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嫁と「ひぐらし」

 かれこれ2週間以上、昭和58年6月の雛見沢から出られない。

 発端は嫁さん。

 レンタル屋であるDVDを掲げて、「コレ借りてもいい…?」と上目づかいに訊いてくる。その視線に弱いことを知った上で使う。ちなみに嫁さん、アニメは"からきし"なんだが、ムシの知らせか何かで、大当たりを引いてくる(前回は「鋼の錬金術師」だった)。

 まなめ先生のおかげで、ネタバレを回避しつつ陰惨な話だと知ってはいたので、それとなく警告する。「うんいいよ」と二つ返事。「娘を混ぜちゃうような話じゃないだろうし」――ええ、確かにダークファンタジーではないのですががが。

 早めに子どもを寝かせ、いそいそと酒宴の準備をする(明日は休みだ♪仕事もない)。そういや、嫁さんとアニメなんて久しぶりだよな、というか一緒に「二人だけで」何かを観ることそのものが久しぶりだよなーとトキメキながら、電源ON→DVDオン→再生オン………………………

……………………………………………………………………………………

 うぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁ

   陰惨!凄惨!阿鼻叫喚!
   残酷!桎梏!嘘八百!
   救いのない袋小路!
   どこへいっても血、血、血!
   暴力!暴力!暴力!

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

 何をやっても生臭いラスト。狂うか、死ぬか、狂って死ぬか。あまりのあまりさに二人とも声が出ない。振り下ろされるバットの打撃音にビクッとする嫁さん可愛い。はうー、お持ち帰りぃ~ッ、と萌え萌えするのもつかの間、臓物をさらけ出す少女の屍体にげんなり。これは「ラブコメのタッチとサイコパスのギャップと血まみれのラストに愕然とする」ことを目指しているのか?

 「もう止めようよ~」と、どちらともなく声をあげ、もう片方が「もうちょっと…」と続きを再生する。借りてきた本数は尽き、深夜のレンタル屋にひた走る。ブームは終わっているので借り放題ナリ。

 この物語をヒトコトで言い表すなら、「疑心暗鬼」。ひとりひとりは愛情深く、優しい人なのに、ふとしたきっかけで現実離れした思い込みにとらわれ、破壊的な暴力を振るい始める。

 いったん運命の歯車が狂うと、次々に残虐な殺人をくり返し、自滅する登場人物たちは、序盤のキャラクターとはまるで別人だ。その落差の「なさ」に、そのおぞましさへの距離の「短さ」に、全身で戦慄する。夫婦でブルブル震えながら見る、見ることをやめられない。これ独りでなくて良かった――

 もし独りだったら、おかしくなっていたかも。「こんなんありえないよねー」とか、「でもその場合の犯人は誰になるのだろう?」とか、いちいちツッコミを入れながらだったので、奇妙な被害妄想に取り憑かれずに済んだ(嫁さんもわたしも、耐性あるくせに染まりやすい矛盾を抱えている)。一時は宇宙人の侵略論を信じたぞw

 で、ひぐらし解(紡)のラストまで観た。こりゃスゲぇや。

 「きょうは会社、遅くなるのかな? かな?」  
 「うん、残業になるからご先寝てていいよ」  
 「嘘だッ!」  
 「!」  
 「嘘だウソだうそだッ!ど~せ飲みに行くんでしょ、ほ~ら言ってみなさいよ『ごめんね』ってね、そしたら許してやるよッでないと…」  
 「お社さまの祟りってやつか…?」  
 「どっどうしてそれをー!?さては…」  

 などと、ほのぼのと「オヤシロさまごっこ」をしている。正直、竜宮レナの真似はやめて欲しい(怖いので)。わたしの嫁さんは不思議なほど刃物が似合う。出刃、刺身、ぺティ、ダガー、日本刀… 何を持たせても絵になる。刃物お似合い選手権があるならば、おそらくトップだろう。

 いずれにせよ、謎自体は解けた。これからは雛見沢の悪夢から逃れられるだろう――?

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コメント

>などと、ほのぼのと「オヤシロさまごっこ」をしている。

あいかわらずラブラブなようで・・・ごちそうさまです。

でも

「オヤシロさま」で遊ぶのは慎んだほうが良いと思います。

南無観世音菩薩(ナムカンゼンオンボサツ)
念波観音力(ネンパカンノンリキ)

何か不審なことがありましたらこれを唱えてくださいませ。

投稿: ラッキーマン。 | 2008.10.04 18:18

こんばんは
このブログ、いつも楽しく読んでます
これからもトラウマになるようなヤッバイ本をたくさん紹介してください

さて、紹介されてばかりは悪いので僕もいくつか軽いトラウマものを

「ウルトラヘヴン」 小池桂一
マンガです。ヤク中が主人公のヤク中漫画なんですが、初めて読んだときビビりました。コマ割りとか無視した構図と緻密に書き込まれた絵によって、マリファナなんか吸った時のあの感じを紙の上に見事に再現しています。あー確かにこういう感覚あるわー、とうなること間違いなしです。

「魔法使いのチョモチョモ」 寺村輝夫
児童書です。ぼくは王様というシリーズの9巻目くらいにでた奴だと思います。それまでの王様シリーズはまさに子供が読むのにふさわしいという感じですが、この巻だけ異常です。ひどく残酷なラストを小学生の時に読みましたがとても不安になって世の中が怖くなったのを覚えています。大人になった今読んでも作者が悪意以外のなにを子供たちに伝えたかったのか不明です。

「名前のない女たち」 中村淳彦
AV女優へのインタビュー集。トラウマのオンパレード。日本にこんな人たちがいるってことに驚く。

投稿: masashi | 2008.10.05 02:54

>>ラッキーマン。さん

ご忠告、ありがとうございます。
肝にめいじておきます。
オヤシロさまごっこというよりも「かなかな」ごっこがメインですな。

>>masashiさん

オススメありがとうございます。
「ウルトラヘヴン」がよさげですね。amazonにある「ペーパードラッグ」とか、「アシッド大友克洋」といった評に惹かれます。

投稿: Dain | 2008.10.05 19:58

書き込みをするのは初めてです。
時間があるときにDainさんの書評を読んでいます。書き方が非常に面白いので引き込まれてしまいます。

今回書き込んだのは話題がひぐらしだったもので・・・。レビューを観ながら、私も最近観たのでそのときの感覚を共有したような気分になりました。

んでちょっとひぐらしの話を。

文章から推測するにアニメで見た感じでしょうか。私は漫画(~罪滅し)→アニメ(皆殺し、祭囃し)→PCゲーム版の順にやりました。感想としては、漫画アニメゲームそれぞれに良さがあります。アニメは目明し編と皆殺し編のラストがすごくいいですよね。

もしまだひぐらしの情熱がおありでしたら、PCゲーム版もやってみることをお勧めします。アニメ版は非常によくまとまっています。しかし、アニメ版のボリュームは

鬼隠し~罪滅し が原作の6割
皆殺し~祭囃し が原作の8割

と言った印象を私は持ちました。だからもし残りの2割に浸ってみたいと思うのならば、ゲーム版も手にとってみてください。逆に少しでもそう思わなければ別にやる必要はないですね。それくらいアニメはよくまとまっていると思います。

おそらく原作からのファンの人は、ボリュームダウンしたアニメ版を見て「これじゃ『ひぐらし』は全部伝わらない!○音が鬼畜すぎる!(笑)」などと思ったのではと思います。だから原作→アニメだと不満が残るけど、アニメ→原作なら二回楽しめると思うんですよね。少なくとも私は二回楽しめました。そういう意味ではDainさんも私も幸せだと思うので、よかったらぜひ。


もっとついでに、現在ひぐらしの作者の竜騎士07さんは「うみねこのなく頃に」を作成しています。現在Ep3、ひぐらしでいう祟殺し編まで出てるのですが、Ep2、Ep3、ともに予想の斜め上を行く展開を見せていて、これどうやって収束するんだよって感じになってます。リアルタイムで謎解きできるので、興味がございましたらこちらも!
それでは~運営頑張ってください。

投稿: kireshun | 2008.10.12 23:10

>>kireshunさん

おお、情報ありがとうございます。もともとは嫁さんの好奇心から始まった雛見沢ツアー、もうすぐ「ひぐらし解」も終わりそうです。

 > (アニメ版)○音が鬼畜すぎる

ここは嫁さんもわたしも「引いた」ところで、かつ「惹かれた」ところです。狂うオンナというのはいいものですなー。「やっぱ爪だよ爪、オトシマエつけるには!」は嫁さんとの合言葉となりつつあります。

それから、「うみねこ」は一通り終わって、ブーム(?)が去った後に手を出そうかと。リアルタイムでハマったら、それこそ限度なしに浸りそうで恐いので。

投稿: Dain | 2008.10.13 21:42

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受信: 2008.10.15 09:24

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受信: 2008.10.19 23:14

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