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知的連歌 hoooon! 面白いぜ

 ライブ型書評イベント見てきた。

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 雰囲気に合わせて楽曲を選び、トークを交えながら音楽を流すのがDJ(ディスクジョッキー)なら、これはBJ(ブックジョッキー)だ。前の曲とのつながりや、来場者の興味に沿ったり裏切ったりしながらアレンジする。まるでジャズセッションのようなライブを「本」で演(や)るのだ。かなり高度で面白い。

 基本ルールは2つ。

 1)持ち時間は1人3分間
 2)前の人の紹介キーワード・テーマを引き継ぐ

つまり、一人3分で一冊紹介し、次の人が、その本に関連する本を紹介する×4回で、3人で12冊をマシンガントークするわけ。プレゼンター達は、一人十数冊持ってくるけれど、実際に紹介されるのは「前の人の紹介本に絡むもの」という縛りがあるので、自ずと絞られてくるのだ。

 どういう本が俎上にあるかは最初に分かっている。この日はこんなラインナップだった。科学哲学、建築、政治学、都市計画、空間デザインという専門領域を持つ若手研究者が、学術書から小説、写真集まで、ジャンルオーバーな本が集まっている。

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 既読本なのに、意外なつながりから導かれたり、思いもよらないキーワードで紹介されると、気づきと驚きが生じる。ああ、そういう「読み」もあったんだねと。松岡正剛氏の「共読」を現在進行形でやるようなもの。しかも、そうしたつながりは、トークのうねりの斬り口からアドリブ的に飛び出してくる。このライブ感が、まるでジャズのかけあいのように面白いのだ。

 こんな流れだ。シャルル・フーリエ『四運動の理論』→玉村豊男『料理の四面体』→マックス・ヴェーバー『社会主義』へとつながる。串刺しにしているキーワードは、"普遍性"なのだが、どういうキーワードに落とし込むかは、しゃべり手の感性による。

 続いて、P.オースター『幽霊たち』→ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』→佐藤優『国家の罠』とつながる。さらに梅原猛『歎異抄』がくるのだが、『国家の罠』とのつなげ方がアクロバティックなり。悪人を作って排除する検察から、善人なおもての悪人正機説という連想。ドストの『カラマーゾフの兄弟』があったので、てっきりロシアつながりかと思いきや、「そうきたか!」と驚かされる。

 読みたい本、読み返したい本が続々と出てくるのがいい。坂本一成『建築に内在する言葉』が読みたい。「建築の中で暮らしている=建築の中でしか発想できない」というスタンスをずらすという。それにつながる諭吉の『学問のすすめ』は読み返したい。

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 これ、 実況したらオモロイぞ、とおもってたら、こないだニコニコ超会議に出てたそうな。九鬼周造『いきの構造』から、テグジュペリ『人間の土地』、宮崎駿の反戦・兵器好きの矛盾性から、「飛ぶことへの呪い」論が開陳される。『風立ちぬ』は、彼の総結集+乗り越えらしい。発想の共振動が、思わぬ方へ転がってゆく。

 芋づるが想像とは違う方向に延びてゆくのがイイ。「その一冊」を読み込んでいるからこそ生まれ出る着想と、「その一冊」に情熱を注ぎ込んでいるからこそ流れ出る連想がいい。いわゆる発想の連歌を「本」で演るのだ。

 ただし、これはかなりハードルが高い。イントロ1分、紹介3分と切れ目なく話を続けながら、自分のフィールドの本に絡めつつ、次の人につながりやすいパスを渡してゆく。一人一冊紹介するだけのビブリオバトルとか、もっとフランクなブクブク交換、まったり熱く語り合うスゴ本オフと比べると、hoooon! は、かなり高度だ。「しゃべり手」のパフォーマンスに拠るところが大きい。やり方によってはグダグダに陥ったり、独り善がりで周囲は「?」となる恐れもある。読み込みと情熱としゃべり技術を求められる、知的連歌なのだ。

 だからこれは、「今が旬」のイベントなのかもしれない。次回もぜひ観覧したい。

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 「知」を楽しむ。若手研究者による本紹介イベント

 一番惹かれたのが、矢代梓『年表で読む二十世紀思想史』。流行りモノを切口に、横断的に俯瞰する視点が得られそう。

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