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美しさは数学で説明できる?「デザインのための数学」

 デザイナーのための数学入門。

デザインのための数学 あつかう数学ネタは、なじみの深いものばかり。だが、「デザインと数学」という観点に照らすと、両者の緊密な関係が見えてくる。デザインって「感性」が幅を利かすものだと思い込んでいたが、数学的な裏が取れている「美しい」「カワイイ」「かっこいい」がある。なお、本書は、東京工芸大学芸術学部において行ってきた授業をもとに作られており、CGやペーパークラフト、スピログラフを使う実践的なもの。

 冒頭いきなり質問―――「最も美しいデザイン」とは、どんなデザインなのか?でも大丈夫、著者は即答してくれる。最も美しいデザインは、自然の中に潜んでいるという。そして、自然の中に見出すことができるデザイン―――シンメトリー、らせん構造、自己複製から、フィナボッチ数、黄金比、白銀比、フラクタル、カオスといった「美の中に潜む数学」を展開してゆく。同時に、「なぜそれが美しいのか?」について持論をつまびらかにする。図版や画像がふんだんに使用されているので、文字どおり、"見える"数学となっている。

 デザインに縁のないわたしにも勉強になったのは、写真の構図と黄金比ネタ。被写体の配置が黄金比(近似値1:1.618)になるとキレイな写真になる。だが、きちんと黄金比に分けるのは大変だ。本書では、三分割法といってフレームを三分割したラインを想定しろという。そして、 2:1 に分割したものよりも少しだけ真ん中に被写体をずらすと、黄金比のバランスになる。

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 上記の <> の列が 2:1 の場所になるから、撮りたい対象を <> の左側に来るようにもってくればよい写真になるそうな。今度やってみる。

 黄金比ならぬ白銀比(1:√2)も出てくる。数学的な話はさらりと流し、著者は「日本人は、黄金比よりも白銀比や正方形が好き」と主張するする。A版、B版をはじめ、人気キャラクターは白銀比キャラが多いというのだ。好感度ランキング表(2010年、ボイス情報株式会社)から、白銀比と正方形キャラを指摘する。

  1 となりのトトロ (白銀比)
  2 ドラえもん (白銀比)
  3 ミッキーマウス (白銀比)
  4 くまのプーさん
  5 スーパーマリオシリーズ
  6 スヌーピー (白銀比)
  7 ちびまる子ちゃん (白銀比)
  8 ポケットモンスターシリーズ (正方形)
  9 サザエさん
  10 ルパン三世

 つまり、人気キャラのタテヨコの比率を考えると、白銀比のものが多い⇒白銀比のものを好む?と仮説を立てるのだ。その勢いで、マンガのご先祖様ともいえる鳥獣戯画に白銀比と正方形を指摘する。同様に、風神雷神図や阿弥陀如来像、阿修羅像にも白銀比を見つけてくる。

 しかし、やすやすと同意はできない。ううむ、人は見たいものを見るものだから、白銀比を探そうとしているんじゃないの?とツッコミ入れたくなる。ただ、デザインを考える際、数学的な背景をもつ値が隠れていることを知っているといないとでは、違いが出てくるのかも。

 数学の、デザインへの応用。ウェイトは「デザイン > 数学」なので数学好きにはもの足りないかも。

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