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人生を面白くする一冊『人生ドラクエ化マニュアル』

人生ドラクエ化マニュアル 人生を難しくしているのは私なのだから、面白くするのも私だ。限界を決めているのは自分だから、破るのも自分だ。そのやり方を指南するのがこれ。

 しがらみ・ローン・世間体に挟まれて、溶けかかった人生にとって、いい電撃になった。さらっと読めるくせに、忘れていた情熱を盛大に煽ってくれる、しかもドラクエを燃料にして。

 よくある「人生で大切なことはゲームで学んだ」的なライフハックのコピペ集かと思いきや、より構造化されたマニュアルとなっている。「人生=ドラクエ」に喩えるだけでなく、その喩えからのズレこそが、人生をより面白くさせていることに気づかせてくれる。現実逃避のためのゲームが、人生をブーストしてくれるのだ。

 たとえば、人生(という名の)ゲームにおける敵は、目標(=夢)を設定した瞬間、自動生成されるという。この「敵」とは、目標の前に立ちはだかる障害となる人になる。面白いのは、ただ「たたかう」ことで倒すだけでなく、やりようによっては「敵」にせずにすむことだって可能だ。

 なぜなら、人生ゲームのデザイナーは自分自身なのだから、「敵」のバランス調整を自分でやればいいという。さらに「にげる」を選んだっていい。目的の設定、パラメータ調整、バランス、そしてプレイヤーを自分でやれるのが、このゲームの醍醐味になる。

 そして重要なのは、たとえ途中で「にげる」ことになっても、さらに負けることになったとしても、人生ゲームでは経験値が増えるところ。この指摘は類書が及ばない、人生を面白くさせる肝になる。つまり、敵に勝っても負けても経験値が増える。やればやっただけ、熟達するし、「にげる」を選んでも、引き際の見極めと「優れた逃げ方」いう経験が積める。負けることを恐れて、闘おうとしないなら、経験値は増えず、レベルは上がらない。挑戦しないことによる格差を解消する唯一の方法は、「チャレンジせよ」になる。ここは、人生がドラクエを超えるポイントやね。

 要所要所にアジテーションを混ぜ込んで、読み手を発火させる導線が仕込まれており、ドラクエにハマった人なら熱くなること請け合い。「定価5500円のテレビゲームに面白さで負ける人生でどうする!?」とか、「敵のいないゲームなんてクソゲーだ」、あるいは「お仕着せのゲーム目的で、他人の人生をプレイしてないか」など、煽り文句にヒリヒリする。

セクシープロジェクトで差をつけろ この読者を誘発させるやり方、トム・ピーターズに似ている。たとえばサラリーマン大逆襲作戦の『セクシープロジェクトで差をつけろ!』なんてそう。つまらない仕事を、ものすごいプロジェクトに変化させることを目的にした、翼をさずけるRedBullみたいな本だ。周りを巻き込み、肩書きや立場を飛び越える「すごい仕事」にするためのノウハウを惜しみなく紹介しており、『ドラクエ化マニュアル』が人生全般なら、これは「サラリーマン」の射程に収まっている。

 このテの、即効性のある本は、よくこういわれる「すぐ効く本は、すぐ効かなくなる」。それでいい、というより、それがいい。これは、読んでる傍から火が点いて、いたたまれなくなって、よし! やるぞと駆け出すための起爆剤なのだから。書を捨てて、世に出るための燃料なのだ。そして、ちょっとダウナーになったり、迷ったときに、もう一度開いて、ブーストしてもらえばいい。

 人生で遊ぶために、そして人生を遊ぶために。

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