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いじめについて子どもに話したこと

 「よい」といったら語弊があるが、機会なので、いじめについて子どもと話す。

 赤ん坊のときから「寝かしつけ」はわたしの仕事だが、小学生になっても一緒に寝たがる。寝物語もエスカレートして、絵本からゾロリ全読、オリジナルストーリーの強要など、拷問じみてくる。最近はエロを抜いた「Kanon」や、「ルーク・スカイウォーカー物語」(中身はエピソード4)で胡麻化している。昨晩は「いじめ」になった。

 すでに実行してきたことは、「わが子がイジメられてるらしいと思った親が最初にしたこと」に書いた。伝えたいメッセージは「みんな仲良くはウソ」「逃げろ」になる。

 今回は具体的に思い出しながら語った。「葬式ごっこ」や「マット死事件」を挙げて、いじめがどのようにエスカレートしていくかを聞かせる。よく「いじめはあってはならない」と言われるだけで、それが具体的にどのように始まって、どう進行するかについて、話したことがないことに気づく。

 最初は、靴や文房具を隠されるところから。そして、服を汚され、蹴られ、ロッカーに閉じ込められる。金銭を要求され、「盗ってこい」と命じられ、サンドバック代わりにされ、ヤキ(死語)を入れられ───悪意のはけ口として人外として扱われるのは、思い出すのも嫌なものだ。

 声が震えていたのだろう、子どもはしんとしている。「寝たの?」と聞くと、間髪いれず「それで?」と返してくる。過去はわたしに毒なので、「自殺の練習」につなげる。

「名探偵コナン」って、ちょっと死にすぎるけど、いいところもあるよ。あれ、必ず"犯人"がいるでしょ、そして必ず"犯人"がつきとめられる。いじめは、それで死ぬ人が出ても、"犯人はいませんでした"というのがあるんだ。

と、マットにぐるぐる巻きにされて窒息死した少年の話をする。子どもたちは「信じられない」を連発する。親のクレジットカードを盗ってこさせられ、勝手に使われ、親には問い詰められ板挟みになった子の話をする。

「いじめは、あってはならない」を間違えないで。「普通、いじめは無い」という意味じゃないよ。いじめは、普通にある。誰かと衝突したり、「嫌だ」と思うことは自然なことだ。教室だけじゃなく、大人の世界にだってある。だから、我慢しなくていい、「嫌」から逃げればいい(ただし勉強はちゃんとやれ)。学校は、命かけてまで行くところじゃないからね。

 気づいたら、二人ともスースー寝息を立てていた。どこまで聞いていたか分からないが、まぁいいか。


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疲れた大人に、よく刺さる「心にトゲ刺す200の花束」

心にトゲ刺す200の花束 いくつになってもペシミスト。若い頃はカッコつけのためだったが、年とるほど、現実みるほど、悲観主義がちょうどいい。失望せぬため期待しない。ポジティブシンキング糞食らえ、ありゃ、たま~に食べたい辛口カレー。自分マインドコントロールが「必要」なときに食えばいい。

楽観主義者とは、人生経験の浅いもののことだ。
ドン・マークウィス

 そういう痛いオッサンに、グッサリ刺さるスーパードライな箴言集。もちろん、ビアスや筒井やマーフィーの、辛辣辞典は読んできた。だがこの一冊は、一番薄いにもかかわらず―――いや薄いからこそ―――触られたくない奥底にまでもぐりこむ。そして、ちょっと遅れて、背を焼くようなヒリヒリとした笑いが襲ってくる、自己嘲笑の発作に身悶えする。これ嘲笑(わら)える人は自分の人生もひっくるめて笑い飛ばせる。

どうして自分で自分を苦しめたりするの?
どうせ人生が苦しめてくれるのに。
ローラ・ウォーカー

 別ver.を思い出す。アインシュタインの有名なやつで、ポジティブ教徒が好きなこれ→「どうして自分を責めるんですか? 他人がちゃんと必要な時に責めてくれるんだから、 いいじゃないですか」。もともと人生は苦なんだから、「苦」そのものを受けれとめろ。「苦」をあれこれ心配することも苦だから―――という考え。ブッダの「二の矢を受けず」を庶民がアレンジするとこうなる。

取り越し苦労なんてしなさんな。
もうすぐ本物の苦労が
あんたのところへやってくるから。
ベッツィ・ラパポート

 本書のいいとこは、箴言が別の箴言を呼ぶところ。磁石が自然に引き合うように、似た寸鉄が並べられ、わたしの記憶も抉り出す。聖ベルナールのこれなんて、典型かも→「生まれるのは苦痛/生きるのは困難/死ぬのは面倒である」。だが、開高健が「オーパ」でアレンジしたこっちが好きだ。どっちがオリジナルかはおいといて、読み人知らずの改変がまた楽しい。

生まれるのは、偶然
生きるのは、苦痛
死ぬのは、厄介

 警句のヒットといえば「マーフィー」だが、もちろんある。これだ。

うまくいかない可能性のあることは、きっとうまくいかない
マーフィーの法則(元はジョージ・ニコルソン)

 しかし、これは次の警句を引き寄せている。並べると、本書がどれだけペシミスティックか、よく分かるだろう。

マーフィーは楽観主義者だ。
作者多数

 ありがちな寸言が、より深いところに刺さる寸鉄を呼ぶ。このオスカー・ワイルドも沢山の箴言を吐いたが、この二つを並列させるところに、本書のセンスというかスキルというか、「あきらめ」じみたものを感じる。

大衆はすばらしく寛容だ。
彼らは天才以外のあらゆるものを許す。
オスカー・ワイルド
天才とバカの違いは、
天才には限界があるという点である。
作者不詳

 「男と女」についての箴言も数多いが、女の肩をもつほうが目立つのは、編者が女性だからだろうか。勘ぐりたくなるが、ロシュフコーの女への風当たりへのカウンターなのかも。

多くの男に会えば会うほど、
わたしは、犬が好きになる。
マダム・ド・スタール
女が本当に男を変えられるのは、
男が赤ん坊のときだけよ。
ナタリー・ウッド
男はトイレみたいなもの―――
使用中かキタナイかのどっちかだ。
作者多数

 「結婚」をテーマにしたのが沢山あるのもむべなるかな。皆さん、一言伝えたい苦労なり惨事なりを背負いこんだことがあったからだろうなーと考えると可笑しい。そのセリフにたどり着くために流された涙、飛び交った言葉を想像するとぞっとしないが。

恋愛は理想であり、結婚は現実だ。
このふたつを混同すると、
かならず、痛い目に、遭う。
ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ
貧しい人は金持ちになりたいと重い、
金持ちは幸せになりたいと思う。
独身者は結婚したいと思い、
結婚した者は死にたいと思う。
詠み人知らず
結婚してもしなくても、あなたはかならず後悔する
ポール・ブラウン

 これに、tumblrで拾ったお気に入りを加えよう。

尊敬される夫は、早死にした夫。
via:tumblr

 これだけ悲観のオンパレードを見てくると、こっちもゲンナリする。サラリーマン川柳の目線で、綾小路きみまろの毒を混ぜて尖らせたものばかりだから。慰めてんだか気の毒がられてんだか分からなくなるね。

ひょっとしたら、人生は全ての人に向いているわけじゃないのかもしれない。
ラリー・ブラウン
わたしたちは生き方を学ぶ前に死んでしまう。
スティーヴン・ウィンステン
元気をだして。
最悪の事態はまだこれからやってくるんだから。
フィランダー・ジョンソン

 よい寸鉄で、よい人生を。


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他人と比較するバカ親にならないために

比べるのは、「昨日のわが子」。これを忘れないために。

「Appleになれない日本のメーカーはダメ」とか、「北欧並の社会保障がない日本はクソ」といった主張を耳にするたび、苦笑しながら自戒する。同じ愚を犯していないだろうかと自問する。近所で/クラスで/学年で、一番デキる子と比べ、「○○ちゃんを見習って…」と子どもを責める馬鹿親にならないために。

  転職の自由はアメリカと比較され、
  仕事を休む自由はドイツと比較される。

  社会保障の充実はスウェーデンと比較され、
  バカンスの充実(と長さ)はフランスと比較される。

  国内総生産は中国と比較され、
  国民総幸福はブータンと比較される。

  イイとこと見たらアラも目立つ。
  にもかかわらず、己が主張をオっ立てて、
  「○○と比べて日本はダメだ」を連呼する。

日本のスーパーのトマトは、「桃太郎」と「プチトマト」しかないという。イタリアは何十種類もトマトがある。だから日本の食は貧しいと嘆く話がある。もう分かるね、どこが可笑しいか。

  「○○ちゃんを見習って算数を勉強なさい!」
  「スイミングスクールは△△ちゃんを目標に!」
  「□□さんボランティアで表彰されたんだって!」

なんてワメくバカ親といっしょ。他人と比較して、子どものダメ出しを正当化する。否定により優位に立とうとする。この態度、詭弁術としては正しいが、見習って欲しくない。子どもは、親の言うことなんて聞かないが、親の真似は恐ろしいほど上手い。うっかりすると、真似される。

というか、その会社の社員の扱いのクソ具合を知ってるか? その国の強盗の発生率を知ってるか? 日本を叩くためにiPhoneと北欧の社会保障「だけ」持ち出す人は、そんな馬鹿親に育てられたんだと考えることにしようそうしよう。

いっぽうホッとしてもいる。そんな馬鹿親に育てられたにもかかわらず、「○○と比べてダメな自分」に気づいてないから。もし気づいてしまったら、恥ずかしさのあまり自壊しかねないから。

大事なことなので、もう一度。比べるのは、「昨日のわが子」。

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