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スゴ本オフ「親子」のご案内

 オススメ本を持ちよって、まったりアツく語り合うスゴ本オフのご案内。2013年の最初は、「親子」がテーマですぞ。

 慈愛、支配、愛憎、確執、重荷……「親子」というキーワードから、あらゆる人間関係が紡ぎだされる。物語の形をした親子のドラマは、それこそ星の数ほどあるし、ドキュメンタリーやレポート形式の良書も沢山ある。そこから、「これは!」という本、マンガ、映画などを選んでほしい。

 難しいなー(面白いなー)と思うのは、テーマとの距離感で選ばれる本が違うところ。自身の経験に引きつけて選ぶとしても、自分が子どもだった場合と、親である今の視点とで、まるで違ってくる。また、親子関係が鍵となるドラマは、理想と現実の双方向で異なる本が思い浮かぶ(しかもどちらも傑作)。親子のドロドロを描いた私小説もある一方、「親子関係」を拡張すると、聖書にまで届く。沢山思い浮かぶなか、ピンと来たのを持ってきて。

 とき 2月23日(土) 14:00~19:00
 ところ 麹町
 参加費 2千円(軽食とドリンクでます)

 申込・案内は、facebook「親子のスゴ本」か、やすゆきさんの記事2013年最初のスゴ本オフは「親子」がテーマですをどうぞ。

 毎回強調しているけど、集まるメンツは「本が好き」なだけで、読書家でもなんでもないですぞ。読書は競争じゃない、楽しく新しくなるもの。twitterで「いいなー、参加したいなー」とつぶやいているだけだと一生入れません。「この一冊が好き」を伝えてくだされ。

 そして、来ると世界がババッと広がります。「こんな作品があったのか」と驚くだけでなく、「自分の好きな本を好きな誰か」を見つけることができるから。プレゼン勝負をする場じゃないので、気楽に熱く、その本への愛を語ってくださいまし。

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この書店がスゴい『TOKYO本屋さん紀行』『TOKYOブックカフェ紀行』

 いわゆる、物量で圧してくるギガ書店ではなく、厳選され演出されたセレクトショップをご紹介―――というよりも、そのガイド本をご紹介。いつもの本屋を通り過ぎ、電車に乗ってでかける価値あり。

TOKYO本屋さん紀行 『TOKYO本屋さん紀行』に紹介されてる書店に共通するのは、「人と本のつながり」。本は単品で並べられるのではなく、ある意図をもって他の本との関連性のもとで棚が編集される。そこには店員の意思があり、店のポリシーまで手繰ることができる。興味を惹いた一冊や既読本、さらにはイベントを通じて、棚とスタッフに共感する。同調する人が集まってくる―――これからの書店は、そういう「場」を目指しているようだ。

 たとえば、千駄木駅から5分の往来堂書店。丁寧に編集された棚が、読み手に「発見」の喜びを教えてくれるという。著者や出版社で分けるのではなく、意味のつながりがある本を並べてつなげてゆく、いわゆる「文脈棚」。これが十八番だった松丸本舗が無くなってしまった今、堪能できる希少な店。

 あるいは、新宿駅から10分の模索社。「新宿にたまり場を作ろう」というコンセプトで、ミニコミ、思想書、サブカルチャーを集める。クリエイターの持ち込み歓迎なんだって。「表現したい」衝動が所狭しと詰め込まれており、写真なのに息苦しくなるほど。本というメディアを通じて、念が集まってくる場やね。本書に紹介されるまで、知らずに通り過ぎていた。今度寄ってみる。

 他にも、「本は情報だけではなく人の記憶、思い出をもつないでいくもの」という百年(吉祥寺)、古今東西のあらゆる食の本で人をつなげるCOOK COOP(渋谷)、キーワードは「東京発の旅」の本と東京土産のTokyo's Tokyo(羽田空港第2ターミナル)など、わたしの視野を丸ごと拡張→深化するショップに出会える。

TOKYOブックカフェ紀行 『TOKYOブックカフェ紀行』に出てくる書店にも「人と本のつながり」が見える。いい本を読むと、誰かに伝えたくなる。このもどかしい感覚が本に人を、書店に人を集めるのだろうか。本の「しゃべり場」ともいうべき、ソーシャル・ブックショップが紹介されているので、カタログ的に眺めて、自分好みを選んでもいい。

 下北沢のB&Bは、「毎日何かが起きている書店」として紹介されている。毎日(!)イベントやっているからね。本とビールのブックショップで書いたが、「本を売る店」というよりも「本で何かをする場所」のようだ。本を通じて人と会い、人を通じてスゴ本を知るのを信条とするわたしにとって、うってつけの場やね(ビールも呑めるし)。

 新宿のブルックリン・パーラーは、ブルックリンラガーが絶品で、読みながら酔える(酔いながら読める?)。混沌とした空間に詰め込まれた、「人生における無駄で優雅なもの」というキャッチーはぴったり。セレクトされた本もクロスボーダーなやつばかりで、棚に人があらわれている。ただし、やかましい。いい本に出会えるカフェバー「Brooklyn Parlor」でも紹介したとおり、静かに本を読むところではなく、ブックトークに花を咲かせる場やね。特大のソファに身を沈めて、ビール片手に本談義→店内ブックハンティング→ブックトーク……の無限ループに漬かりたい。

 代官山のAnjinはスゴかった。蔦谷書店のカフェなんだが、カフェというよりも、ホテルのラウンジといった趣で、「一流の読・食・癒が揃う至極の空間」という紹介文はそのとおり。ただ、わたしが訪れたのは日曜午後だったので、ごった返してた。朝イチとか深夜(26時まで営業)を狙おう。本書によると、泉麻人氏が通っているらしい。出没帯は朝方、仕事合間に昔のPOPEYEをめくって、駆け出しの頃のコラムを見つけるのを楽しんでいるそうな。

 読みたい一冊を特定できるなら、なにも出かけなくてもいい。それこそ家から一歩も出ることなく、届けてもらえるのだから。だが、わたしが探す一冊は、わたしが知らないスゴ本なのだ。そして、そのスゴ本を読んでる店員さんは、書店にいる。

 書を探しに、町へ出よう。その水先案内のための2冊。

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より“良い”判断のため『意思決定理論入門』

意思決定理論入門 十年前、初めて買った年末ジャンボは、一等の番号と完全一致していた。

 実は組違いだったのだが、問題はその後。一等組違いの十万円に味をしめ、毎回結構な額を買うようになる。当然かすりもせず、購入額の累積が十万を越えたあたりで期待値に気づく。以降、きっぱりやめてしまった。

 文字通り「夢を買う」宝くじを、なぜ買ってしまうのか。合理的に考えるとワリの合わない賭けに、どうして乗ってしまうのか。本書を読むと、不合理な選択をする理由が“合理的に”分かる。

 もちろん「宝くじはバカに課せられた税金」と貶してもいい。だが、これによると、人は意思決定する際、自分が直面している確率を歪んだ形で認識しているように振る舞うらしい(プロスペクト理論というんだそうな)。

 つまり、誰でも確率の計算はできるものの、必ずしもその通りに行動しないのが、“人”なんだそうな。自分では「正しく」判断しているつもりでも、「統計的な確からしさ」からズレている。その歪みや偏差が見えるようになっている。期待効用理論、ベイズの定理、プロスペクト理論といった基礎理論を、「問題・解説」形式で検証する。自分を試すつもりで向かってみると、気づかなかったバイアスが見える化されてくる。

 たとえば、次のうち、死亡者数が多いのはどちら?

  a.消化器疾患
  b.交通事故











 多くの人はb.を選ぶ傾向があるんだそうな。wikipediaによると、a.が正しい。消化器疾患による死亡者数は交通事故の死亡者数よりも50%以上も多い。これは、「利用可能性ヒューリスティック」の例で、本質が偏ったサンプルにあることが顕になっている。aとbの二つの死因の確率を比べる際、そのデータを持っていないのが普通だ。

 そうなると、自分の記憶の中で例を探し求めようとするだろう。自分が知っている死因の多くは、メディアの報道によるものだ。もし、メディアの報道に偏りがあるならば、記憶からたぐり寄せた「サンプル」が偏っていても不思議ではない。

 一方、注目度の高いネタを欲しがるジャーナリストは、消化器疾患よりも悲惨な交通死亡事故を頻繁に取り上げる。結果、知ってる事例が(主観的な)確からしさを引きよせる。メディアの大合唱が認知を歪ませる好例として、ロス疑惑やら国民総幸福量を思い出すが、主観なんてそんなもの。

 もっとセキララな例もある。子供がいる人は、いない人よりも、自分のことを幸福だと考えがちなんだって。子育ての苦労を乗り越えて、子供がいて幸せだと申告するのは、自分が幸せであると思いこもうとしている可能性も大いにあるというのだ。主観的幸福度と定義されているが、わたしの経験に照らすと“思い出補正”になる(確かに歪んでいる)。ただし、認知の歪みが分かったとしても、判断は変わらないのが面白い。

 これは本書の結論に通じる。意思決定論における考え方に習熟し、“より良い”意思決定をする上で必要な理論を学ぶうち、何をもって“より良い選択”なのかを決めるのは、実は主観に拠ることが分かる。それでは、方法論なんていらないじゃん、にならないところがミソ。その意思決定のどこが歪んでおり、どこからが統計的に確からしさを有するのか分かるだけで、価値があるというもの。

 次の意識決定を、より確かにするための一冊。

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