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釘宮病チェックリスト100

 ツンデレを嫁にするくらい好きなんだが[証拠]、まさか釘宮病にまで達しているとは思い及ばなかった。

 たまごまごさんのこのエントリには本当に感謝している。わたしは、「釘宮ぁ? ああ、アルフォンスね」ぐらいしか見ていなかったのだ。そんなわたしに、いかにこの声でこの言葉を待っていたかを気づかせてくれたから。今では一日一回は聞かないと眠れなくなっている。

 釘宮病のすごさについては、たまごまごさんが的確に表している。

釘宮病のすごさは、多分こういうM心あおる動画を見たあとに鏡で顔を見たら絶望するくらいになってしまうことと、同時に女の子に対して萌えでねじふせるだけの意欲を喚起させられること、かしら?

 激同、ニヤニヤが止まらない、リフレインが叫んでる。以下、水瀬伊織の罵倒台詞を挙げるので、ココロに挿入(はい)ったらチェックを入れてほしい。一つでも反応したら、釘宮病への免疫は無いし、ちょいとでもニヤニヤしたら、もう罹患していると思っていい。

1何でこんなところ来たのよーバカ!
2バカぁ~!
3バカ!バカ!
4バカ!バカ!バカ!
5バカいってんじゃないわよ!
6ほんっとうにアンタ、バカねえ
7バッカじゃないの?
8ふんふん、ふんだ!
9もーいいわぁっ
10ふんだ、イジワル
11ふんだ、アンタなんかと、もうクチきいてあげないんだから
12イラつくわぁっ、イライラするのはアンタのせいよ
13ああ~もぉ~イライラするわぁー
14なんかハラが立つのよね
15ムカつくわ
16ムッカー!ムッカー!
17な~んですってぇ~アッタマきたわ、もお!
18もお、何よそれ!
19何よ何よ!何いってんのよ~
20なぁ~んですってぇ~、もう一度言ってごらんなさい!
21ふざけるんじゃないわよ!早くいいなさいよ、そういうことは!
22それを早くいいなさいよ
23はじめっからそう言いなさいよ
24つまんないわよ
25ああ~暑い、暑苦しい
26きどってないで、アタマひねりなさーい!
27なに公私混同してんのよ!
28そんなわけないでしょ!そんなんじゃダメじゃないのー
29ドブ川で顔洗って、おめめ覚ましたほうがいいですよ
30化けて出てやるんだから
31やめてよね~やれるもんなら、やってごらんなさいよ
32言うことききなさいよね!分かってないわね、アンタは
33もうゼッタイに明日からは、私の後ろを歩かないでよね!
34あったまわるーい、どうせ中身からっぽなんでしょ
35もう少し、頭使いなさい!ほんっとなんにも考えてないのね
36このイジワルの役立たず!
37アンタ、おめでたいわね
38思ったことは、スパっと答えなさいよ!カッコ悪いったら、ありゃしないわ
39気がつかないって言うか、気が利かないわわね
40何でこんなとろで、アンタの冴えない顔を見なきゃいけないわけ?
41しっかりしてよね!ほんっとショボショボプロデューサーね、だっさーい
42致命的にヘッタクソでダサくてビンボーくさーい、ムカっぱらが立つわ
43もぉーっ、ハッキリしなさいよね
44ほんっとダメダメなんだから
45もぉー、余計なことばっかりするんだから
46もぉ、役に立たないわよね
47なんか、腹が立つのよね
48いいかげんにしなさーい
49いい加減なこというと、許さないんだから
50アンタの話なんか、聞きたくもない
51うるさーい、クチごたえしないの、言い訳は聞きたくありません
52ふん!ぞっとするわ、全部あんたのせいだからね
53視界から消えてよ、二度とその顔、見せないでくれるかしら
54大キラーイ!
55あんたには正直、ガッカリよ
56ウンザリ!
57期待して損したわ
58うーん、もぉー、サイテー!サイアクー
59ふーんだ、もぉ、ぜーんぜんダメじゃない
60なーに寝ぼけたこと言ってるのよ
61なーによ、みっともない
62情けないわよねー
63プロデューサーのウソツキ
64ウソツキはキライよ
65うるさいうるさーい
66鬼!悪魔!
67鬼!悪魔!人でなしーっ!
68信じられなーい
69ちょっと、もー
70もーイヤっ!キモっ!きもち悪いわね
71キモいだけじゃなーい!きたないわね!汚らわしいわよ!
72あんたねー、どこ見てんのよ!痴漢かと思ったわ
73彼女なんて、一生できないでしょうしっ、カワイソー
74いかにも犯罪者っぽいものね
75そろそろ下僕の心得、分かったかしら
76土下座しなさーい
77足、けっとばしちゃうわよ
78机の下で足を踏んづけてやるわ
79アンタにまたがって、オシリ叩いてやる
80アンタなんか、百叩きの刑なんだからーっ!
81あんたの頭つかんで投げちゃうわよ!
82川につき落としてやろうかしら
83せいぜい夜道は気をつけて帰りなさいよね
84惨殺するわよ!
85死んじゃえ!
86このヘンタイ
87このヘンタイ、ドヘンタイ
88このヘンタイ、ドヘンタイ、ザ・ヘンタイ
89このヘンタイ、ドヘンタイ、DOヘンターイ
90このヘンタイ、ドヘンタイ、大ヘンターイ
91このヘンタイ、ドヘンタイ、エロヘンターイ
92ヘンタイ、ドヘンタイ、ヘンタイたーれん!
93なんとか言いなさいよ!
94にっ二度といわないんだからーっ!
95わっばっ、バカいってるんじゃないわよーっ
96ヘンなこと言うと殴るんだから
97別にアンタのことなんか、これっぽっちも考えちゃいないわよ
98なにニヤけてるのよ、もぉ、バカっ
99あ、ありがと…
100か、カン違いしないでよね、別に感謝してるとか、そんなんじゃないんだからね、じゃっ

 左端の「済」マークは気にしないでよろしい。わたしのリアルで罵倒を受けたチェックリストだから。ついでに、独男ツンデレラーに驚愕の事実をお伝えしよう。こうした罵倒文句は、独身よりも、パートナーがいる方が、より耳に触れ、肌で味わうことができる。罵倒のシャワーを浴びてフリフリ体ゆすれば、今夜もぐっすり眠れる、All Right!

 おそらく、このリストを全部「済」にするのが残りの人生の目標となる、かもしれない。「アンタにまたがって、オシリ叩いてやる」だとか、「ヘンタイたーれん!」といった難易度の高い台詞があるが、better late than never! 挑戦あるのみ。

がんばれ、ツンデレラー!負けるな、ツンデレラー!!

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「DS文学全集」レビュー

DS文学全集 ポケットに文学全集、こんなん欲しかった。

 類書、というか類ソフトはいくつか出ているが、これが決定版だな。いま夢野久作「少女地獄」が終わったところ。選書がいい感じなのと、Wi-Fiで新しい本をダウンロードできるところがツボ。

■1 操作性は良いが、満員電車に向かない

 このテの電子書籍は、おもちゃのようなガジェットが浮かんでは消えている。本書(というか、本ソフト)を読みながら、「買わなくてよかった」としみじみ。消えていったガジェット、いくつか店頭で試してみたことがあるが、「使うのにマニュアルが必要」というのが第一印象だった。

 ページをめくる、戻す、特定の箇所までパラパラ送る。今のページ数と、あと何ページあるかを見る。しおりをはさむ、しおりまでたどる。ただ本を読むのに、実にさまざまなことをやっている。

 DSでいいのは、こうした様々な操作を、タッチペンで直感的に扱えるところだろう。感覚的なスライド+タッチで全部まかなえる。もちろん、マニュアルは開いていない。

 ただ、わたしの読書タイムは混みあった電車で立った状態なので、十字キーだけで済ませている(あそこでタッチペン落としたら藁山に針になるし)。

■2 すいすい読める仕掛けいろいろ

 文字は大きめ(14ポイントぐらいかね)。持った形が文庫本のように読めるのはいいが、1ページの文量が少ないので、スラスラ読める。「これって速読?」「オレって天才?」感覚が味わえる。それこそ舐めるように読める。その分、ページ数がハンパじゃないけど。

 すいすい読みのために、「あらすじ」機能がある。全部の小説に、それぞれ「あらすじ」がついているので、横着者には読まずに済ますことも可能だ。この「あらすじ」、不要かと思うが、「ブンガク」のとっつきにくさを排して物語へ入るツールとしていいかもしれん。

 そのときの気分によってオススメを教えてくれる機能もある。いつ何を読むのかは勝手でしょ、と天邪鬼は思うのだが、いわゆる「初心者」がすいすい読むのに役に立つに違いない。

 BGMやページめくりの音、背表紙や表紙のグラフィックなど、細かいところに手を出している仕様は、人により評価が割れるだろう。わたしなんざ、「そんなデータより、もっと本を詰め込んでくれ」だね。

 Wi-Fiを使って読者ランキングやレビューに参加できる仕掛けも面白い。デスノートな「人間失格」(集英社)や、ハートカクテルな「虞美人草」(角川)など、若手を意識した表紙にすることで年齢層を押し下げるのと一緒やね。「日本文学ランキング」なら、カウントダウンTVが放っておかないだろう。

■3 二つの不満

 ラインナップ以外の不満は2つ。

 一つ目は、注釈が無いこと。読み慣れた作家ならともかく、明治の小説を初めて読むのであれば、(旧かな→新かな以外に)注釈が要るんじゃないかと。大銀杏は「いちょうの木」じゃないし、お歯黒は特定のステータスを指している。もちろん調べれば済むんだが、著作権がからむのでスルーしたんだろうね。

 二つ目は、残念なことにサイズ「小」で画数が多いと、文字がにじんでしまうこと。潰れてしまう、といったほうがいいかも。DS液晶の限界がここに。新潮文庫のクッキリとした印字が好きなわたしにこれはツラい。これは泡沫に消えていったガジェットや「モバイルPC+青空文庫」に軍配が上がる。

 この二つ目は、人によると致命的。昔の本のモノホンの活字が目に焼きつく感じが好きなので、液晶のぼんよりにじんだのが耐えられなかった。当然、読み方も変わる。一行一行を追うというよりも、液晶画「面」を舐めるような動かし方になる。同じ素材でも、調理が違うと受ける印象がガラリと変わる。たとえば、漱石の「猫」は、文庫、古書、復刻版と複数の調理で味わってきたけれど、液晶だとどう変わるか、期待半分、不安半分。

■4 きっとあなたもツッコミたくなるラインナップ

 いわゆる「定番」にとどまらない。「その作家で、あえて(?)そいつを持ってくるのかー」と思わず唸るセレクト。リスト眺めているだけでも愉しい。

 たとえば、鏡花なら「高野聖」がピカイチだろうが、究極の恋愛小説「外科室」が嬉しい。昨今のヌルい「もどき」が裸足で逃げ出すレベル。泣きたいときは芥川「奉教人の死」だし、怖がりたいなら八雲「耳なし芳一」よりも「鳥取のふとん」がガチなのにーと呟く。

 さらに、ずっと先送りしてきたのが「これでようやく読める!」と快哉あげたのもある。

 たとえば、安吾「桜の森の満開」が嬉しい。そういや、一葉「たけくらべ・にごりえ」は旧かなづかいにつっかえたなぁ、新美南吉「花のき村と盗人たち」、林芙美子「放浪記」なんて読んでなかったよ!葉山嘉樹や北條民雄になると誰? という感じ。

 いっぽうで、「なんでこれが入ってないの?」がある。

 たとえば、川端康成・谷崎潤一郎が一切ないのが解せん。太宰の最高傑作は「満願」なのに、入ってない!中島敦は全部入りだろ。漱石は「猫」と三部作で充分じゃね? その分、寺田寅彦と内田百間を入れろよ、賢治なら「グスコーブドリの伝記」と「春と修羅」は外せねぇぇぇ…、夢野は「少女地獄」よりも「瓶詰地獄」の方を読むべし、岡本かの子「老妓抄」を入れるなら、「金魚撩乱」は欲しい。乱歩が無い!乱歩はブンガクじゃぁねぇの? 夢野がよくて乱歩はダメなの?おかしくね? 尾崎翠、石川淳、稲垣足穂、幸田文、三島由紀夫、寺山修司が無いのはなんでじゃぁぁぁ!そういや「歌」がねぇじゃん!岡本かの子と正岡子規を入れているのに「歌」じゃないし、賢治「あめゆじゆとてちてけんじや」をもっぺん見たら絶対泣くのにー、そもそも石川啄木や与謝野晶子が無いぞ、詩歌はブンガクじゃないのかーッ!?

 はぁはぁ

 はぁはぁ

 はぁはぁ

 はぁはぁ

 おそらく、「ブンガク」といっても古典を入れると膨大になるからパス、川端・谷崎の巨人を入れるとガチガチになるので(今回は)パス、底本が青空文庫という制約もあるだろうし、「定番中の定番」をあえて外した「あそび」も欲しい…と痛し痒しの中で選書したんだろうなぁ。

 では、DS文学全集のラインナップを、どぞー

  1. 羅生門 (芥川龍之介)
  2. 地獄変 (芥川龍之介)
  3. 奉教人の死 (芥川龍之介)
  4. 杜子春 (芥川龍之介)
  5. 藪の中 (芥川龍之介)
  6. トロッコ (芥川龍之介)
  7. 河童 (芥川龍之介)
  8. 或阿呆の一生 (芥川龍之介)
  9. カインの末裔 (有島武郎)
  10. 生まれいずる悩み (有島武郎)
  11. 或る女 (有島武郎)
  12. 外科室 (泉鏡花)
  13. 高野聖 (泉鏡花)
  14. 婦系図 (泉鏡花)
  15. 夜叉ヶ池 (泉鏡花)
  16. 野菊の墓 (伊藤左千夫)
  17. 蠅男 (海野十三)
  18. 東京要塞 (海野十三)
  19. 海底軍艦 (押川春浪)
  20. 老妓抄 (岡本かの子)
  21. 玉藻の前 (岡本綺堂)
  22. 金色夜叉 (尾崎紅葉)
  23. 夫婦善哉 (織田作之助)
  24. 死者の書 (折口信夫)
  25. 子をつれて (葛西善蔵)
  26. 檸檬 (梶井基次郎)
  27. 城のある町にて (梶井基次郎)
  28. 父帰る (菊池寛)
  29. 恩讐の彼方に (菊池寛)
  30. 藤十郎の恋 (菊池寛)
  31. 俊寛 (菊池寛)
  32. 「いき」の構造 (九鬼周造)
  33. 牛若と弁慶 (楠山正雄)
  34. 武蔵野 (国木田独歩)
  35. 牛肉と馬鈴薯 (国木田独歩)
  36. 出家とその弟子 (倉田百三)
  37. 耳無芳一の話 (小泉八雲)
  38. 五重塔 (幸田露伴)
  39. 無惨 (黒岩涙香)
  40. 蟹工船 (小林多喜二)
  41. 堕落論 (坂口安吾)
  42. 桜の森の満開の下 (坂口安吾)
  43. 夜明け前 (島崎藤村)
  44. 次郎物語 (下村湖人)
  45. 古事記物語 (鈴木三重吉)
  46. 瀧口入道 (高山樗牛)
  47. 日本三文オペラ (武田麟太郎)
  48. 富嶽百景 (太宰治)
  49. 走れメロス (太宰治)
  50. 斜陽 (太宰治)
  51. 人間失格 (太宰治)
  52. オリンポスの果実 (田中英光)
  53. 蒲団 (田山花袋)
  54. 黒髪 (近松秋江)
  55. 狂乱 (近松秋江)
  56. あらくれ (徳田秋声)
  57. 縮図 (徳田秋声)
  58. 不如帰 (徳富蘆花)
  59. 山月記 (中島敦)
  60. 李陵 (中島敦)
  61. 土 (長塚節)
  62. 吾輩は猫である (夏目漱石)
  63. 坊っちゃん (夏目漱石)
  64. 草枕 (夏目漱石)
  65. 三四郎 (夏目漱石)
  66. 門 (夏目漱石)
  67. 彼岸過迄 (夏目漱石)
  68. 行人 (夏目漱石)
  69. こころ (夏目漱石)
  70. 明暗 (夏目漱石)
  71. ごん狐 (新美南吉)
  72. 手袋を買いに (新美南吉)
  73. 花のき村と盗人たち (新美南吉)
  74. 新版 放浪記 (林芙美子)
  75. セメント樽の中の手紙 (葉山嘉樹)
  76. 夏の花 (原民喜)
  77. たけくらべ (樋口一葉)
  78. にごりえ (樋口一葉)
  79. 学問のすすめ (福沢諭吉)
  80. 浮雲 (二葉亭四迷)
  81. いのちの初夜 (北條民雄)
  82. 美しい村 (堀辰雄)
  83. 風立ちぬ (堀辰雄)
  84. 病牀六尺 (正岡子規)
  85. 注文の多い料理店 (宮沢賢治)
  86. オツベルと象 (宮沢賢治)
  87. よだかの星 (宮沢賢治)
  88. 風の又三郎 (宮沢賢治)
  89. 銀河鉄道の夜 (宮沢賢治)
  90. セロ弾きのゴーシュ (宮沢賢治)
  91. 伸子 (宮本百合子)
  92. ヰタ・セクスアリス (森鴎外)
  93. 雁 (森鴎外)
  94. 阿部一族 (森鴎外)
  95. 山椒大夫 (森鴎外)
  96. 最後の一句 (森鴎外)
  97. 高瀬舟 (森鴎外)
  98. 少女地獄 (夢野久作)
  99. 蠅 (横光利一)
  100. 機械 (横光利一)

     既読モノは再読したくなるやつ、未読モノは「おっ」というやつばかりでしょ? 「なんでコレがないんじゃー」という叫びは共咆しよう。

     上記がデフォルトで、現在のところ以下の作品がダウンロードできる(以下続々出てくる)。追加料金みたいなケチくさいことは無い。早速ダウンロードして、「半七捕物帳」にとりかかる。不思議だね、積読本があるのに、DS開いている俺ガイル…

  101. 半七捕物帳 一 (岡本綺堂)
  102. 赤外線男 (海野十三)
  103. デンマルク国の話 (内村鑑三)
  104. 夢十夜 (夏目漱石)
  105. 蜘蛛の糸 (芥川龍之介)

公式サイト : DS文学全集

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千賀さんはとんでもないものを教えてくれました、「カイト・ランナー」です

カイト・ランナー 乗車率200%の痛勤電車で嗚咽が止まらない。

    For you, a thousand times over
    きみのためなら1000回でも

 瞼の裏が頬→喉に直通、胸からそのまま熱いやつがあふれる。揺れているのは電車でなく、わたしの心、酒に強く酔ったようだ。要するに、あまりに強い感情に襲われて、立っていられない。

 最初に断っておく。これは、今年No.1スゴ本、自信を持って、オススメできる(ナンバーワンがいくつあんねん!というツッコミ勘弁なー)。呵責と償いの極上のストーリーを堪能してほしい

 敬愛する千賀サマが、「全米が泣いた 私は泣いたよ」と太鼓判押したのが"The Kite Runner"、勇んで買ったはいいけれど積読山へ(英語の小説は優れた導眠剤)。で、橋の下をたくさんの水が流れ、ようやく邦訳を読めたというわけ。

 アフガニスタンの激動の歴史を縦軸、父と子、友情、秘密と裏切りのドラマを横軸として、主人公の告白を、ゆっくりゆっくり読む。描写のいちいちが美しく、いわゆる「カメラがあたっているディテールで心情を表す」ことに成功している。

 話の展開は、千賀さんの言う「John Irvingを、ウェットかつエスニックにした感じ」まんまですな。エピソードの語り口は、むしろ「アンジェラの灰」が近いような。amazonはこう紹介している。

小さい頃、わたしは召使いであるハッサンとよく遊んだ。追いかけっこ、かくれんぼ、泥棒ごっこ、そして凧あげ。わたしはちゃんとした学校へ通っていて、読み書きもできる。しかし、ハッサンは世の中の「真理」をすべてわかっているようだった。真理とは、愛や慈悲、そして罪、というものについてだ。12歳の冬の凧合戦の日。ついにそれが起こる。

記憶の底に決して沈めてしまうことのできない罪…。他人を救うことの困難さ、友情、愛、畏れについて深く考えさせる、アフガニスタン出身作家の鮮烈なデビュー作。

 イントロで展開が読める、しかも、はやりの御涙ちょーだいの「かわいそう話」ではないのも分かる、でも止まらない。涙腺の弱さは折り紙つきのわたしだが、まるで感情の蛇口が壊れてしまったようだ。

 本書は、ニューヨークタイムスのベストセラーに64週ランクインし、300万部の売上に達したという。アフガニスタンが舞台の物語としては異例だ。おそらく、「父と子」、「友情と裏切り」、「良心と贖罪」といったテーマの普遍性が、読者層を厚くしているのだろう。

 しかし、これほどの売上は移民の読者層が増えている証左なのかも。

 祖国を離れアメリカで生活をしている人にとって、二つのスタンダードに挟まれることは想像に難くない。本書の主人公は、むしろアメリカ流に飲み込まれ、過去を深く埋めるほうを望む。この「過去」は特殊かもしれないが、ダブルスタンダードを意識する人にとって、本書は別の意義をもち始める。

 本書には、二つの「ダブルスタンダード」が折りたたまれている。一つは、戒律の厳しいアラブの男の「ダブルスタンダード」。「嘘と贖罪」の過去が暴かれるとき、気づかされる仕掛けとなっている。もう一つは、イスラム法を厳格に守る(守らせる)集団、タリバンの「ダブルスタンダード」。映画や小説で見知ったベトナムやカンボジアと重なる。

 二つの祖国を持つ苦悩なんて、山崎豊子の小説でしか知らないわたしと異なり、U.S.に移住した人は、また違った思うところがあるんじゃぁないかと。千賀さんだと「ニッポンは平和ですね」と微笑み返すんだろうなぁ。ともあれ、すばらしい本を教えていただき、千賀さんに大感謝。

 最後にもう一度。これぞ今年のNo.1スゴ本、自信を持って、オススメできる

 そうそう、「人前で読むな」と忠告しておかないと。周りの迷惑になるので、独りのときに、どうぞ。

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