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【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク(その4)

PMBOK4日本語 【PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。ずっと品切れ状態が続いていたPMBOK4日本語版は、現在在庫アリ。輸入モノなので必要な人はすぐに確保すべし。

 プロジェクトマネジメント・フレームワークの続き。機能型組織、プロジェクト型組織、マトリックス型組織について。

 完全に無風状態でプロジェクトが運営されることは、ありえない。会社の文化やマネジメントのポリシー、組織上の手続きといった、プロジェクトの組織構成に、いわば"翻弄"されるのが常だ。優れたPMは、そうした組織構成を見越して、プロジェクトを有利に持っていくもの……とRita本は言う。

 組織構造のタイプ(型)は、PMがどれくらいの権威(authority)を持っているかによって決まってくる。さらに、それぞれのタイプにおける得意・不得意を把握しておけば、試験対策は充分だろう。

 機能型組織について : 最も一般的な組織構成で、部門ごとに分割されている。つまり、経理部門や営業部門、製造部門といった分け方になっている。プロジェクトはふつう、ある一つの部門の中で発生し、完結する。別の部門の助けが必要な場合、いったん部門長(p.29の言い方だと「機能部門マネジャー」)を経由して調整されてくる。例えば、「営業部門に新規ITシステムを導入するプロジェクトで、収支決済を調整する必要が出てきた。部門長で話し合い、経理から担当がアサインされた」という事例など。

 機能型組織の利点は、スペシャリストが育ちやすい。経理専門、営業専門を思い浮かべれば、そればかりやっているから当然だよね。そして、メンバーはただ1人の上司に報告すればよい。また、似たようなリソースが集中しているため、その分野のプロ単位に組織化されているし、キャリアパスがはっきりしている。

 機能型組織の欠点は、プロジェクトの遂行よりも、目先の業務をこなすことに注力しがちになることが挙げられる。さらに、プロジェクトマネージャは、何の権威もなく、プロジェクトマネジメントのキャリアパスは育たない。

 プロジェクト型組織について : プロジェクト単位に組織されているのが特徴で、PMがプロジェクト組織を担っている。メンバーは帰るべきホーム部門がなく(no home)、プロジェクトが終結すれば、別プロジェクトにアサインするか、別の仕事を見つけてもらうしかないのだ。

 プロジェクト型組織の利点は、プロジェクト指向の組織のため、案件に対し最も効率のよい組織といえること。さらに、機能型よりもコミュニケーションがやりやすい(風通しがいい)ことが挙げられる。

 プロジェクト型組織の欠点は、プロジェクトが終結したら、「ホーム」がなくなること、(経理や人事などの)プロフェッショナルが育ちにくいことが挙げられる。プロジェクト毎に経理や人事などの仕事が重複して存在するため、全社的に見ると非効率的になっているのだ。人材の育成やリソースアサインの観点からすると、部分最適となっているのがプロジェクト型組織になる。

 マトリックス型組織について : 機能型とプロジェクト型の両方の強みを生かしたのがこれ。一言でまとめるなら、「マトリックス型組織とは、ボスが2人いる組織」になる。つまり、PMのボスと部門のボスの2人だ。当然、指示がちぐはぐだったりすれ違ったりする可能性もあるが、「(帰るべき)ホームもありながらプロジェクトにアサインされる」形態となっている。p.29-30 の「強いマトリックス」や「弱いマトリックス」は何を指すのだろうか?図だけを見ても分からないかもしれない。

 実はこれ、PMの権限のことを「強い」「弱い」で表現しているのだ。「弱いマトリックス」の場合、権限は機能部門マネジャーが持っており、PMはリーダーというよりもむしろ調整役になっている。なかでもプロジェクト促進係(project expediter)は権能が弱く、スタッフのアシスタント役か連絡係のような役割となっている。いっぽう、プロジェクト・コーディネーター(project coordinator)は、プロジェクト促進係よりも権能が強く、一部の決定権や上級マネージャーへの報告といった役割を担っている。

 マトリックス型組織の利点は、プロジェクトの目標が見えやすいこと、機能組織からのサポートが受けやすいこと、帰るべき「ホーム」があることが挙げられる。さらに、限られたリソースを最大限に用いる、リソース管理能力が育てられる。つまり、プロジェクト型だと(担当の重複で)リソースのムダ使いするかもしれないし、機能型だとPMの権限が少ないためリソース管理をさせてもらえないかもしれない。その両者の欠点を克服しているのが、マトリックス型組織になる。水平・垂直の両方向にコミュニケーションが取れる。水平は、プロジェクトメンバー同士。垂直は、プロジェクトマネージャ同士で、連絡が密になる。

 マトリックス型組織の欠点は、プロジェクトチームにとって、報告するべきボス・上司が2人以上いること、コントロールが複雑なところ、リソースの割り当てが難しいところ……と多数上げられる。優先順位づけがプロジェクト/機能部門で異なる場合、マネージャーどうしの調整が大変になる。また、仕事を進める上での方針や手続きが、両部門にまたがるため、やはり複雑なプロセスになる。

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PMBOK4日本語 【PMP試験対策】シリーズについて。

 ベースは、PMBOKガイド4版と、"PMP Exam Prep"、通称Rita本の2本立て。PMBOKガイドを傍らに一連のエントリを「読むだけで合格する」ようなシリーズにするつもりだ。過去の記事は、以下のリンク先が入り口となっている。PMBOKガイドの古い版が元となっているが、「PMIイズム」「PM的思考」は学べる。ぜひ参照してほしい。

   【PMP試験対策】 PMBOK2000版
   【PMP試験対策】 PMBOK3版

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