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服が脱げない、400億の負債、アポロ13号、宇宙消失……「トラブル」がテーマの読書会

 お薦め本を持ちよって、まったり熱く語りあう読書会、それが「スゴ本オフ」。読書会といっても「本」に限定せず、映画や音楽、ゲームなんでもあり(詳しくはfacebook[スゴ本オフ])。

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 今回のテーマは「トラブル」。いざこざ、厄介、事故といった個人レベルから、騒動、戦争、厄災など国家・人類存亡レベルまで、実にさまざまなトラブルがある。本や映画は、常に1つ以上のトラブルを扱っており、何もトラブルが起きないという作品のほうが珍しい。そんな背景が映りこんだ、実にさまざまなトラブルが集まった。

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 そんな中、3人が被ったのは、『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』になる(わたしも持ってきた)。いわゆる「失敗学」の名著。スリーマイル原発事故、チャレンジャー号の事故、タコマ橋の設計エラーといったトラブルが、どのような原因が積み重なり、どうやって見過ごされてきたかを丹念にレポートしている。往々にして人的要因に帰せられがちだが、本書ではもっと多角的に、業務設計からのエラーや、オペレーションフローのインシデント、さらには組織論にまで踏み込む。何らかの判断を迫られる立場にいると、身に詰まされる一冊。

 天国で見た地獄というキャッチがぴったりなトラブルは、ラリーさんお薦めの『地獄のドバイ』になる。ドバイの景気が良かった時代、30男が脱サラして、ひとヤマ当てようとしたのだが……そこで見た地獄のドバイのドキュメンタリー。景気が良いのは最初だけ、紆余曲折の末、肥料工場で日給3000円の最下層労働者として働くことになる。しかも会社が潰れて、ビザがきれ、身ぐるみ剥がされ留置所にぶちこまれる。鼻持ちならないオイルマネー成金と、ホモセクシャルに支配された国らしい。隣り合っているようで、決して重ならない世界は、ドバイに限った話ではないのだろう。

 地獄といえば、はるかちゃんがアニメ『地獄少女』を推してくる。いじめや人間関係のトラブルに対し、晴らせぬ恨みを引き受けて成敗する仕置き人の話。「貴方の怨み晴らします」という惹句に、依頼人が、それぞれの苦悩を「仕返し」という形で果たそうとする。重要なのは、最初は深刻なトラブルでもないにもかかわらず、悪いほう悪いほうに転がり、最悪の結末となる。依頼人も安全ではなく、むしろ「人を呪わ穴二つ」そのもの。一つは仕返し相手の、もう一つは依頼人の墓穴である。ちゃお『ショコラの魔法』を思い出す。

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 「最悪のトラブル」としての、アドルフ・ヒトラー。ヒトラーがいなければ、あの戦争はなかったのか? 全てをヒトラーのせいにすることで、思考停止に陥っていないか? いわゆる「通説」に挑戦して激しい論争を巻き起こしたのが、シゲさんが持ってきた『第二次世界大戦の起源』。ヒトラーを「機会主義者」と評価し、開戦に到るプロセスを分析し好著とのこと。当時の欧州における多国間調整システム(ヴェルサイユ体制)の機能不全に着目し、これこそが、機会主義者としてのヒトラーの野心を刺激し、大戦へと繋がったと述べている。著者はこれで大バッシングを受け、大学をこ追われることになったという。これは読む。

 わたしが推したのは、『百年の愚行』。ありとあらゆるトラブル……戦争、弾圧、差別、暴力、貧困、環境破壊、核兵器……人間の愚かさと狂気が、圧倒的に迫ってくる。奇形化した魚、エイズの子、鮮やかなガス室、貧困の究極形、人類が成してきた悪行とツケ100年分は、絶句するほかない。人類が滅びるとするならば、その原因が写っている写真集である。読むと確実に気分が悪くなるが、必読やね。

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 微笑ましいものからえげつないものまで、世界はトラブルに満ちており、トラブルに介したとき、人間性が露になる。積本が益々増えるオフでしたな。

 次回のテーマは「詩」。歌や唄に読み替えてもいいし、俳句や短歌、川柳狂歌、ソネットや律詩を追ってもいい。さらに、小説や映画から惹かれた一句を抜き出すのもあり。好きな箴言集や名言集を紹介するのもいいかも。

 一つ条件があって、「この一言が刺さった」というのを抜き出して、紙に書いていただきます(そしてそれを貼りだします)。以前やった「決めの一行」みたいな形。

 途中参加・退出OK、「見るだけ」参加歓迎。最新情報は、facebook[スゴ本オフ]をチェックしてくださいませ。

◆フィクション
『20世紀の幽霊たち』ジョー・ヒル(小学館文庫)
『ゲームの王国』小川 哲(早川書房)
『すべてがFになる』森博嗣(講談社)
『その犬の歩むところ』ボストン・テラン(文春文庫)
『宇宙消失』グレッグ・イーガン(創元SF文庫)
『吉祥天女』吉田 秋生(小学館)
『光』三浦しおん(集英社文庫)
『砂の女』安部公房(新潮社)
『最後の医者は桜を見上げて君を想う』二宮敦人(TO文庫)
『死のドライブ』ピーター・ヘイニング編(文春文庫)
『死神の浮力』伊坂幸太郎(文藝春秋)
『深夜プラスワン』ギャビン・ライアル
『水域』漆原友紀(講談社)
『毒見師イレーナ』マリア・V スナイダー(ハーパーBOOKS)
『平浦ファミリズム』遍 柳一(ガガガ文庫)
『羣青』中村 珍(小学館)
『もうぬげない』ヨシタケ シンスケ(ブロンズ新社)
『万次郎さんとすいか』ぶん・本田いづみ え・北村人(福音館書店)
『パンダ銭湯』tuoera tupera(絵本館)

◆ノンフィクション
『30歳で400億の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』杉本宏之(ダイアモンド社)
『アポロ13号 奇跡の生還』立花隆(新潮文庫)
『哀しみを生きる力に』入江杏(岩波ジュニア新書)
『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』ジェームズ・R. チャイルズ(草思社文庫)
『新人OL、つぶれかけた会社をまかされる』佐藤義典(青春新書)
『人を襲うクマ』羽根田治(山と溪谷社)
『人民は弱し 官吏は強し』 星 新一 (新潮文庫)
『生き残る判断 生き残れる行動』アマンダ・リプリー
『戦火と混迷の日々』近藤紘一(文春文庫)
『百年の愚行』池澤 夏樹、フリーマン・ダイソン等(Think the Earthプロジェクト)
『続・百年の愚行』小崎 哲哉(Think the Earthプロジェクト)
『第三帝国の興亡』ウィリアム・L. シャイラー(東京創元社)
『第二次世界大戦の起源』A・J・P・テイラー(講談社学術文庫)
『地獄のドバイ―高級リゾート地で見た悪夢―』峰山政宏(彩図社)
『電撃戦』レン デイトン(ハヤカワNF)
『南アルプス山岳救助隊K-9 レスキュードッグ・ストーリーズ』 樋口明雄(山と渓谷社 )
『未知との遭遇』佐々木 敦(筑摩書房)
『夜と霧』ヴィクトール・フランクル(みすず書房)

◆映画・音楽・アニメなど
『ハングオーバー!』トッド・フィリップス監督(映画)
『Road to Revolution』LINKIN PARK
『地獄少女』わたなべひろし監督(TVアニメ)
『ダンケルク』クリストファー・ノーラン監督(映画)

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