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世界文学ハンティングの絶好の狩場「ワールド文学カップ」

 世界各国からスゴい小説をもちより一同に会する、世界文学杯が開催されている。

 別名はワールド文学カップで、紀伊國屋新宿本店の2階でやってるぞ。53ヶ国、総勢650点の文学作品になるという、すげぇ。週ごとに売り上げランキングをして優秀国を選び出し、さらにフェア全体で優勝を決めるという非常にユニークな企画。ここでしか手に入らない650冊分を収録したのリーフレット(無料)があれば、一生読む小説に困らないかと。

 フツーに考えると、欧米礼賛が色濃く残る翻訳文学では、ラテン系、アフリカ、インドといった地域は不利になるんじゃないかと思える。だが、そこは偏りをなくすような配置がされているのだ。たとえば、アルベール・カミュが「アルジェリア」だったり、ジョン・アーヴィングが「インド」の代表として選ばれている。

 えっ?カミュはフランス文学で、アーヴィングはアメリカでしょ?と思いきや、出身や(小説の)舞台であってもOKみたい。カミュは「異邦人」だし、アーヴィングは「サーカスの息子」が代表選手としてエントリーされている。書店スタッフのバランス感覚で、絶妙な選本がなされている。選本はこんな感じ↓


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  オフィシャル入口はここ→[ワールド文学カップ]

  Exciteニュース[文学の熱い戦い「ワールド文学カップ」に行った]が詳しい

 「世界文学」というテーマを用意しているのは、この国だけじゃないかと思えてくる。ふつう、大型書店の洋書階に行っても、「世界文学」という印象は感じない。いわゆる"Novel" 棚はあれど、フレンチとかラティーノといった、地域ごとにインデックスされたものにすぎない。あくまで「書籍>小説>ラテン文学」のような仕分けられた棚なのだ。いっぽう、この文学の祭典では、世界を文学で読み解こうといった熱度を感じる。

 これだけの文学作品が、ただひとつの言語―――日本語で読めることは、きわめて珍しいことなんじゃぁないかと思えてくる。いやいやいや、英語があるでしょうと即座に自分で否定するのだが、母数がまるで違う。日常語として扱う人にくらべると、圧倒的に種類・点数が多いのは、「日本語に翻訳された海外文学」ではないかと。

 ちと旧聞に属するが、ヘミングウェイがノーベル文学賞を受賞したとき、彼の文学全集があったのは、日本語版だけだったときく。「北回帰線」が発禁扱いで貧乏だったヘンリー・ミラーに初めて翻訳権の小切手を送ったのは日本の出版エージェントだったとか。もちろん英語でもあるだろうが、これだけの作品に接するには、かなり専門的な書店に行かないとないのでは。

 この目の前の世界文学の宝の山を見ていると、日本語のありがたみを感じる。この狩場は5月17日までの期間限定。ハンターの方はお早めにどうぞ。ちなみに上の右下の5冊はわたしの収穫。リアル書店へ単身入るのはキケンなので、10分と時間を区切ったつもりだが……

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