« わかる瞬間が楽しい「5分でたのしむ数学50話」 | トップページ | いい仕事、してますか? 「自分の仕事をつくる」 »

なぜヨーロッパの緊急車両は青いライトなのか?

 ヨーロッパの救急車や消防車、パトカーなど、緊急出動車は、たいてい青いライト(青色灯)を使っている。なぜだろう?

 それは灯火管制の名残り。第二次世界大戦中、ゲシュタポは連合軍の爆撃機を避けるため、灯火管制された都市で目立つことのないよう、青いライトを使い始める(青い光は、暗闇で一番見えにくいから)。それを他国の警察機関が採り入れ、戦後もそのまま残っているそうな。

 重要なのはここから。このエピソードは、旧来の慣習がいかに強力か、そして有効と分かっていても新しいアイディアを採用することがいかに困難かを物語っている。あるいは、いつも同じ方法で行われている慣習にこそ、アイディアが眠っているのだともいえる。

 もうひとつ、この問題をご存知だろうか?

【問題】
  一枚の紙に、以下の9つの印が描いてある
  紙からペンを離さずに、最大4本の線でつなぐことができる
  そのやり方は?

    ●   ●   ●

    ●   ●   ●

    ●   ●   ●

 頭の柔らかさを試す有名な問題だから、きっと「模範解答」をご存知だろう。だから、次の問題をどうぞ。

【問題】
  上の問題で、4本の線ではなく1本の線でつなぐやり方が少なくとも3通りある
  そのやり方は?

 条件が変わったことで、発想のリミッターが解除されたようにならないか? 答えはそのうち公開するので、お楽しみに。

【解答】

 おめでとう、挑戦者は全員正解だッ

  • 曲線で一筆書 : 「直線で描け」とは言っていないので。最初の「4本の線で…」の問題に囚われていると気づかないかも(ただし、本書では却下されている)
  • 紙を折る/切る : がんばって折り曲げれば直線でも描ける。本書では「折る」はあったけれど、「切る」はなかった(←スウェーデン式を超えた?)
  • 極太のペンで : 全ての点を一筆で塗りつぶすような太いペンを使う
 他にもある。一番おどろいた発想は、これ↓

    1. 地面に紙を貼り付ける
    2. 最初の三つの点を結ぶ線を引く
    3. そのまま、ぐるりと地球を一周する
    4. 次の三つの点を結ぶ線を引く
    5. そのまま、ぐるりと地球を一周する
    6. 最後の三つの点を結ぶ線を引く

 「紙からペンが離れている!」とか「海はどうする?」といったツッコミを入れたくなるが、「地球儀に貼り付ける」という解答にまで洗練させている。正答そのものよりも、「4本→1本」という前提の枠をとっぱらうことの方が大切やね。あるいは、「地球儀」という解は、いったん「地球」サイズまで思考のレベルを広げたから、得られるんじゃぁないかと。

スウェーデン式アイディア・ブック 「スウェーデン式アイディア・ブック」はこのような問題やワークショップを通じ、アイディアを発想させるアタマづくりに一役買っている。文字通り「アイディアのつくり方」そのまんまの本もあるが、読んでも実行しない人は一生しない。いっぽう本書は、自分のアタマで考えさせる仕掛けに満ちている。

 それが「スウェーデン式」なのか分からないけれど、ちょっと違った発想がいくつも得られる。たとえば――

  • 「イエス」より「ノー!」 : アイディアは批判されて磨かれる。「他人のアイディアを批判してはいけません」クソクラエ!かつて王侯貴族は「道化」を身近にはべらせていた。道化は、イエスマンに囲まれて真実を見失いそうな王にとって、保険の一種ともいえる
  • はてなタクシー : 基本条件をとっぱらう発想例。人手不足解消のため、①「道路に詳しい」②「運転ができる」の①の条件を満たさない見習い運転手の料金システム。ほとんどの客は行き先も道順も知っており、割安料金で利用できる。見習い運転手は賃金をもらいながら道を覚えられる
  • 不可能を探すべし : 本当に不可能なことを考え出す。やってみれば分かるが、意外と難しい。なぜなら、誰かが不可能だと思うことは、他の誰かにとって可能だと思えることがあるから。不可能は、前提を変えたり、定義をずらしたり、大胆な挑戦によって変わる
 フツーのアイディア本とは一味もふたあじも違う「スウェーデン式」をお試しあれ。

|

« わかる瞬間が楽しい「5分でたのしむ数学50話」 | トップページ | いい仕事、してますか? 「自分の仕事をつくる」 »

コメント

問題の条件が厳しくなるほど
問題文の揚げ足をとりたくなるし、
とんでも発想をしようとする。
まさに今の自分がそれ・・・
とんでも発想を駆使してクリアするのが大事なのか、
できるかぎり正攻法でクリアするのが大事なのか。

投稿: 山羊 | 2008.02.26 01:21

>> 山羊さん

なんでもアリです
重要なのは、二番目の問題はリミッターを解除して思考できるような気がするにもかかわらず、そもそも最初の問題からして制限がないことなのです

投稿: Dain | 2008.02.27 01:46

レスありがとうございます。
そう言われてみれば、「曲線で引けばいいじゃん」
なんて最初の問題の時点では思いませんね。

投稿: 山羊 | 2008.02.29 00:16

>> 山羊さん

そうです
いわゆる目くらましなのかもしれませんね
「4本の線」といえば直線4つと考えてしまいますから

投稿: Dain | 2008.02.29 00:35

解答が発表されるまで待っていたのですが、
「紙でペンを巻く→そうすれば全ての点にペンが触れる→全ての点がつながれる」というのは?
「ペンは3次元だろ」と言われたら「鉛筆やペンで書かれた線も黒鉛とかインクの凹凸じゃん」と返す準備がありますw

投稿: ゆーご | 2008.03.02 01:12

>> ゆーごさん

な・る・ほ・どー!!
「スウェーデン式」(という方法があるかどうか未だ不明ですが)を超えましたねッ

投稿: Dain | 2008.03.02 01:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18285/40268982

この記事へのトラックバック一覧です: なぜヨーロッパの緊急車両は青いライトなのか?:

» [Web] Re: なぜヨーロッパの緊急車両は青いライトなのか? [エト記]
就職面接で聞かれそうな話題。3通りを私が答えるとしたら 点よりも遥かに太い直線を引く 一枚の紙なので「折り畳んで一本の直線を引く」 そもそも直線と行っていないので,曲線でつなげる あたりかな。 ... [続きを読む]

受信: 2008.02.26 05:02

« わかる瞬間が楽しい「5分でたのしむ数学50話」 | トップページ | いい仕事、してますか? 「自分の仕事をつくる」 »