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ゲームで子育て「釣りマスター」

 そもそもの始まりは、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」だった。

 本編も面白かったが、ゲーム内ゲームであるフィッシングに燃えた。Wiiコントローラーをロッドとリールに見立てたシミュレーションだ。ヒットすると振動がビビッとくる感覚はリアルで、家族全員で夢中になってやりこんだのだが、その結果、ここに立つことになろうとは予想だにしなかった。


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 ちょっとした台風並の風が吹き荒れる午前6時。寒い。手はイソメ臭い。季節を先取りしたつもりのTシャツ一枚でガタガタ震えながら餌をつける。(頭を取ることを知らなかったので)噛みつかれる。痛い。思わず振った手に飛ばされたイソメが鼻に当たる。顔がイソメ臭くなる。大ダメージ。「パパぁまだぁ」何十回目かの督促に殺意を覚えつつ、そうか、海はさえぎるものがないからな、と沖を見やる。もうすぐ満潮ナリ。

 道具の買出し、仕掛け・餌の準備。ドライバー、運搬係、セッティングとすべてをこなし、嫁さんと子どもにそれぞれ渡す。キャストしたら忍の一字……というのは昔の太公望で、今はちょいちょい踊らせながら巻くのが常識らしい。で、ダメならポイントを変えてあちこちアタリを探し歩くのが堤防釣りだそうな。とーちゃんが昔やった川釣りとはずいぶん違うなぁ……とはいうものの、イソメの体液ってキジそっくりの臭いだね。

釣りマスター ゼルダから「釣りマスター」へ飛びつくのに時間はかからなかった。例によって嫁さんがはにかみながら「コレ欲しいんだけど……」の上目遣いに撃たれて即購入、家族全員でやりまくる。さすが専用ゲーム、ヒットが分かりやすく、振動が生々しいぞ。ラインのテンションと魚の弱り具合をトレードオフさせており、「魚を釣り上げる」ゲーム性がアクション仕立てになっている。早く巻きすぎるとラインが切れるし、遅すぎるとバレてしまう。その加減の難しさ=魚の難易度になっている。釣り場やターゲットが非常に豊富で、レア、大物、超大物に達成感もひとしお、コンプリート魂に火をつけられる。

 で、ひととりクリアすると、当然のことながらゲームでは満足できなくなる。「ホンモノ」が釣りたいとの嫁子の要望に屈する。しかしだ、ゲームとリアルはずいぶん違うのだよ……餌付けは臭いし、仕掛けはからまるもの。寒いし暑いしなかなか釣れない。そう、待っても変えても粘っても、釣れないときはつれないもの。息子は「おかしい、ゲームだったらすぐ食いつくのに」と言い出す。ククッこのゲーム小僧め、現実は違うのだよ現実は!ボウズの恐怖を思い知るがいいわはは~などと笑っていられない。空気がどんどん険悪になる。娘涙目。これはマズい、おねがい、神サマ、子どもたちに釣らせてやって!

 わたしの願いが通じたのか、嫁さんの執念なのか、ハゼ、メバル、ギンポがそれぞれ全員に釣れた。やれやれだぜ。帰りの道みち、「釣りマスター」はゲームだから釣れるように作ってあるんだよと説明する。でもホントの海はとっても広くて、魚も散らばっている。食いが良い時間は決まっているし(マズメ、潮どき)、アタリの瞬間はゲームみたく「シャキーン!」なんていわない。

 そう、ゲームとは、リアルを抽象化したコピーなんだ。抽象化の過程で、さまざまな要素が切り捨てられる。この寒さも、風も、イソメの生臭さも、隣の人とのオマツリも、ゲームの中には持ち込まれない。ゲーム性を際立たせるため、魚が食いつくまでの時間すら省略されている。「釣りが面白い」とは、そういった、カットされたもろもろの側面をぜんぶひっくるめて、受け入れることなんだ……

 子どもらは神妙に訊いてはいるものの、アタリのコツコツした感覚や、ググッという反応がよっぽど楽しかったらしく。また来ることを約束させられる。その後、「釣りマスター」をしなくなった。まぁ、リアルの感触のほうが楽しいよな。次は釣った魚をさばいて料理するトコまでやってみよう(てんぷらが楽かな)。

パパ、釣りに行こ ちなみにポイントはこれで調べた。ファミリーフィッシングやピクニック気分でいけそうな釣り場を探すのに最適な一冊ナリ。

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