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「幸福の形は同じだが、不幸はいろいろ」というが、ホントは逆じゃないかと思えてくる『HAPPY』がテーマのスゴ本オフまとめ

 好きな本を持ちよって、まったり熱く語り合うスゴ本オフ。

 行くたびに、「この場」「その時」でしか味わえない驚きがあり、発見があり、積読がどんどん増えていく。せめてtwitter実況やブログまとめを張り切るのだが、伝えきれない(ネットには)載せられないネタが山ほど出てくる。北海道から沖縄まで、海外からも御参加いただける魅力は、この現場性にあると踏んでいる。同じ趣味で違う興味を持った人が集まると、こんなに面白い化学変化が楽しめる。

いろいろな「HAPPY」のカタチ
Happy1

 今回のテーマは「HAPPY」、読むとハッピーになれる本や、「幸せ」がテーマの思索、文字通りハッピーエンドの物語や、人生を前向きにする啓発書、なんでもないような幸せから、キュアハッピーまで、さまざまな「HAPPY」を眺める。

白ワインに合うのよ
Happy2
twitterまとめは[ソクラテス、老師から、さくら学院、おっぱいの科学、そして完璧なお尻の写真集まで。「ハッピー」なスゴ本オフ]をどうぞ。

最速情報は、facebook「スゴ本オフ」をどうぞ。

次回の申込みは[今年のMyBestスゴ本]をどうぞ。
これも幸せのカタチ
Happy5

タオ―老子 気になったのが、タオイズムのご紹介。社会の中での役割や生き様をあがくより、「生きる場所はどこにでもある」と納得するほうが自由だ。これを教えてくれるのが、『タオ―老子』(加島祥造)とのこと。「ようこそ駄目人間の避難場所へ」みたいな感じで、「俺って生きていていいんだな」と思えてくる。この「自由」という言葉が実に老子的で、教条主義の正反対というか、ルールに縛られない自在な生き方を目指す手がかりがここにある。死にたくなったら読んでる本とのこと。

日本一のアップルパイ(マミーズ)
Happy4

ネガティブな感情が成功を呼ぶ 「HAPPY」を逆説的に捉えた『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』(ロバート・ビスワス=ディーナー)が面白そうだ。普通ならマイナスイメージのある「怒り」「罪」「後悔」といったネガティブ感情が、実は行動力や創造性を促す有益な源として再評価されている。現代人は幸福に拘りすぎた「快楽中毒」で、ネガティブ感情に慣れていないと「精神的敏捷性」が失われてしまうと説く。無理やりポジティブに持っていくのでなく、あえて様々な感情に目を向け、ありのままの自分を利用するのが大事らしい。

ごちうさと断捨離
Happy3

ご注文はうさぎですか 100回うなづいたのが、『ご注文はうさぎですか?』(Koi)だ。可愛いものを愛でるように特化された現代人の脳構造に合わせて作られのが、この日常系マンガ最終進化形だという。アニメのキャッチコピー「かわいさだけを、ブレンドしました」の通り、かわいいだけのお話。これといい、『きんいろモザイク』を観ていると、葛藤とか確執みたいな物語の動力なんていらなくなる。かわいいは、正義。

休憩タイムのひとコマ
Happy6

おっぱいの科学 うれしかったのが、『おっぱいの科学』(フローレンス ウィリアムズ)。進化、環境衛生、遺伝子、授乳、がん、豊胸などから分析した、おっぱいのサイエンス。四足歩行から二足歩行へ移行した際、発情期を示すお尻が目立たなくなったのを補うために、おっぱいが発達したという。乳首に色がついたのも、視力の弱い乳幼児のための「目標」だと考察しているという。隠されたり、見せびらかされたり、測られたり、膨らまされたりされる、おっぱいの知られざる真実を「まじめに」探究した一冊。

赤ワインに合うのよ
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HIPS そして、お尻。ハッピーなものとは、満ち足りること、わくわくするもの……完全性を追求すると、それは円であり球であり、お尻に行き着く。わたしが紹介したのが、『HIPS 球体抄』(伴田良輔)。これがすばらしいのは、邪魔なものが一切なく、美しくみずみずしく撮っている。エロスを想起させるひじき等を写さないようにしているのもいい。[女は尻だ。異論は認めない][お尻を理解するための四冊]を圧縮して熱く語ったが、ちとフェチ色が強すぎたかもしれぬ。

美しいお尻について語りました
Happy8

 「幸福の形はいつも同じだが、不幸の形はそれぞれ違う」といわれるが、人によって幸せの形は、千にも変わるし万にも化ける。癒しであったり成長であったり、変化やフェチや"好き"そのものだったり。実にさまざまな形をとっている。「幸せ」をあるオブジェクトやステータスに置き換えたり、それを求める行為として見なしたり、幸せの定義や様相の変化が面白い。

サンドイッチ祭り
Happy9

 会場を貸していたただいたHDE様、参加されたみなさま、ありがとうございました。次回のテーマは「2015ベスト」、11/28に渋谷でやります。ちょい見、飛び入り、見学歓迎、詳しくは、[今年のMyBestスゴ本]をどうぞ。

 さまざまな形をとる「HAPPY」に属性のタグ付けするのは乱暴だけれど、紹介された作品の見通しをよくするために強引にまとめてみた。むしろこのキーワード/箴言の方がというのがあればご教授を。

    【愛】愛することと愛されること。 それより大きな幸福なんて、私は望みもしないし知りもしませんわ(モラティン)
  • 『100万回生きたねこ』佐野洋子(講談社)
  • 『100万分の1回のねこ』江國香織(講談社)
  • 『ダヤンと時の流れ星』池田 あきこ(白泉社)
  • 『フクとマリモ』五十嵐健太(KADOKAWA)
  • 『ライン』西村しのぶ(講談社)
  • 『エリカ 奇跡のいのち』ルース・バンダージー講談社)
  • 『宴のあと』三島由紀夫(新潮文庫)

    【癒し】もっとも平安で純粋な喜びは、癒しである(カント)
  • 『しあわせの香り: 純喫茶トルンカ』八木沢 里志(徳間文庫)
  • 『純喫茶トルンカ』八木沢 里志(徳間文庫)
  • 『ぬしさまへ』畠中 恵(新潮文庫)
  • 『レミーのおいしいレストラン』ルー・ロマーノ(主演)(Disney)

    【かわいい】かわいいは正義、かわいいは幸せ
  • 『けいおん!』かきふらい(芳文社)
  • 『ご注文はうさぎですか?』Koi(芳文社)
  • 『なんだこれくしょん』きゃりーぱみゅぱみゅ(ワーナーミュージック・ジャパン)
  • 『あずまんが大王』あずま きよひこ(小学館)

    【希望】寝るとき、明日を楽しみにしている人は幸福である(ヒルティ)
  • 『キッパリ たった5分で自分を変える方法』上大岡 トメ(幻冬舎文庫)
  • 『LIFE!/ライフ』ベン・スティラー(監督)(20世紀フォックス)
  • 『ソクラテスの弁明』プラトン(岩波文庫)
  • 『虹をつかむ男』ジェイムズ・サーバー(ハヤカワepi文庫)
  • 『夜間飛行』サン=テグジュペリ(新潮文庫)
  • 『Dorothy Little happy FINAL at NAKANO SUNPLAZA』Dorothy Little Happy(avex)
  • 『さくら学院 The Road to Graduation 2014 〜君に届け〜』さくら学院(ユニバーサル ミュージック)

    【自由と人生】一番幸せなのは、幸福なんて特別必要でないと悟ることです(サローヤン)
  • 『生きるとは、自分の物語をつくること』小川洋子・河合隼雄(新潮文庫)
  • 『イスラム飲酒紀行』高野 秀行(講談社文庫)
  • 『タオ―老子』加島 祥造(ちくま文庫)
  • 『フォレスト・ガンプ』トム・ハンクス(主演)(パラマウント)
  • 『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』佐々木典士(ワニブックス)
  • 『ふくろう女の美容室』テス・ギャラガー(新潮社)
  • 『死ぬ気まんまん』佐野 洋子(光文社文庫)
  • 『詩羽のいる街』山本弘(角川書店)
  • 『守備の極意』チャド・ハーバック(早川書房 )
  • 『博士の愛した数式』小川 洋子(新潮文庫)
  • 『有頂天家族』森見 登美彦(幻冬舎文庫)
  • 『トモネン』大庭 賢哉(宙出版)
  • 『細雪』谷崎潤一郎(中公文庫)

    【好き】なにが君の幸せ? なにを見て喜ぶ(アンパンマン)
  • 『Alice's adventure in Wonderland』クリストファー・ウィールドン振付のバレエ
  • 『Hate that Cat』Sharon Creech(HarperCollins)
  • 『Love that dog/あの犬が好き』Sharon Creech(HarperCollins)
  • 『エデン』近藤 史恵(新潮文庫)
  • 『サクリファイス』近藤 史恵(新潮文庫)
  • 『ディーバ』デラコルタ(新潮文庫)
  • 『算法少女』遠藤 寛子(ちくま学芸文庫)
  • 『恐竜 (講談社の動く図鑑MOVE)』小林 快次(講談社)
  • 『妖怪温泉』広瀬 克也(絵本館 )
  • 『理科好きな子に育つ ふしぎのお話365』自然史学会連合(誠文堂新光社)
  • 『アイヌ学入門』瀬川 拓郎(講談社現代新書)
  • 『ゴールデンカムイ』野田サトル(ヤングジャンプコミックス)
  • 『UYUNI iS YOU』TABIPPO(いろは出版)
  • 『にじいろのさかな』マーカス・フィスター(講談社)
  • 『おやすみロジャー』カール=ヨハン・エリーン(飛鳥新社)
  • 『FRAU 2014 3月号 女って、おしり』(講談社)
  • 『HIPS 球体抄』伴田良輔(スペースシャワーネットワーク)
  • 『アナル全書』ジャック モーリン(作品社)
  • 『おっぱいの科学』ウィリアムズ・フローレンス(東洋書林)

    【ライフワーク】一生の仕事を見出した人には、ほかの幸福を探す必要はない(カーライス)
  • 『happier 幸福も成功も手にするシークレット・メソッド』 タル・ベン シャハー(幸福の科学出版)
  • 『スティーブ・ジョブズ』ウォルター・アイザックソン (講談社)
  • 『その幸運は偶然ではないんです!』J.D.クランボルツ(ダイヤモンド社)
  • 『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』ロバート・ビスワス=ディーナー(草思社)
  • 『バードマン』マイケル・キートン(主演)(20世紀フォックス)
  • 『甘美なる作戦』イアン マキューアン(新潮クレスト・ブックス)
  • 『遥かなるセントラルパーク』トム・マクナブ(文春文庫)
  • 『アルケミスト~夢を旅した少年』パウロ コエーリョ(角川文庫)
  • 『幸福論』ヒルティ(岩波文庫)

    【禍福】禍福は糾える縄の如し(老子)
  • 『幸福の王子』オスカー・ワイルド(新潮文庫)
  • 『クリスマス・キャロル』ディケンズ(新潮文庫)
  • 『マリファナの科学』レスリー・アイヴァーセン(築地書館)
  • 『ハッピーピープル』釋英勝(集英社)

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日仏科学医療対話「なぜエラーが医療事故を減らすのか」まとめ

 日仏科学医療対話を見てきたので、まとめる。

 日仏の研究者や医師が分野を超えて相互交流をするシンポジウムで、在日フランス大使館が後援する「日仏イノベーション・イヤー」のプログラムの一環になる。


 10/19 講演会と討論会
 「医療安全を考える なぜエラーが医療事故を減らすのか」

 10/23-24 日仏医学コロック
 「脳と心 日仏クロストーク」

 10/26-29 数理モデルとその応用に関する国際会議
 「自己組織化」

 11/6 講演会と討論会
 「憎むのでもなく、許すのでもなく レジリエンスを語る」


 わたしが見てきたのは、「医療安全を考える」講演会&討論会[日仏会館]。ローラン・ドゴース氏が基調講演を行った。氏は『なぜエラーが医療事故を減らすのか』の著者で、この[レビュー]が縁となって本講演会のことを知らせてもらった(山田様ありがとうございます)。

なぜエラーが医療事故を減らすのか 講演は、「犯人探しだけでは医療は良くなるのか?」という問いかけに始まり、大きな事故が発生したとき、根本原因を究明し再発を防止するというアプローチには限界があると説く。複雑系そのものである人体を相手に、これまた複雑に巨大化した現代医療システムを完璧に適用することは、事実上不可能。医療行為の手順をどんなに徹底させても、予想外の要素が重なった場合、防げない事故は必ずあるから。むしろ、予想外の事象に気づき、柔軟に対応できる弾力性(レジリエンス)こそが重要だという。

 ドゴース氏の講演を受け、討論会が行われる。パネリストは下記の通り。レジリエンス・エンジニアリングや医療従事者の「良心」のありかたなどが話題となった。

  橋本廸生(日本医療機能評価機構理事)
  長谷川剛(上尾中央総合病院院長補佐・情報管理部長)
  永井裕之(「医療の良心を守る市民の会」代表)

 特に興味深かったのはレジリエンスを実現する具体的な方法の議論だ。安全性のノウハウは学習できるもので、全国一律に展開(規制)したり教科書のように標準化することも可能。ただし、ノウハウを展開しても、現場には「常識」のような事例にとどまる。

 いっぽうレジリエンスはローカル(局所的)なもので、病院ごとに異なる。再発防止のため本当に自由に話してもらうためには、局在性(≒密室)が必要になる。飛行機事故調査における「パイロットと管制官だけ」のように、「医師と看護師だけ」での院内レビューが重要だという。レビュー結果を報告する段階で遺族が同席するのはいい。だが、遺族が原因究明の場に入ると、病院側は真実よりも自己正当化を優先するから。

 フランスでは、「原因究明・改善」と「被害者・遺族への補償」をセットで提供するようにしたため、犯人探しの輪から抜け出すことが可能となった。この「原因究明・改善」は病院ごとのローカルなレジリエンスで、「被害者・遺族への補償」は全国的な制度となる。

 ローカルスキルの蓄積と、制度的な安全システムとの対比は面白い。だが、最初から標準化に背を向けたレジリエンスをどのように評価するかは、別の問題。なぜなら、評価には必ず他病院との比較観点が入るから。一定の標準化された安全性に加え、柔軟性や「うまくやっていく能力」こそが求められるようになるのだろう。

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか レジリエンス・エンジニアリングの考え方は、医療現場に限らず、あらゆる組織のリスクマネジメントに役立つ。『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』や『失敗のしくみ』を読みながら、自分でエラーに気づき是正できる文化を考察したことがある。飛行船墜落や原発事故、ビル倒壊など50あまりの事例を横断的に眺めながら、人的要因とメカニズムをドキュメンタリータッチで描いたものだ(ちなみに、「最悪の事故が起るまで人は何をしていたのか?」の答えは、「最悪の事故になるとは思いもせず、別のインシデントだと考えて行動していた」だ)。

 要するに、むかし流行った「失敗学」である。そこでは、エラーのデータベース化によって、失敗を排除するための標準化・手順化に注力していた。一般的なヒヤリハット集なんて、あたりまえすぎて参考にならない。問題は、次の想定外が起きたとき、それが「想定外のインシデントである」と早く気づけるスキルであり、そのインシデントをアクシデントにさせない打ち手を柔軟に考えられる能力なのだ。Hollnagel『レジリエンスエンジニアリング』をとっかかりにしてみよう。

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