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学生必読「理科系の作文技術」

理科系の作文技術 文系理系は無関係、学生は全員読め。もう一度いう、学生は必ず読め。

 「上から目線」だの「えらそう」だの批判上等(ご指摘の通りだから)。その上で重ねて言う、必ず読め。かくいうわたしは、そう言ってくれる先達がいなかった。ゼミ発表やビジネス文書で「揉まれて」身に着けた我流の技術なので、心もとないことおびただしい。

 今では論文・レポートの作成技術に関する本は沢山あるが、コンパクトな新書にここまで丁寧+徹底して「学生のレポート」に特化したものはない。「東大、京大、北大、広大の教師が新入生にオススメする100冊」の第8位で、この手のランキングに必ず本書が入っているところに、センセ方の苦労がしのばれる。

 もちろん、ライティングの手ほどきを受けている方なら、「あたりまえ」のことばかり。しかし、その「あたりまえ」がないことでどれだけコミュニケーション・ロスが発生しているかゾッとさせられる。

 たとえば、「事実と意見は分けて書け」という。当然だ、どこまでが事実の報告で、どこからが仮説・意見なのか分からない文書だと、まともに扱ってすらもらえないだろう。にもかかわらず、意見をさも事実のように書いたり、事実に意見を紛れ込ませたりする実例が沢山ある。エッセイストを気取るならいいけれど、レポートとしては落第だろ。

 そもそも「事実とは何か」から定義している。事実とは、「自然に起こる事象や自然法則、過去の事件などの記述で、しかるべきテストや調査によって真偽を客観的に確認できるもの」を指す。

 しかも、「事実の書き方」と「意見の書き方」まで指南してくれる。「分けて書く」とは、分割して書けというだけではない。その記述が事実なのか意見なのか、読み手に分かるようにすることが重要なのだ。

 事実を書くポイントは2つ。

  • 書く必要性があるか否かを十分に吟味し、必要があるものだけを記述せよ。言い換えると、「必要でない記述は書くな」になる
  • ぼかした表現に逃げず、できる限り明確に書け。「明確に書く」とは、事実を記述する文は名詞と動詞で書き、主観に依存する修飾語が混入していないことを指す

 いっぽう、意見を書く原則は2つ。

  • 基本は、「私は…と考える」と意見であることが明確に分かるように「頭(私は)」と「足(考える)」をつける
  • 意見の核となることばが主観をあらわす修飾語の場合に限り、頭と足を省略できる

 上記のノウハウを逆手にとって「事実のフリした意見」を書き殴ってるわたしには耳が痛いですな。同時に、これまでに習得した文章術の「おさらい」ができてありがたい。アイディアの作り方で最も重要な「寝かせる手段」、トピックセンテンスの絞り方、自己流マインドマップのような「スケッチ・ノート法」、主題への「意思」を展開した目標規定文(thesis)へ収束させる方法──どれも一冊本がかけるぐらいの肝ネタを惜しみなく紹介してくれている。OHPの書き方まである懇切丁寧さだが、今ならパワーポイントか(キモは一緒)。どれも良い復習となりましたな。学生さんは読んで損なし、かつてのわたしに激しくオススメしたい一冊。

 何度でもいう、学生は必ず読んでおけ(命令形)。

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コメント

同意,私もその本持ってます.大学生の時教授に持つよう指示されました.実験結果レポートを出すときに何度か読んで参考にしました.

投稿: メンマ | 2008.09.29 22:00

確かにこの本は、間違いなく絶対読めって言い切れる本ですね。
文章を書くたびに、この本のよさが染みてきます。

投稿: qori | 2008.09.29 23:40

同じ著者の「レポートの組み立て方」は文系の学生向けに書いたと冒頭に書いてありましたが、やっぱりこっちの方がいいんでしょうか。

投稿: しじな | 2008.09.30 18:21

>>メンマさん

いい教授ですねー。本書を通じて「レポートの基準」が共有されるため、グループ全員の質が向上していたことでしょう。


>>qoriさん

はい、ライティング・テクニック本はいくつか読んできましたが、本書が学生向けのピカイチだと思います(もちろん他にもあるでしょうが、それは本書を読んだ上での話)。


>>しじなさん

「レポートの組み立て方」は未読なのでなんともいえません。あれかこれかで悩むより、まずどちらかを読んでみることをオススメします。

投稿: Dain | 2008.10.01 01:06

はじめまして。以前、この記事で薦められていたのを思い出し、つい先日購入したのですが、いい本ですね。私が学生時代にこの本を読めなかったのが悔やまれます。

投稿: モープー | 2010.09.07 16:34

>>モープーさん

ホントですね、わたし自身そんな本ばかり読んでいるので。ただその後悔を今に適用すれば……死ぬときに後悔しない読書を心がけています。

投稿: Dain | 2010.09.07 22:27

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