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『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』(西原理恵子)は、娘の幸せを願う全ての親に伝えたい

 これは重要な一冊。これを娘に伝えられるかどうかが、娘の幸せを左右することだから。年頃の娘を持つ全ての親に渡したい。

 中身はいつものサイバラ節と、ちと違う。「母」という立場から反抗期の娘に宛てた手紙のような、それまでの半生を振り返って「いろいろあった」とつぶやくようなエッセイなり。さらりと書いてあるくせに、幸せの勘所というか、不幸を避ける考え方のようなものがきっちりとまとめられている。

 過去作を読んできた方には、目新しいものはないかもしれぬ。だがこれは、西原理恵子が伝えてきた「金の話」「男との関係」「幸せへの近づき方」の、いわばエッセンスを凝縮したものになる。一番重要なところを引用する。

大事なのは、自分の幸せを人任せにしないこと。そのためには、ちゃんと自分で稼げるようになること。

 そのために、最低限の学歴は確保する。できれば、資格もとって、スキルアップしておく。結婚するときは、夫に内緒の貯金を持っておく。「今は離婚できない」と「いつでも離婚できる」では人生大ちがいだという。理不尽な暴力(肉体的なものに限らず、言葉や態度も含む)を振るう人は、相手が逃げられない状況になってはじめて本性を現す。

 もちろん、そんな人だと分かっていたら、一緒になったりしない。だが、「そんな人ではない」と思っていても、リストラされたり、アルコールにはまったり、環境が変われば人も変わる。そんな人の具体例がこれまた生々しく、どす黒い。そうなる前に、逃げろという。「逃げる」という選択肢があることを、そうなる前に予め知っておき、それを選べる自由を持てという(それが金であり、金になる手に職なのだ)。

「自分さえ我慢すれば」は間違い。まず自分がちゃんと幸せにならなくってどうする。自分をちゃんと大切にできるって、女の子にとってすごく大事なこと。

 「いい子」になるなという。「優しい子」になるなという。そういう、優しくていい子は、自分の幸せを後回しにして、人に譲ってしまうから。譲られた人は感謝なんてせず、次からは当然になるというのだ。この件は、内田春菊のケーキの喩えを思い出す。

 ある女が手間暇かけて美味しいケーキを焼いた。それを一切れ、気になる男に差し上げたとしよう。男はうまいうまいと食べ、もっと欲しいと言い出す。女は躊躇するのだが、男は「一切れくれたのなら、全部くれても一緒だろう」と腹を立てるというエピソードだ。

 ケーキは肉体関係を指しているのだが、これは「やさしさ」にも通じる。最初の一切れは彼女の好意や優しさかもしれぬ。だが、それを当然視してもっとよこせという男に対し、我慢してつきあう必要はない。

 他にも、「女の一途は幸せの邪魔」「自由ってね、有料なんですよ」「人生は我慢くらべじゃない」など、名言だらけなり。娘の幸せを願う全ての親に、ぜひ読んで欲しい。そして、わたしの娘にも読んで欲しい一冊。

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