読です。というか、ここ十年以上、池澤夏樹の"小説"には手を出していないので、チェックしてみますね。

投稿: Dain | 2018.09.24 18:08

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