« 2010年8月22日 - 2010年8月28日 | トップページ | 2010年9月5日 - 2010年9月11日 »

ゲームで子育て「オブリビオン」

オブリビオン 「ゲームばかりしているとバカになる」と言われて育って親になった。

 「ゲーム脳の恐怖」をマに受けてDS狩をするような親がいるいっぽう、子どもといっしょに「イナズマイレブン」に興じる親もいる。てか豪炎寺最強なんだけど。それでも個人技だけではジリ貧で、戦術も要求するかなり高度なゲームなり。

 親としてはイナズマもいいけれど、もっと良い(=わたしの価値観で素晴らしいと評価する)ゲームをやってほしい、と思っている。これは親のエゴ丸出しなんだが、その上で選べばよいかと。良いものを知らずにいると、(わたしの価値観に照らして)もったいない、という感覚。たとえば「ワンダと巨像」、たとえば「Ever17」、たとえば「Rez」……

 そして、たとば「オブリビオン」。これはXBOX360購入したとき、「鉄板の2本」と友人に紹介されたもの(ちなみにもう一本は、「バーンアウト・パラダイス」[レビュー])。メインシナリオ(ドラゴンファイア)とサブクエストを何十本かクリアして一言、これは「最後のRPG」だ。ロープレはつまらないとか飽きたと信じてたわたしには、これをやらずしてそんな口を叩くなかれ、と痛感せしめたもの。すげぇ、世界を丸ごと与えられ、何でもできるし、何をしてもいい。自分で「役」と「目的」を見つけ、そこに自分が入り込む。もちろんクエストを粛々と遂行してもいいし、横道にそれて、無関係のダンジョンを道草気分で探索してもいい。物語はやってくるものではなく、追い求めるものなのだ。昔のゲーマーなら、「ルナティックドーン」をリアルにしたもの、といえば通じるかな。

 そう、何でも「できる」んだ。王を助ける獅子奮迅の働きをしてもいいし、小善を言い訳に盗賊狩りに勤しんでもいい。ひたすら錬金術を極めてもいいし、そうした技術で悪の道を突き進むこともできる。そう、ピッキングで開錠して盗み出し、追手をブチ殺し、あまつさえ追剥ぎまがいのことも「できる」。ただし、指名手配され明るい表を歩けなくなるけど。

 いわゆる、フツーの世界では禁止されていること―――「悪いこと」ができる。スリは見つからないように、細心の注意を払う。殺人は―――する人生としない人生を選ぶ決意で、実行する。いったん見つかると、ヒドい目に遭う。罪は贖わないかぎり、ずっと付いてまわる。スリルを味わうなら別だが、ビクビクしながらすごすよりは、最初から「悪いこと」をしなければいい。

 この「悪いこと」ができる場合、アイコンが赤く警告する。傍らで見ている子どもらは、「やっちゃダメだよパパ、ドロボーしたら!」と騒ぐのだが、わたしは「どうして?バレなきゃ盗ってもいいんじゃない」と挑発する。そこで子どもは考える→「盗んでもバレなければいいのか?」。

 そして子どもは気づく。悪いことをすると、その場で逮捕されなくても、必ず誰かが見ている(だから、「悪名」パラメーターがカウントされる)。なによりも、自分(=プレイヤーやギャラリー)が見ている!「悪いこと」を始めたら、ずっと「悪いこと」をし続けなければならない。ずっと逃げ回らなければならない―――そんなのイヤだ、と子どもは叫ぶ。

 そうなんだ、悪いことをするには、「悪いことをするんだ」という強い意志と、ずっとバレないようにし続ける狡さ賢さが要る。これはリアルでもゲームでも一緒で、罪を贖わないという人生を選んだのなら、一生犯りつづけるのだ(オブリビオンではリセットする方法はあるらしいが…)。盗みや殺人は極端なので、「ウソ」を例にして説明する。

―――ひとつのウソなら簡単だけど、バレないようにウソを続けるのは難しい。なぜなら、前のウソと今のウソのつじつまが合うように考えて、騙しつづけなければいけないから。いったんウソがばれたら、きみの言うことのどれがホントか信じられなくなってしまう。ビクビクしながらウソを続けるよりは、正直でいるほうがずっとラク―――

 どこまで伝わったか微妙だが、子どもにとって、首なしゾンビよりもスケルトンよりも、「できる≠許される」が平然と提示されるインパクトの方が大きかったようだ。そりゃそうだ、「イナズマイレブン」のように、そこらの「宝箱」を開けてアイテムをゲット「できる」からといって、「許される」とは限らないのだから。

 世界を救う英雄でも、ドロボーになったら追われる。ゲームがリアルを映しているというよりも、ゲームの中に(ゲームとしての)秩序が存在するんだ。そういう生々しい世界、それがOBLIVION。

| | コメント (8) | トラックバック (1)

スゴ本オフ@BEAMS顛末(POP is Dead?)

 第4回スゴ本オフの話。

 8/27に原宿でオフ会をする。会場を貸していただいた TOKYO CULTUART さん、ありがとうございます。やすゆきさん、大木さん、ずばぴたさん、ともこさん、そしてご参加いただいた皆さま、感謝・感謝です。「オススメ本を持ち寄って、まったりアツく語り合う」コンセプトで、今回のお題は「POP(ぽっぷ)」。まずは集まった作品を見てくれ。

Sugopop1_2

Sugopop2

Sugopop3

Sugopop4

Sugopop5

Sugopop6

 そして参加された方の発想の柔軟なこと王道なこと極道なこと、わたしの想像力のナナメ上どころか、別次元の本がガンガンでてきて興奮した!知らないことを知ることは、こんなにドキドキするなんて。知ってることを「知りなおす」ことがこんなにクラクラするなんて。「QuickJapan」とか「STUDIO VOICE」とか、懐かしさと甘酸っぱさがこみあげてくる。ドリキャスとかNoel(ノエル)とか普通に特集されててマジ泣ける(そういや、NoelはTwitterそのものだな)。Perfume「ポリリズム」の初版が飛び出したり(ヤフオクで結構なお値段だそうな)、澁澤龍彦責任編集の「血と薔薇」が堂堂とプレゼンされたり、はたまた料理のライフハック本「こつの科学」が並んでいたりする。さまざまな「POP」を見たり聞いたり読んだりしているうちに、POPの解釈は自由だな~とあらためて思う。

 欲しい!と思ったのは、「無惨絵」。幕末に刊行された血みどろ浮世絵「英名二十八衆句」に競作する形で昭和の絵師、花輪和一・丸尾末広が復活させたもの。丸尾末広がフルパワーで描いているのに気合負けているかもしれない江戸の無残絵ばかりといえば(分かる人には)分かるだろうか。これ、U-Streamでどう流れてどんな反響(絶叫?)があったか気になる……

  1. 【ともこ】 Perfume「ポリリズム」シングル
  2. 【ともこ】 HMVフリーペーパー2008春号(表紙がPerfume、裏表紙が綾波)
  3. 【ともこ】 ジャップJap Magazine spring 1994 特集・小泉今日子の死
  4. 【ともこ】 STUDIO VOICE ラブラブ・エレクトロン 1999 1月 277号
  5. 【ともこ】 ポップカルチャー A to Z
  6. 【ずばぴた】 青ひげ(カート・ヴォネガット)
  7. 【wms】 QuickJapan vol68 特集・ほしのあきロングインタビュー
  8. 【ショウノ】 フォルメンを描く(ルドルフ・クッツリ)
  9. 【ショウノ】 MASSAGE(TOKYO CULTUART)
  10. 【さこ】 さるのこしかけ(さくらももこ)
  11. 【さこ】 間奏曲(赤川次郎)
  12. 【さこ】 チェンバロコンチェルト(バッハ)
  13. 【やまざき】 The Best of Norman Rockwell
  14. 【やまざき】 もっと知りたいゴッホ 生涯と作品(國府寺司)
  15. 【ツクダ】 4010 Night Time(TOKYO CULTUART)
  16. 【ツクダ】 フォトグラフール(町田康)
  17. 【ツクダ】 リュートの弦(ジム・ウードリング)
  18. 【おがわ】 DIARY OF A little Avocode(TADA REIKO)
  19. 【おがわ】 八百八百日記(戌井昭人と多田れいこ)
  20. 【おがわ】 relax 2001 01 vol 47 特集・ビースティ・ボーイズ
  21. 【おがわ】 こんぴら狗物語 走れゴン(絵・湯村輝彦 文・多田とし)
  22. 【まなめ】 雷撃SSガール(至道流星)
  23. 【まなめ】 「こつ」の科学(杉田浩一)料理のライフハック本
  24. 【ケースケ】 ワンダー3(手塚治虫)
  25. 【ケースケ】 毎日が夏休み(大島弓子)
  26. 【ケースケ】 ふたりのロッテ(エーリヒ・ケストナー)
  27. 【アオノ】 血と薔薇 復刻版(澁澤龍彦責任編集)
  28. 【アオノ】 あかずきんちゃん(絵・湯村タラ 文・武井直紀)
  29. 【アオノ】 江戸昭和競作 無惨絵(花輪和一 月岡芳年 丸尾末広 落合芳幾)
  30. 【フカサワ】 毒蛙の復讐(篠原有司男)
  31. 【フカサワ】 前衛の道(篠原有司男)
  32. 【フカサワ】 ザ・タナアミ・タイムズ
  33. 【フルヤ】 トランスフォーマー飛び出す絵本(ポップアップだ!)
  34. 【フルヤ】 DESTORY ALL MONSTERS "GEISHA THIS"
  35. 【フルヤ】 ビジュアル全集 人造人間キカイダー
  36. 【さいとう】 レキシントンの幽霊(村上春樹)
  37. 【さいとう】 ゲーム帝国(ファミ通の連載まとめ)
  38. 【さいとう】 銀河ヒッチハイクガイド(ダグラス・アダムス)
  39. 【いのうえ】 女たちよ!(伊丹十三)
  40. 【やすゆき】 僕らの事情(デイヴィッド・ヒル)
  41. 【やすゆき】 How dare you!(10cc)
  42. 【やすゆき】 少女神 第9号(フランチェスカ・リア・ブロック )
  43. 【Dain】 「カフカ」西岡兄妹
  44. 【Dain】 ご近所物語 完全版(矢沢あい)

 自由な「POP」が飛び交う中、ガツンと印象深かったのは、(wmsさんだったかな?)の至言「POPとはexploitされるものである。つまり、売れてナンボ、搾取される運命にある」。これを受ける形で、ともこさんの「現代は消費されるPOPから、アート寄りになってしまった。POP is Dead?」は効いたナリ。たしかにそうだ、ここに並んだPOPを「いま」「これから」出そうとするのは、かなり困難かも。それは先駆者がいるからという理由ではなく、「そのPOPのノリに銭金かけるつもりはねぇ」という出版側の事情によるのだろう。

 実はこの「POP」、ムズかった……ポップン、ポピュラー、サブカルチャー、思いつかない。よっぽど「ぽっぷ」の「あかずきん」とか、ジム・トムプソンの「ポップ1280」でも持っていこうかしらんと知恵熱出した……ムリヤリ脳内変換して「POP」を「おしゃれ」とか「軽み」と置き換えて二つほどひねり出す。

ご近所物語 「ご近所物語」(矢沢あい)

 ラブコメ。「NANA ナナ 」が有名だけれど、ダンゼンこれ。日曜アサの脳内が、どれみやプリキュに浸るずっと以前に、ちょっと鼻がかった声のミカコ(cv:宍戸留美)に染まっていたのかも。デスマーチに心をすり潰されてたわたしには、デザイナーという夢へ驀進するヒロインがまぶしかった。

 「POP=おしゃれ」なのは、彼女のファッション。毎回毎回、着ている服が違ってる。「自分がデザインした服を着ているところなんて、ハートキャッチプリキュアのえりか嬢に相似してる。その軽いアツい性格と、古きよきバブリーな時代感覚のズレが、いま読み返しても面白い。ホント言うと、職場の女子と話を合わせるという下心でチェックしはじめたんだけど、いつ頃からだろうか……日曜アサの女子アニメが「大きなおともだち」のものになったのは。

カフカ 「カフカ CLASSICS IN COMICS」(西岡兄妹)

 カフカ短編のコミカライズ。不気味で不思議で不条理な本。わたしのカフカのイメージは、「物理的にも精神的にもがんじがらめ」「せまってくる締め切り」といった重苦しいもの。それを継承しつつ、思い切った大コマを用いた画面の白さが、浮遊感をもたらしている。

 やらねばならぬことが迫っており、その責は自らにあり、なおかつ監視されているという「あせり」や「手遅れ」感こそが、カフカのモチーフだ。かつて「失踪者」をリアルな悪夢を強制的に見させられる毒書と評したが[参照]、本書は全編みなぎっている。ところが、濃密なタッチで精密に描かれた頁から次のページへジャンプするとき、シンプルな大ゴマが待っている。「バケツの騎士」のジャンプは、一瞬めまいを起したかのよう。「POP」という言葉からはほど遠いカフカに、不思議な「軽み」をもたらしている。

 さて、次回のお題は「ミステリ」、秋の夜長にピッタリの極上なやつが集まってくるだろうなぁ……日程と募集は後日。

| | コメント (5) | トラックバック (2)

さよなら、日経

 ようやく、「リーマン日経」の呪縛を解くことができる。

 「社会人になったら、ニッケイ・ヨクヨム」と呪文をかけられ幾年月。半導体は日本の魂とか、(アメリカン・スタンダードという名の)グローバルスタンダードとか、中国ワッショイとか、いろいろ吹き込まれましたな。日経新聞だけでなく、日経ビジネスとか日経コンピュータとか日経コミュニケーションズとか、たくさん貢ぎましたな。

 その結果→職場や会議卓で「話を合わせる」役にはたった。

 ビジネスのヒントや、業界の動向や、はたまた日本経済の先行きは、すでに新聞よりもRSS+クオリティ紙で充分。具体的には、「ニューズウィーク」「クーリエ・ジャポン」「フォーリン・アフェアーズ」になる([経緯])。「出勤途上で新聞に目を通す」という習慣は、とうの昔にやめた。車内を見渡してみて、あらためて気づく、新聞読んでる人は珍しい部類に入る(リクルートスーツ姿の人が読んでいるのは常景だが)。

 「報道」という観点からすると、遅いのだ。何が報道されたか、という羅列なら、ロイターとヤフトピで充分。むしろ、報道された内容の「分析」が欲しい。裏取りと背景、歴史、統計、(他国・過去との)相似性が欲しい。「関係者は語る」という誘導語にぶつかるたび、恣意的なグラフ(≠統計情報)が出るたびに、読むのが嫌になる。

 こうした分析は、社説や巻頭特集が相当するだろうが、春秋と大機小機と激しくバラバラで笑える。巻頭で円高を問題視しているのに、大機小機で「チャンス」と煽る。一貫性のなさは多様性と言い換えられるが、読者のアタマに何を吹き込みたいのだろう。

 裏取りしてる? 心配になるのは、内部事情を知る業界が報道されるとき。まさにその「裏」に自分がいるからこそ、いかに裏取りしていないかがよく見える。いわんや他業界をや。昔の一般読者は裏取りできず、鵜呑みにしていただけでは? と思えてくる。書き立てられた「中の人」だけがクオリティの低さを嘆いていただけで、その愚痴が一般読者まで伝わっていなかっただけじゃないのか。ネットが普及し、裏取りや追跡ができるようになったため、記事のクォリティの「見える化」が進んでしまったのだ。

 テレビのリポーターについて、こんな名言がある→「リポーターは自分が思っていることを言うのではない。視聴者に思わせたいことを言うのだ」これを受けて、記者が(デスクが)誘導したい方向を知るために新聞を開いていたが、それもやめ。より仰々しくワイドショーがしてくれるから(ニュース番組は、「コクミンの意識をどっちに誘導するか」を判断するためにチェック)。新聞は、その「思わせたいこと」を確認するために開いているにすぎない。

 新聞を「とる」というのは習慣。習慣をやめるのは、ちょっとドキドキする。嫁さんに相談すると、「何がどう書いてあるのか、新聞ひらく前から分かっているなら、それは"ニュース"じゃないよ」という。そして、「ウチは、もっとローカルな情報が要る」って。そうだ、最近では地方面をよく見ているよなぁ……どの沿線で開発が進んでいるとか、新しいスポットとか、市がバックアップしている産業とか。なので、ペーパーの新聞は、「東京新聞」にするか。「ニッケイ」が必要なときに駅やコンビニで「買」えばいい。

 「紙」もやめちまおうか、と一度は考えたが、子どもと一緒に見て、赤ペンでチェックしたりスクラップしている。子どもがPCやガジェットを使いこなすようになったら、もういっぺん考えてみよう。

| | コメント (11) | トラックバック (4)

« 2010年8月22日 - 2010年8月28日 | トップページ | 2010年9月5日 - 2010年9月11日 »