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妻の『The Last of Us』の解釈が秀逸すぎる

 この記事では盛大にネタバレしてるのでご注意を。

TheLastofUs 未プレイの方には、断言する、ハードごと買う価値がある。ここでは、わたしがプレイしている横で見ていた妻の観点が、あまりにも目鱗だったのでまとめた。

 基本、わたしする人、妻みてる人。敵の動線を予測したり、見落としたアイテムを指摘するのが彼女の役目。アクションが好きなわたしと、ギミックやパズルが好きな彼女との役割分担だ。完全に没入して号泣しているわたしと対照的に、冷静に観る彼女からは沢山の気づきと驚きをくれた。「 Bill と Joel でビリー・ジョエル、歌手になりたかったんでしょ」なんて小ネタを教えてくれたのも妻だ。

 そんな妻が、ラストのあの意味深なシーン(エリーの"okey")を観て、こう言った。「タイトルには、二重の意味が隠されているね」

 つまりこうだ。『The Last of Us』は、二つの解釈の仕方がある。一つは、死地をくぐり抜けてきたパートナーとしての「わたしたちの終わり」という意味。「抗体を持った人が沢山見つかった」というジョエルの嘘を見破ったエリーが、二人の絆の終わりを自覚したというのだ。死んだ娘に重ねようとしはじめたジョエルと、かけがえのないパートナーとして見ていたエリーの、「ラスト」。「二人の、決別としての"The Last"と読み取れる。もうジョエルを信頼できない、と悟ったから」だという。

 もう一つは、「人類の終わりとしてのわたしたち」という意味。エリーがジョエルに「誓って」と告げるシーンの直前、こっそり腕の傷を見つめていたことを指摘する。そして、「あの傷痕は、大きくなっている」というのだ。そもそも、抗体を持った人からワクチンを作るために、何も殺す必要はないはず。生体の一部───たとえば血液を採取すればいいはずなのに、彼女の中から「何か」を取り出そうとしていた。

 その「何か」とは、(血液抗体ではなく)一種の寄生菌だとマーリーンは告げる。普通の人が感染すると、数時間で急激に拡大し、脳を乗っ取られてしまう(『寄生獣』のように)。そしてランナーやクリッカーになると、もう同化してしまって取り出すことができなくなる。しかしエリーの場合は、そのスピードが非常にゆっくりしているため、未同化の状態で取り出し、特効薬を作ることができる。もちろん、そのためにはエリーの命を奪うことになるが。ファイアフライたちがあれほど急いだのも、エリーが凶暴化するのではなく、エリーの中のものが同化して役に立たなくなるのを恐れたため。抗体は期限つきであり、それが尽きる"The Last"が、エリーがエリーでいられる時間だという。

 こう考えると、サムとヘンリーのエピソードが効いてくる。サムの「奴らって、意識はあるのかな?」の台詞だ。記憶はまだ残っているのに、そうしたくないのに、肉親や友人を襲ってしまうのではないか?そう考えるサムに、ヘンリーは「魂は天国に行っているのだから」と慰める。そして翌朝、“奴ら”になったサムがエリーを襲う。彼女を助けようとすると、「俺の弟だぞ!」とヘンリーは叫んで───SUMMER編のクライマックスだ。ヘンリーは撃てたが、その撃鉄は、あまりにも重すぎた。そういえば、ビルがこう言ってた「この世の中は、大切なものをもってる奴から死んでいくんだ」。ジョエルが生きのびてきたのは、「大切なもの」を既に喪っていたからだと言える。

 だが、もし、エリーがそうなったら、撃てるか?そして、もし撃ったなら、ジョエルはヘンリーと同じ運命をたどるのか?エリーが噛まれたとき、一緒に噛まれた親友が言ったことも重なってくる。「待ってればいいじゃない? どうせ、最後はみんなおかしくなっちゃうんだからって。あたしはまだ待ってるの」。そして、待っている時間の尽きるときこそが、二人の旅の終わりになる。

 これは、ファイアフライの大義と、変態ロリコン野郎の双方にも効いてくる。人を殺して、ワクチンを得る人と、人を殺して、食肉を得る人と、変わりはしない。どちらも、こういった。「これしか、ほかに方法がない」と。むしろ、変態ロリコン野郎の方が直裁的だ。「殺すから、生きられる。俺は、正直なだけだ。お前も、正直になれよ」と。両者が人類のなれの果てなのであれば、どちらにも与せず、お互いを大切な存在として最期を迎える、"The Last"となる。人類なんか、クソ喰らえってね───というのが、妻の解釈。

 え、あの水力発電所は?弟のトミーは?と驚いて彼女に問う。「もちろん、全滅してる。でなければ、エリーが発症して全滅させる(もちろんジョエルは撃てない)。これだけ溜めてきたのだから、エリーのソウルジェムは、きっと真ッ黒のはず」

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