見たあとに跳べ「Google Earthでみる地球の歴史」
衛星軌道から地球史の旅を楽しめる、Google Earthのすばらしい成果。
わが子の教育目的でGoogle Earthを遊ばせている。国境線をとっぱらって上下逆転させた「地球」を、文字どおりオモチャがわりに弄っている。ただ漫然とまわっていると飽きるので、架空のツアーを組んだり紙の地図と組み合わせて遊んでいる。居ながらにして世界旅行を味わえるのは愉快だが、あくまで観光気分だけ。
それが、[たつを]さんとこでいいのを教えてもらった。それが本書、「Google Earthでみる地球の歴史」。なにがいいかというと、「見たら必ず行きたくなる」ところ。宣伝惹句に偽りはなく、紹介されている「場所」へジャンプしたくなること請合う。
まず、「自然をみる」。
グランドキャニオン、モニュメントバレー、デビルズタワー、エアーズロックなどの最適ポイントを紹介し、侵食にともなう地形が独特の景観をつくりだしている過程を解説している。たとえば、デビルズタワーは「未知との遭遇」の舞台となった場所で、(Google Earthで)行ってみると、片隅の駐車場のクルマが米粒ぐらいにみえる。さらに、リンクされているスナップ写真を見ると、のぼった人多数…
奇怪な景色や変わった地形ばかりを集めたサイトがあったけれど、本書はそうした地形が「なぜ」うまれたのか、どうなっていくのかも含めて説明している(著者は地質学者なのだ)。マヤ文明が繁栄した理由を「水源」から考察し、その源は6500万年に衝突し、恐竜を絶滅させた天体衝突のクレーターに溜まった雨水だと説明するなんて、本書で始めて知った驚きの事実。
次に、「災害をみる」。
四川大地震やインド洋大津波が地球にのこした痕を確認することができる。四川大地震の巨大さは、活断層を画面に入れた縮尺でドラッグすると実感できる。日本列島が比較対象にちょうどいいのだから。さらに、インド洋大津波の爪痕は、津波の引き波によって砂が大量に抉り取られた様を見ることができる。
縮尺のため「見えない」が、このフレームにおさまっているおびただしい死者のことを思うと胸が痛む。そして、そうした死者を写さないぐらいの巨大なちからが働いたのかと考えて、あらためて愕然とする。
最後は、「地球史をみる」。
初期の地球の姿(38億年前)から、大気中に酸素を大量発生させたシアノバクテリアの繁栄の跡(27億年前)、白亜紀の温暖期(1億4500万年前)の跡、地球寒冷期(200万年前)の原因となったトバ火山――と、Google Earthを用いることで、地球の生い立ちをパノラマ的に眺めることができる。すでに人間の小ささはじゅうぶん思い知った上に、さらに人類の歴史の短さを実感する。
都市や街並といった人の跡ばかりを眺めてきたわたしには、いい刺激になった。著者はいう、「奇妙で不思議な光景には、必ず地球科学的な意味がある。グーグルアースを見るということは、じつは、地球の歴史をみることでもあるのだ」。たしかにそのとおり、地理的な空間だけでなく、そこに刻まれた時間も同時に読み取る視点をくれるのがいい。検索パネルの「ジャンプ」は、場所だけでなく時間をも跳躍しているんだね。
これは、Google Earthの解説本ではなく、Google Earthの成果本。アフリカと南アメリカ大陸の海岸線から気づいたアルフレート・ウェゲナーのように、Google Earthから気づく人がでてくる――そんな時代にいるんだと思うと、ちょっと震えてくる。
とりあえず、今年のクリスマスは地球儀かな…
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