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わかりやすいデザインの教科書『ノンデザイナーズデザインブック 第4版』

 企画書、提案書、レポート、プレゼンのスライドなど、資料を作るあらゆる人にお薦めしたい名著『ノンデザイナーズデザインブック』の新版が出たので、あらためてお薦めする。

 かつては「新人にお薦め」と言っていたが、新人でも知ってる人は知ってるし、お歳を召してもダメな人は一定数いる。なのでこれは、社会経験というよりも、「知っているか否か」だけなのだ。何を知っているかというと、「伝えたいことを明確で分かりやすくアレンジするには、どこに目を向ければいいか」である。もっと具体的に言うと、上司や指導者から「おまえの資料はイマイチだ、なぜならココが○○だから……」という試行錯誤したことがあるか否かだ。

 この「変更前」「変更後」を比べるのは、ものすごく勉強になる。なぜなら、自分が作った「変更前」だけを眺めても、イマイチなのは分かるが、どこがイマイチなのか言葉にできない(指差せない)から。上司からダメ出しを食らって何度も直した経験がある人なら、自分の資料のまずいところを具体的にどうすればいいか指摘してもらっただろう。

 『ノンデザイナーズデザインブック』は、「変更前」のイマイチなところを言葉にし、「変更後」を示してくれる。中身は同じなのに、すっきりとして、読ませたいものがすっと目に入ってくる。何よりも、読んでみようという気にさせてくれる。何かの形式をコピーすればいいとか、文字修飾のテクニックを覚えろというのではなく、もっと原則的な、ほとんどセオリーに近い「見方」「考え方」のようなものだ。基本的なやつはこれ。

コントラスト
コンテンツの要素(書体、色、サイズ、形、空き)が同一でないなら、類似するのを異ならせ、視覚を引きつける

反復
色、形、テクスチャー、位置関係、フォント、サイズなどの視覚的要素を、作品全体を通して繰り返すことで、組織化を促し、一体性を強化する

整列
意図に沿って要素を配置することで、すっきり洗練された見え方を生み出す

近接
関連する項目をグループ化して、一個の視覚的ユニットとして認識させ、情報を組織化することで混乱を減らし、伝えたいことの構造を読者に示す

 言葉を羅列してもピンとこないけれど、それぞれのセオリーを適用した「変更前」「変更後」の事例を並べてくれるので、どこに目をつければいいかすぐに分かる。英語のレイアウト事例ばかりではなく、日本語ならではの原則を、名刺、フライヤー、ウェブ(申し込みフォーム/メニュー)のデザインサンプルを用いて解説してくれる。

 わたしの職場では「カラコピ厳禁」なのであまり使わないが、色と色の関係(補色、トライアド、スプリット・コンプリメント・トライアド)を用いて色相環を概説してくれたり、シェードとチントや暖色と寒色の役割をピンポイントで説明しているのがいい。ちょっとしたポスターやフライヤーなら、これで自信をもって自由に遊ぶことができる。

 さらに、どうしようもない「変更前」を渡されたとき、どこから手を付ければまで手ほどきしてくれている。簡単にまとめると、(1)焦点から始める(真っ先に見てもらいたいもの、面白いもの、伝えたいものを見つける)、(2)コンテンツをグループにまとめる(グループ間の関係を近接のテクニックで寄せる/離す)、(3)強い線を見つけて整理する(強い線=インデントや箇条書き、見出しをそろえる透明な線)、(3)反復を用いて情報を構造化する、(4)コントラストを設ける。たしかにこれは、わたしの上司が指摘していった順番やね。

 パワポのスタイルを弄ったりExcelグラフの種類を変えて「がんばった」気になるのではなく、伝えたいことを分かりやすい構造にする方法と、その見方が身につく。

 デザインを正式に学んだことはないけれど、デザインをする必要がある人たちのため書かれた、貴重で重要な一冊。

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