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この音楽の本がスゴい!

 結論→音楽は沼、底なし。

 沼の周りで遊んだり、ちょっと片足いれたりはできる。だが、ひとたび足を踏み入れたなら、抜けられない所がある。入口は広くて楽しいが、奥は狂気じみた世界がある。

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 好きな本を持ってきて、まったり熱くオススメあう―――趣旨なのだが、今回のテーマ「音楽」は、最も生々しいオフ会となった。というのも、みなさんの実人生に寄り添ってきた本やCD、DVDが出てきたから。生活の全てが音楽だというつもりはないが、人生の一部は音楽と一体化していることが(わたしに限らず)実感できた。音楽の「つながり」って、本よりも強い。

 そしてテーマが音楽なだけに、大量のCD/DVDが集まってくる。ここでもいくつか紹介しているが、ほんの一部だということをお断りしておく。そして、持ってきた音源を再生し、そのBGMにちなんだプレゼンが新鮮だった。PIZZICATO FIVE や Marvin Gaye そして LED ZEPPELIN は、もう一度聴きなおしてみようかと思うほど懐かしくて新しい。

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 人により、音楽への接し方や距離感が違うのが面白い。持ってくる本も、音楽をテーマにした物語や、科学的なアプローチ、自分が演ってる楽器とシンクロした自伝やノンフィクションなど様々。ハマりすぎて本職になると、それはそれでスゴい道になる。いわゆる「聴く専」の人よりも、突き放した冷静さとのめりこむ情熱との、両方を兼ね備えているようだ。

 「音楽が、この世に在ってよかった」という日が語られる、3月11日だ。研究室で閉じ込められて、気分が滅入って仕方がない夜、ラボ仲間でPCにある音楽を流しているとき、「ああ、音楽がこの世の中にあってよかったな」と実感したという(最も心に響いたのは、大橋トリオ)。

 その流れで指揮者・ダニエル・ハーディングの話になる。あの夜、マーラーの交響曲第5番を演奏した話だ。すみだトリフォニーホールには30人ほどの聴衆しか集まらなかったのに、それでも演奏会を開いたそうだ。「あそこで聴けて生きていられる。生きていられるから聴ける」というメッセージは、マーラーの第5番を聴くと思い出しそう。

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 歌詞はどのように生まれてくるのか、プロの作曲家はクライアントのリクエストに応えて音を organize するんだといった、商業音楽にまつわるネタ話が面白い。朗読とアカペラの親和性が見える「昨日殺した一万匹のライオン」や、音のゲシュタルト崩壊を"聞かせて"くれる「音のイリュージョン」といった、未知の側面も興味深い。ツイートも忘れて聴き耽る。

 南青山にすげぇ場所があるらしい[ARISTOCRAT]。ン千万のスピーカーがあって、音源持ち込んで視聴できるそうな。音楽が丸見え(丸聞こえ)になる。つまり、オーケストラ録りだとホールの空間が、スタジオだとその「狭さ」が分かってしまうらしい。スゴ音オフをそこでしたら面白いだろうなぁ。

 ラインナップは次の通り。


    ■CD/DVD(ほんの一部)

  • Let's Get It on/Marvin Gaye
  • CHARLIE HADEN&PAT METHENY
  • LED ZEPPELIN DVD
  • Waltz For Debby/Bill Evans
  • YOU MAKE ME REAL/BRANDT BRAUER FRICK
  • 「ちょびっツ」のオリジナルサウンドトラック
  • 橋本一子
  • KingCrimson
  • YES
  • THE INTERNATIONAL PLAYBOY&PLAYGIRL RECORD/PIZZICATO FIVE
  • Cocco
  • ビリー・テイラー、ウィリー・ザ・ライオン・スミス
  • 「押し倒したい」角松敏生
  • 「ピーターとおおかみ」小澤征爾


    ■科学的アプローチ
  • 「音楽の科学」フィリップ・ボール(河出書房新社)
  • 「響きの科楽」ジョン・パウエル(早川書房)
  • 「絶対音感」最相葉月(小学館)
  • 「音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―――脳神経科医と音楽に憑かれた人々」オリヴァー・サックス(早川書房)
  • 「音のイリュージョン―――知覚を生み出す脳の戦略」柏野牧夫(岩波書店)
  • 「ピアニストの脳を科学する」古屋晋一(春秋社)
  • 「憂鬱と官能を教えた学校―――バークリー・メソッドによって俯瞰される20世紀商業音楽史 調律、調性および旋律・和声」菊地成孔(河出文庫)
  • 「歌謡曲の構造」小泉文夫(平凡社ライブラリー)
  • 「音楽の基礎」芥川也寸志(岩波新書)
  • 「楽譜の風景」岩城宏之(岩波新書)
  • 「センダックの絵本論」モーリス・センダック(岩波書店)


    ■音楽を物語る
  • 「虚空遍歴」山本周五郎(新潮文庫)
  • 「音楽」三島由紀夫(新潮文庫)
  • 「海の上のピアニスト」アレッサンドロ・バリッコ(白水社)
  • 「素数の音楽」マーカス・デュ・ソートイ(新潮クレスト・ブックス)
  • 「ソングライン」ブルース・チャトウィン(英治出版)
  • 「宇宙船とカヌー」ケネス・ブラウワー(ちくま文庫)
  • 「サタワル島へ、星の歌」ケネス・ブラウワー(めるくまーる)
  • 「ピアノを弾く身体」岡田暁生(春秋社)
  • 「聴き飽きない人々」(菊地成孔)
  • 「アメリカン・コミュニティ」渡辺靖(新潮社)
  • 「歌うねずみウルフ」ディック・キング=スミス(偕成社)
  • 「ラギとライオン」(「子ども世界の民話」所収)
  • 「ピアノノート」チャールズ・ローゼン(みすず書房)
  • 「Get back, SUB !」北沢夏音(本の雑誌)


    ■インタビュー、対談、そして伝説へ
  • 「ジャズ1930年代」レックス・スチュワート(草思社)
  • 「楕円とガイコツ―――『小室哲哉の自意識』×『坂本龍一の無意識』」山下邦彦(太田出版)
  • 「ショスタコーヴィチの証言」ソロモン・ヴォルコフ(中公文庫)
  • 「上原ひろみサマーレインの彼方」神舘和典(幻冬舎文庫)
  • 「音楽」小澤征爾、武満徹(新潮社)
  • 「バンド臨終図鑑」速水健朗(河出書房新社)
  • 「音楽とことば あの人はどうやって歌詞をかいているのか」青木優(ブルース・インターアクションズ)
  • ジャック・イーベールのフランスの作曲家の便覧(原書)
  • 「BANJOS 津村コレクション」津村昭(講談社)
  • 「ザ・リアル・フランク・ザッパ・ブック」フランク・ザッパ(白夜書房)
  • 「だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?―ジャズ・エピソード傑作選」ブリュノ・コストゥマル(うから)
  • 「ミンガリング・マイクの妄想レコードの世界」ドリ・ハダー(ブルース・インターアクションズ)
  • 「ブルース飲むバカ歌うバカ」吾妻光良(ブルースインターアクションズ)


    ■雑誌やコミック
  • 「クーリエ・ジャポン8月号クラシック特集」
  • 「ストレンジ・デイズ」/キング・クリムゾン特集
  • 「TARITARI」鍵空とみやき(ガンガンコミックスJOKER)
  • 「のだめカンタービレ」二ノ宮知子(講談社)
  • 「ベイビーステップ」勝木光(講談社)

 わたしは、「音楽の科学」「響きの科楽」をオススメしながら、「音楽を聴くとなぜ気持ちが良いのか」、「音楽に普遍性はあるのか」について語ったぞ。

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 次回予定は3つ、ご興味ある方は以下からどうぞ。

9/15松丸本舗へ狩りに行け

10/14「オペラの館がお待ちかね」はぶっちゃけオペラってどうよ?なひとにピッタリな入門書

10/28は「早川書房✕東京創元社」の2社シバリのスゴ本オフ


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コメント

誤:RED ZEPPELIN
正:Led Zeppelin

投稿: | 2012.09.02 13:21

LED ZEPPELIN

投稿: | 2012.09.02 13:45

RED→LEDの指摘、ありがとうございます!
直しておきました。

投稿: Dain | 2012.09.03 06:22

「Waltz For Debby」です。
それと文脈上「Bill Evans」と区切って表記したほうが良いかと。

投稿: | 2012.11.02 16:16

>>名無しさん@2012.11.02 16:16

ご指摘ありがとうございます、直しておきました。

投稿: Dain | 2012.11.03 22:20

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