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なぜ糞システムができあがるか

 納期が、予算が、バグフィックスが、性能、デザイン、インタフェース、使い勝手、保守が、可用性が、移行にマイグレーション、稼働率が、糞だ。そもそも要求を満たしとらんまともに動かない糞システムが、なぜ莫大な銭金かけてできあがってしまうのは、なぜか?

 アナリスト、コンサル、PM、SE、プログラマ、テスタ、ヘルプデスク、メンテ、ユーザー、そして経営者と、それぞれの立場から言いたいことは山ほどある。それぞれの立場から「これぞ真の原因!」と叫びたいのも分かる。経営者を除き、全てのキャリアをやってきたから。だから、自信をもって断言する。糞システムができあがる、最も根っこの原因はこれだ。

  一つ前の仕事をしている

 それぞれの立場で「やるべきこと」は分かっている。だからこそ、そのインプットが体を成していないことが明白なのだ。仕方がないので、自分で「インプット」相当を作るハメになる。

 例えばプログラマ、プログラミング以外のタスクが多すぎ。正常系(の一部)だけの業務フローを渡されて、「他の場合は?」とか「エラーの場合どう返す?」といったプログラミングするために必要な情報をかき集めたりすり合わせたりするのに時間やエネルギーを使い果たしていないか?プログラマは叫ぶ、「SEは何やってんだ!」ってね。

 じゃSEは? そりゃ、要求を仕様に煮詰めたり設計に落とし込みたいさ。でもね、そもそもシステムを作るための予算を確保するための戦略会議の資料をせっせと(ロハで!)作らされたり、どこぞの常務の脳の代わりに知恵を絞ってFIT/GAPやマーケティング分析に精を絞り尽くしてはいないだろうか? SEは叫ぶ、「発注元は何やってんの?」ってね。

 こんなカンジで、なぜかコーディングをするテスタ、なぜかテストをする運用、「やるべきこと」を果たすための一つ前の仕事にかかずらわっているうちに、「やるべきこと」をやる時間とパワーは無くなっていく。サプライチェーンがちゃんとしてても、いっこズレているんだよ、中身が。では、どうして一つ前の仕事をしているか?根っこは、これだ。

  何を作るか分かっていない

 これに尽きる。ゴールのために解決すべき課題や構築するべきシステムが、そもそも分かっていないのが原因だ。この「作る」はコードや成果物に限らない。「整理された業務フロー」や「人力化した業務」も含まれる。(その会社/部門/チームにとって)本来業務を効果的にまわすための仕掛けが"システム"なのだ。

 マネジメントや殿上人の発想はこうだ。売上が下がったから、目標を「売上○パーセントアップ」にする。「売上」を「利益」「即応率」「歩留まり」「ロスト率」「応答時間」「生産性」などに置き換えて、適宜文章を直すだけ。ちがうだろ! 実績のために目標を決めるのがテメェだろ! 目標とは、銭やパーセントで示さない。銭やパーセントを達成するための策や課題やベクトルが、「目標」だろうに。売上を上げるのか、コストを削るのか、新しいバクチを始めるのか、ヨソに委託するのか云々。それも、どうウェイトを配分するのかでぜんぜん違ってくる。

 その「目標」すなわち「何を作るのか」を検討すらしないまま、放り投げる。サプライチェーンのそれぞれは、成すべき内容は把握しているが、「何を」なすべきかが渡されない。仕方がないので、自分のポジションに合うように、投げられたものを加工し始める。受注元は殿上人のアテンドを、SEは経営戦略を、プログラマは仕様を、テスタはコードを担当する。そりゃ糞になるわさ。

 では、どうするか。わたしが見つけた答えは一つ、BABOK。一言でいうなら、組織の目的達成のためのタスクとテクニックの集まり。つきつめると、組織の目標を定義づけるための方法論だ。個人が頑張ってチーム/部門/会社の目標をまとめるのは、もう無理。だからこうした外出しの知識体系に頼り、これを共有することで、目標を決める仕事を一般化させたい。

 コンサルティングはポートフォリオ寄りだが、ビジネスアナリシスは"システム"に近い。To-Beをバラしてマイルストーンにして「システム化へのロードマップ」などと恥ずかしげもなく言い切る机上コンサルティングとは異なり、もっと現場で"システム"を考える。そういう道具とやるべき仕事が詰まっている。そう、マネジメントが一番避けてきた、「目標を定義するための仕事」を果たすのだ。

 これによって、FIT/GAPを"システム"化する際、人力からIT化からアウトソースから「何もしない」までを視野に入れて定量化できる(理想は)。また、効果を測定するトレーサビリティだけでなく、糞仕様が会社に与えるダメージまで追いかけることができる(理想は)。そもそも「仕様の品質向上」を至上とする(理想では、ね)。10年前、「なぜデスマーチプロジェクトになるのか」を追いかけてたどり着いたPMBOK、今度はBABOKを極める。

Babok

この記事はフィクションであり、筆者の所属する会社、組織、団体等とは一切関係がありません。ただし、「BABOKを極める」はホントですぞ。

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コメント

BABOKの次は?

投稿: | 2011.07.08 10:08

本来は人間の道具にしか過ぎない「システム」を過剰に崇めるから、そのギャップが「糞」に感じるのではないでしょうか?

理論的にどんなに素晴らしい「システム」でも、運用する人間のマインドやモチベーションでその効果・効用に雲泥の差が生まれます。

完璧な「システム」より、運用者のマインドを刺激するような「素敵な運用哲学」にこそ効果・効用の可能性があるように思います。

投稿: 松原 | 2011.07.08 10:22

そういえば昔、こんなネタが流行りましたね・・・
http://2chart.fc2web.com/itkakumei/

投稿: ヒマなヤロ | 2011.07.09 19:09

>> 名無しさん@2011.07.08 10:08

BABOKそのものがビジネスの定義に到達しています。その次(というかその先)は無いかと。

>>松原さん

「完璧なシステム」はありえません。
糞まみれのシステムから、せめて人が触れるぐらいに糞を取り除くのが、わたしの仕事です。そのために顧客のケツだろうが便器だろうが、舐めとりますよ喜んで。

>>ヒマなヤロさん

うわー、懐かしい。新しく携わる人のために、定期的にアゲたほうがいいですね。

投稿: Dain | 2011.07.10 14:24

お客さんにいくら媚びを売っても、運用マインドはちっとも刺激されないのでは…汗

やっぱり、「素敵な運用『哲学』」ですよ!笑

投稿: 松原 | 2011.07.10 19:17

>>松原さん

媚を売ってるつもりはないのですが…
「素敵な運用『哲学』」がどんなものかよく分からないのですが、適用できるぐらい糞を取り除いておく必要はあるかと。

投稿: Dain | 2011.07.11 06:36

すみません。実際を知らないのに、媚びを売るというのは失礼でした。

「素敵な運用『哲学』」に関しては、僕も具体的にはわかっちゃいないのですが、まずはその商品やサービスが目指すところのパラダイスが明確であり、それ故、そのパラダイスを実現するための障壁が的確に把握されていることが大切なように思います。

それさえ出来ていれば、後は、システムを含めて、どんな道具でハードルをクリアするのか?というシンプルな問題に収束しますから。

この一連の体系的な価値観みたいなものが、素敵か否か?が勝負どころのように思います。

投稿: 松原 | 2011.07.11 10:39

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