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【PMP試験対策】 PMP試験はどんな試験か?

 【PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。

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 ここで躓く人がかなりいる模様。PMP試験は、PMBOKガイドで覚えたことを試すものではない。もちろんPMBOKガイドからズバリ出る問題もあるが、そうした記憶に頼る試験準備だと、合格は難しい。なぜなら、「ガイドからズバリ」は、ほとんど無いからだ。代わりに、実際のプロジェクトの経験に沿った「ベターな選択肢」を求める問題が山と出る。その「ベター」とは何かというと、PMBOKガイドに準じているんだ。

 PMP試験は、選択肢の中から正解を一つみつける出題形式だ。200問を4時間かけて解く。25問は事前公開問題(prerelease question)とされ、採点されない。どれが事前公開問題なのかは、ランダムに決められており、受験者には分からない。結局、175問が採点対象となり、合格するためには、この中から最低でも106問の正答が求められる。およぞ61パーセントの正答率で合格となるのだ。

 問題はデータベースで管理されており、かなりの数にのぼるようだ。その中から、200問選ばれるというわけ。出題順はバラバラで、PMBOKガイドのように系統だってはいない。そのため、隣の受験生と違う問題に向き合うことになるわけ。なお、誤答だった場合のペナルティはない。

 ただし、問題の出題率は、プロセスグループごとに決まっており、だいたい下記のような割合を占めている。だからといって安心するなかれ。PMIは定期的に試験の見直しをしており、出題傾向を変えている。動向は公式サイトをチェックすべし。

  立ち上げプロセス(11%)
  計画プロセス(23%)
  実行プロセス(27%)
  監視・コントロールプロセス(21%)
  終結プロセス(9%)
  プロフェッショナルと社会責任(9%)

 以下は、難しいさのレベル。一般に難しいと感じられている順に並べると、次のようになるという。つまり、↑上にいくほど、難しくなり、↓下にいくほど、易しくなる。最初のリストは、知識エリアで切った場合。次のリストは、プロセス群単位に見た場合だ。このリストによると、知識エリアでは「プロジェクトマネジメントプロセス」、プロセス群では「監視・コントロールプロセス」が最も難しく感じられるようだ。

 たしかにそうかもしれない。「プロジェクトマネジメントプロセス」の分野は全知識エリアにまたがっているため、広範な知識を要するし、監視・コントロールプロセスもやはり、全てのプロセス群に連結しており、同様に範囲は広いといえる。

知識エリアごとに分けると、

  1. プロジェクトマネジメントプロセス
  2. 調達マネジメント
  3. リスクマネジメント
  4. 統合マネジメント
  5. 品質マネジメント
  6. タイムマネジメント
  7. コストマネジメント
  8. プロジェクトマネジメントフレームワーク
  9. スコープマネジメント
  10. 人的資源マネジメント
  11. コミュニケーションマネジメント
 調達マネジメントは少し特殊で、実務で携わる人の少なさを物語っている。いわゆる総務での発注・検収の仕事をしていれば入りやすいが、普通のPMではなじみが薄いだろう。反面、人的資源やコミュニケーション関連は、普段の仕事と直結した内容のため、易しいと感じる人が多いのかと。

プロセス群ごとの場合だと、

  1. 監視・コントロールプロセス
  2. 立ち上げ
  3. 実行
  4. 計画
  5. 終結
  6. プロフェッショナルと社会責任
 いわゆるプロジェクトの立ち上げに携わる人は少ない。そのため、難しいと感じる人が多いようだ。「新しいプロジェクトがあるから行ってくれ」と命じられたときには、プロジェクトをする場所や予算が既に決められており、成果物やメンバーは曖昧になっている。何を作るか玉虫色なのに、納期だけはなぜだかしっかりと決められているんだ。「立ち上げ」は、そもそもそれをプロジェクトとしてする価値があるの?という判断も含まれており、かかわる人は上層部+コンサルタントがほとんどかと。

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PMBOK4日本語 【PMP試験対策】シリーズについて。

 ベースは、PMBOKガイド4版と、"PMP Exam Prep"、通称Rita本の2本立て。PMBOKガイドを傍らに一連のエントリを「読むだけで合格する」ようなシリーズにするつもりだ。過去の記事は、以下のリンク先が入り口となっている。PMBOKガイドの古い版が元となっているが、「PMIイズム」「PM的思考」は学べる。ぜひ参照してほしい。

   【PMP試験対策】 PMBOK2000版
   【PMP試験対策】 PMBOK3版

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逃げ場としての図書館、あるいはプロ眼力の価値

 「本のかたち」という変わったフォーラムに行ってきた。本の未来のビジョンとスキームを語らおうという場だ。詳細は[公式サイト]を参照。

 出版界の危機を反映した、真っ向勝負のテーマなのに、キャッチボールのようなやりとりに拍子抜け。初回だからこんなものか。もっと殺伐とした、顔面ありドッジボールを期待するわたしが悪か。とはいえ、普段なら得られない「気づき」があったので綴ってみる。

 まずは"逃げ場としての図書館"に反応した。これは、橋本大也氏の提言の一つ「教会としての物理的図書館」の話の中で出てきた。曰く、管理教育に馴染めなかったとき、地域の図書館が一種の避難所として役に立ったという。そして、大検という選択肢があることを図書館の本で知り、人生を拓いたそうな。図書館とは「情報による救済と癒しの場」であって、「万人を迎え入れてくれて、放っておいてくれる場所」として重要だという。

 おお、なんというシンクロニシティ。わたしの場合は、もっと青い理由で「こんな授業出られっか」とばかりに学校の図書室に引き籠もってた。ミソは「学校の」図書室だというところ。外へ出る度胸もないし、憧れのあの娘が昼休みに来るからという理由で、学校の図書室を逃避先としてたところが痛い。

 ただ橋本氏と違うのは、図書室での出会いは「本」ではなく「人」だったこと。殊勝に読書してたと思いきや、ほとんど読まなかった。代わりに、本好きな人たちとひたすら話してた。「こんな本がスゴい」から、「それが良いなら、これをオススメ」まで、まさにこのblogでやっているやりとりをリアルでしてた。

 本が集まってくる場所は、本好き(主に女子)が集まってくる。司書の先生(女)を始めとし、一種の読書サロンになってた。グレアム・グリーンや尾崎翠を教えてくれたのは憧れの女子。話の糸口に絶対必要なので、そりゃ必死になって読んだものだ。

 動機が不純であればあるほど、人は必死になって努力するもの。結局のところ、わたしの恋はm9(^Д^)プギャーだったものの、図書館とは、本を介して人を探す場所でしたな。

 次に、津田大介氏の"特定の情報に対するファンクラブ化"に反応した。物体としての「本」というパッケージは、CDやiPodのようなデジタルな情報とコスト構造からして違うよという文脈から出てきたネタ。

 「本」というパッケージにお金を払うのではなく、セグメント化された分野の情報そのものに価値を見出せる人が、受け手となる。だから、著者自身が情報の追っかけとなって、集めたものをイベントのような形で提示する。著者や編集者がエージェントのような役割を果たし、受け手にプッシュすることで課金する仕組みがうんたら…とゴメンなさい、よく分からなかった…というのも、「たとえば」で始まる事例がなかったから(巻きが入っていたから端折られたのだろうか、あるいはわたしの意識がトんだか)。

 なので、自分で事例を考えてみる。

 わたしが有益だなーと思っている情報に、「本屋の棚」がある。これに平台も含めてもいい。八重洲や紀伊國屋、ABCや1stといった、大型書店の棚だ。もちろんミーハーのための新刊とベストセラーだけの書架もあるだろうが、その店ならではの特徴、ぶっちゃけて言うと、店員さんの趣味が出ているところがある。選別やレイアウトに、好みが現れるのだ。大きな本屋だと、「○○特集」と銘打って趣味全開なコーナーまである。本屋をハシゴしてまわると、同じ「文芸書」棚でも微妙どころか大いに違っていて、これがまた面白い。そしてとても有益。

 なぜ有益かというと、「わたしが知らないスゴ本は、店員さんが読んでいる」から。わたしが高評価を与えている本の隣にある、わたしが知らない本こそ、チェックすべき。もし書店でそうした気になる本を見つけたら、迷わず手に取るだろう。しかも書店のハシゴでそんな本がカブったら、迷わずレジに向かうべし。

 もちろん、図書館の棚でも同様な「オススメ」が見つかるかもしれないし、amazonの「この本を買った人は~」機能も使っている。しかしだ、両者にクセがないんだ。図書館はスタンダードな棚を目指し、amazonは単純統計をダダ見せているだけ。書店にもよるが、有名どころであればあるほど、店員さんの好みがにじみ出る。

 だから、有名どころの書店の「棚」を定期的にパチリと撮って、ジャンル別時系列に並べて見せたら、書店ごとの傾向が見えてくるはず。加えて、各書店での「特集」棚やベストセラー棚も一緒に居ながらにして見えるのならば、お金を出してもいい。どの本を選び、どうアレンジメントしているか、書店の魅せどころがよく分かるはず。

東京ブックストア&ブックカフェ案内 東京に限られるが、特徴的な書店ばかりをカタログ的に紹介しているガイドがある。写真がふんだんに使われているため、店内の雰囲気や、書架に並んでいるタイトルまで見える。これをもう一歩進めて、特徴的な書店の書棚(情報)を収集し、比較できるような仕掛けがあると、面白いかも…おっと、Shelfariやlibrarything、booklogといったSNSではないよ(わたしのやり方が悪いのか、ノイズありすぎ)。欲しいのは、集合知ではなくプロの目利きなのだから。

――とまぁ、本題とは関係のないところで妄想をたくましくさせてくれたフォーラムだった。Ustreamで中継してたのはさすがだが、参加者のつぶやきを主催側が twitter でフォローしてたのは笑った。誰かの「フォーラムの趣旨が分からん」というつぶやきに、進行途中で司会の岡本氏がキレ気味に趣旨説明しだしたのには驚いた。手ぶらで行ったので、twitterでの空気が分からなかったのよ。キャッチボールのようなのんびりした会場の雰囲気とは裏腹に、ネット上は殺伐としていたのだろうか… 顔面ありのドッジボールのように。

 そうそう、丸香は重要。会場近くのうどん屋、丸香で食べた釜玉が絶品だったことを申し添えておく。初めてバーガーキングのワッパーを食べたときの感動、あるいは、初めて道頓堀で神座を食べたときと同じ悦びを味わった。興奮気味に語ると、「最低三回は食べないと」と言われた。神座と一緒だな。

 次回も、ぜひ、神保町で。

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「筆談ホステス」に学ぶ

筆談ホステス 銀座のクラブのNo.1は、「筆談するホステス」という話。

 幼い頃の病気で、耳が聞こえない。そのため、声によるコミュニケーションができない。当然のことながら疑問が出てくる。耳の聞こえないコに、ホステスなんてつとまるの?

 そんな問いかけに、彼女は明るく、"Yes!"と応える。メモとペンを使った筆談だけで、銀座No.1ホステスになったと帯にある。表紙のタイトルは、彼女の自筆で、本文中にもちょくちょく出てくる。ていねいで、美しい字だ。

 字ばかりでなく、ご本人も然り。いわゆる美人顔だ。営業中(?)の写真を見るかぎり、一流の雰囲気がただよう――とはいっても、会話ができないというのは、接待職ではかなりのハンディキャップなのでは?と、いらぬ心配がページを進める動力となる。

 しかしながら、余計なおせっかいのようだ。愛用のロデアのメモパッドにとモンブランの万年筆を使って筆談をする。普通の会話に比べると、どうしてもやりとりのテンポはゆっくりになる。が、そもそもクラブに来るような客は落ち着いて飲みたいという人が多いので、筆談会話が成り立っているのだそうな。さらに、メモ片がラブレターになったり、みんなで回し書きをして楽しむ交換日記になったり、便利に活躍をするという。

 「文字による会話」において、彼女がいかに心配りをしているかが、エピソードの一つ一つから垣間見ることができる。「辛」の話はじんときた。それはこうだ。いつもは元気なお客様なのに、今日は意気消沈している。彼はメモに一言、「辛」と書いたそうだ。それを見た彼女は、「辛」に一文字を足して、こう返す。

    辛いのは、幸せになる途中ですよ

「辛」に横棒を足すと「幸」になる。いまが「辛」いのなら、それは「幸」になるまであと少しなのだ。もしわたしが、こんな言葉の贈り物を受け取っら、思わず泣いてしまうだろうなぁ… 他にも、出世レースに負けたと落ち込んでいる人に、「少し止まると書いて『歩』く。着実に前に進んでいます」と贈る。会話だとわざとらしさが入るセリフも、書いたものだと心に届きやすいのかも。

 爆笑モノもある。サブプライムローン禍で資産を失ってしまった50代の部長が、「今まで築いてきたものを、一瞬で失くした」、「もう一度頑張ろうという気になれない」、「自殺したい」…と泣き言をいってきたとき、彼女は、こう書く。

    立って半畳
    寝て一畳
    アソコは勃っても数インチ

ハハ、読んでるこっちが笑ってしまう。そもそも「資産を失った」のがホントなら、銀座の一流店で飲みゃしないだろうに。だからこれは、ヤケドしたお客となぐさめるホステスとの高度な掛け合いなのかも。

 さらに、下種の勘ぐりとして抱いていた疑問にも、ちゃんと答えているくだりがある。つまりこうだ。すごい美人なんだけど聴覚障害者なのだから、そこに付け込めるのではないかと男が期待する。だから、こんなに出世したのでは?という卑しい疑問だ。これには、彼女が勤めるクラブのママがこう答えている。

耳が不自由だから、その弱い部分につけこめば自分でもなんとか口説けるのではないかと勘違いをして、露骨に近づいてくる男の人も多くいました。そうした誘いをかわすのが下手でしたね。露骨で強引な誘いが続くと、そのうちお客様に直接怒りをぶつけてしまうんです。里恵にだってもろい部分や弱い部分もあるんですが、そうした部分を「怒り」という形でしか表現する方法がなかったんでしょうね。
卑しい疑問を持った自分が恥ずかしくなる。さらに、彼女の真面目な性格が、文章から現れている。本当に接客が好きなことが分かる。いわゆる水揚げを伸ばすため、枕は間違ってもできないだろうなぁ、と思えてくる。そういう、彼女の人柄を垣間見る。

 彼女から「気づき」もいただけた。褒め上手と呼ばれるホステスならでは技術だ。お客様を褒めるとき、表面的な評価だけではNGだという。お客様が身につけているモノや話題・知識などをそのまま褒めるのではなく、「それを身に着けているお客様自身」を褒めるのだ。モノを褒めることを通じてお客様自身を褒めるのが、一流の褒め方だという。

 たとえば、「素敵な時計をしているのね」だと、時計を褒めているにすぎないが、時計を指摘した後に「あなたって、ファッションのセンスが抜群ね」だと、「そんな時計をするあなたってステキ」になる。おいしいワインをご馳走になっても、「このワイン、おいしいわ」ではなく、「こんなおいしいワインを知っているあなたって、本当に博識ね」と褒めるのだ。

 これは意識せずとも使っていることに気づいた。「褒める」というより「感心する」のだ。美味しい料理を作ってもらったとき、「おいしい」だけでなく「こんなうまいもの作れるなんて、料理のセンスある」と言う。褒めようと思って言うのではなく、そのように考えるのが"自然"になるよう自分を変えていったんだと思う(昔は「俺だって作れる」と反発したり、アラを探そうとしてた)。自分にないもの、足りないものを受け取ったとき、そのまま感心する素直さを大事にしたい。

 そういう素直な気持ちになれるのも、本書からにじみでる彼女の人となりの影響なのだろうか。銀座のクラブには縁がないし、ましてや音のない世界は想像すら難しい。しかし、コミュニケーションの根っこは同じなんだと感じ取れる一冊。


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